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[18]バーチャルユーチューバーと匿名性の魅力

キズナアイ、輝夜月、バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん…

太田省一 社会学者

バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん拡大「バーチャルのじゃロリ狐娘YouTuberおじさん」の動画より
 「ユーチューバー」という言葉もすっかり定着した感がある。

 小学生や中学生が「将来の夢は?」と聞かれて、「ユーチューバー」と答えるご時世だ。詳しいことはわからなくても、子どもたちから見れば“インターネットでなにか面白いことをしているひとたち”であり、楽しそうな仕事と映っているのだろう。ユーチューバーのアイコン的存在であるHIKAKINなどは、芸能人に混じってテレビに出演する姿もよく目にするようになった。

バーチャルな3Dキャラクター

 そんなユーチューバーの世界で最近注目を集めているのが「バーチャルYouTuber」(以下、「バーチャルユーチューバー」と表記)である。これまでユーチューバーと言えば生身の人間が相場だった。ところが、バーチャルユーチューバーは、その名の通りバーチャルな3Dキャラクターである。昨年(2017年)の終わりくらいから話題を呼び、新人(?)も続々と現れて百花繚乱の様相を呈しつつある。

 それだけ聞いてもどういうものなのかよくわからない方も多いだろう。ここは、百聞は一見に如かず、まずこちらの動画を見ていただきたい。

 「キズナアイ」は、バーチャルユーチューバーの元祖的存在である。やっていることは基本的に従来のユーチューバーと変わらず、視聴者からの質問に答えたり、「~してみた」やゲーム実況に挑戦したりする。体力測定をする動画など、200万回以上の再生回数を記録している動画もある。声はプロの声優と思しき女性の声だが、誰かは公表されていない。あくまでキズナアイというキャラクターは、ネットのなかの自立した存在というわけである。2016年12月に最初の動画がアップされて以来、チャンネル登録者数は現在150万(2018年2月9日時点。以下の場合も同様)にも達している。

 このキズナアイを見て、初音ミクを連想するひともいるだろう。初音ミクのほうは合成音声であるなどいくつか細かい部分の違いはあるが、3Dのキャラクターがパフォーマンスをする点では同じである。実際、別のバーチャルユーチューバー、「ミライアカリ」というキャラクターの公式イラストは、初音ミクを手がけたのと同じ人物によるものである。

 また、初音ミクと同様に、二次創作の広がりも特徴のひとつだ。キズナアイをはじめ複数のバーチャルユーチューバーが一定の条件下で二次創作を認めている。それによってイラストや漫画などが多数描かれ、ネット上にアップされている。ここにも初音ミクとの類似点が見いだせる。

オタク的感性をくすぐるキャラクター ・・・ログインして読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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