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スタジオライフ『DRACULA』/上

作品の魅力を演出家・倉田淳に聞く

真名子陽子 ライター、エディター


拡大左から、松本慎也、倉田淳、曽世海司=宮川舞子撮影

 劇団スタジオライフが8年ぶりに『DRACULA』を上演する。ブラム・ストーカーの『DRACULA』を原案に、スタジオライフの倉田淳が脚本と演出を担い、今回が8年ぶり5度目の上演となる。WeirDチームとAberranTチームの2チームでの上演だが、いつもと違うのは、ドラキュラ伯爵とジョナサンを曽世海司と松本慎也が交代で演じるということだ。これまでも2チーム、3チームで公演を行ってきたスタジオライフだが、二つの役を二人が交代で演じるのは珍しい。そして今回は中野ウエストエンドスタジオでの上演で、小劇場ならではの客席の配置にし、ドラキュラの世界観を一緒に体感できるようになっている。

 今回のインタビューは、(上)では倉田淳の単独インタビューを、(下)では曽世海司と松本慎也の対談をお届けする。倉田には作品や今回のキャスティングについて、2018年のスタジオライフ公演や今後の夢などを語ってもらい、曽世と松本には作品と役への思いや、ダブルキャストについて、お互いの印象などを語ってもらった

臨場感の中にドラキュラを蘇らせる

――『DRACULA』を8年ぶりに上演しようと思われたのは?

倉田:宝塚歌劇団さんの『ポーの一族』が羨ましくて、羨ましくて、羨ましくて(笑)。せめて同じ世界に浸っていたいと思ったんです……って、これを理由にしたらいけないですよね。劇場がウエストエンドスタジオと決まっていたので、その中で何をしようかと考えたときに、今まで額縁の中に入れてやっていた『DRACULA』を、お客さまが近くて臨場感がある中にドラキュラを蘇らせて、一緒に彼の孤独を味わえたらいいかなと思い決めました。

――前回から劇場が変わることで何か違いはあるのでしょうか?

倉田:やはり劇場の大きさが違うので、コンパクトにして凝縮してお見せしないといけませんから、役者の人数も限られてきます。台本も短くして上演時間は2時間を目指しています。だから登場人物も何人かカットすることになるんですね。レンフィールドという人物は、ドラキュラに振り回される運命を持ってしまった悲哀感を出してくれていたんですけど、その悲哀感を魔女に合致させて、レンフィールドをカットしました。物語の状況をわかっていただくために出ていた人物もカットしています。そして今回は客席をコの字型にしましたので、さらに臨場感を出せたらいいなと思っています。

――よりドラキュラ伯爵とジョナサンの人物像が浮き上がってくる感じですか?

倉田:そのつもりでいます。人間たちと魔界の人たちの対立も際立ってくると思います。台本をカットしながら、最初からこうすれば良かったと思いました(笑)。

コの字型の客席、皮膚感覚で感じて欲しい

拡大倉田淳=宮川舞子撮影

――客席をコの字型にして見せるというのは、ウエストエンドスタジオならではですね。

倉田:小劇場だからこそですね。そこが今回のトライするところのひとつですし、おもしろいところかなと思います。お客さまにも楽しんでもらえるポイントになると思いますので、皮膚感覚で『DRACULA』を感じて欲しいです。

――お客さまと近いということは、役者さんにとって大変では?

倉田:そうなんです。四方八方から視線を浴びますから。ただ、見えてはいけないものが見えてしまうのは怖いなと思っています。まだまだ、みんなで新たな工夫を重ねていかないといけないんです。役者のみんなも今回の『DRACULA』を新鮮に感じてくれています。これまでにやり尽くしている感があったのですが、今までとは別の物語のように感じていますね。

――工夫をしているとのことですが、役者のみなさんがアイデアを出し合うんですか?

倉田:私は見せたくないのと言うだけ(笑)。そうしたら、どうすればいいだろうとみんながいろんなアイデアを出してくれます。たくさんアイデアが出てくるんですよ。そういう時間も楽しいです。あと、アクションなどはまつしん(松本慎也)やチュウ君(仲原裕之)を筆頭にみんなで考えてくれています。

魔女が好き。“吸血鬼ワールド”が際立っている

――まったく新しい作品になるような気がします。

倉田:物語は変えずに見せ方を変えています。私、魔女が好きなので(笑)、魔女のシーンやセリフを増やしました。

――(笑)。魔女が好きなんですか?

倉田:死ねずに生きなければならない中でのあの太々しさと、でも煩悶としながら足掻いている姿がすごく好きで、カットしたレンフィールドの悲哀感を魔女に足してがんばってもらおうと思っています。魔女の出番が増えたことで“吸血鬼ワールド”が際立っていますね。今までは人間側からの視点が多かったので、今回は思い切ってアザーサイドから見たドラキュラをお見せしたいと思っています。ドラキュラ側の世界を前回より膨らませています。

◆公演情報◆
Studio Life公演『DRACULA ~The Point of No Return~』
2018年2月15日(木)~3月4日(日) 東京・中野ウエストエンドスタジオ
[スタッフ]
原案:ブラム・ストーカー著『DRACULA』
脚本・演出:倉田淳
[出演]
曽世海司 船戸慎士 関戸博一〈WeirD チームのみ〉松本慎也 仲原裕之 宇佐見輝 鈴木
翔音 若林健吾 千葉健玖 江口翔平 吉成奨人 伊藤清之(Fresh) 鈴木宏明(Fresh) 前木健太郎(Fresh) /宮崎卓真(客演)
※WeirD チームと AberranT チームのダブルキャスト公演
※Fresh は劇団研究生
公式ホームページ
〈倉田淳プロフィル〉
東京都出身。1976年、演劇集団「円」演劇研究所に入所。第1期生。芥川比呂志に師事。氏の亡くなる1981年まで演出助手をつとめた。1985年、河内喜一朗と共にスタジオライフ結成、現在に至る。劇団活動の他、1994年より西武百貨店船橋コミュニティ・カレッジの演劇コースの講師を務めた。また英国の演劇事情にも通じており、その方面での執筆、コーディネーターも行っている。
〈曽世海司プロフィル〉
劇団の作品を中心に外部公演への客演、落語やトークライブなど幅広く活躍中。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子』『エッグ・スタンド』『Daisy Pulls It Off』『BLOOD RELATIONS~血のつながり~』『THREE MEN IN A BOAT+ワン』『トーマの心臓』『アドルフに告ぐ』など。
〈松本慎也プロフィル〉
スタジオライフ公演のほか、外部公演への出演も多数。スタジオライフでの主な出演作品は、『はみだしっ子』『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』『BLOOD RELATIONS ~血のつながり~ 』『トーマの心臓』『アドルフに告ぐ』など。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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