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眞子さま・小室さんと小泉今日子さんの文書を読む

ビジネス用語から考えた組織の幸福なあり方

矢部万紀子 コラムニスト

秋篠宮家の長女眞子さま=7日午前10時41分、東京・元赤坂20180207拡大小室圭さんとともに「お気持ち」を発表した秋篠宮眞子さま

プレゼン的だったお二人の論理展開

 秋篠宮眞子さまと小室圭さんのご結婚が延期された。発表にあたり、「眞子さまと小室さんのお気持ち」という文書が公表された。

 丁寧に気持ちを語る、とてもきちんとした文章だった。自分たちの結婚延期を、このようにきちんと説明しなくてはならないお二人の置かれた状況を思うと、胸が痛んだ。

 もう一つ感じたのが、昨今のビジネスの場で絶対に必要な「プレゼンテーション」のようだということだ。論理展開や、言葉遣いがプレゼン的だったのは、お二人が今どきの人だからだろうか。

 文書は、こう進む。まず「現状認識」(充分な準備をする時間的余裕がない)から始め、経緯を「振り返り」(予期せぬ時期の報道以来、急ぎ過ぎた)、「気づき」(結婚について深く具体的に考えることができていない)を表明したのちに「結論」(皇室にとって重要な儀式が終わる再来年に延期)を述べ、最後は「未来志向」(これは、新生活開始のためのよい機会)で終える。

 カギカッコに入れたのは、プレゼンの場でよく聞く言葉。これらのキーワードに基づき頭を整理し、プレゼンしなさい。ビジネスの世界では、例えばそんなふうに言われている。

 「気づき」のパーツを少し長く引用する。

 「(前略)二人で結婚についてより深く具体的に考えるとともに、結婚までの、そして結婚後の準備に充分な時間をかけて、できるところまで深めて行きたいと思っております。本来であれば婚約内定の発表をするまでにその次元に到達していることが望ましかったとは思いますが(後略)」

 結婚についての考えが、到達すべき「次元」に至っていないと表現している。

 「次元」も、ビジネスの文脈でよく使われる言葉の一つだと思う。もっと深い次元で、自分の業務を考えなさい、とか。だけど、ことは結婚である。深い次元で考える前に、勢いとか盛り上がりとか、そんなことで進むのが普通だろう。それなのに自らに深い次元を課し、至っていないととらえている26歳同士のお二人。

 途中で2度、反省が述べられていた。「次元」のところで、「(到達しなかったのは)私たちの未熟さゆえであると反省するばかりです」と述べ、予定を大きく変更するのは、結婚にかかわる人々に「多大なご迷惑とさらなるご負担をおかけすることとなり、大変申し訳なく思っております」と述べた。

 プレゼンは、説得のためにある。若い男女が反省を表明しつつ、結婚延期という事態について説得しようとしている。説得相手は、国民だろう。説得されるべき1人として、こう思った。

 いくらなんでも、かわいそう過ぎるじゃないか―。

 一般の結納にあたる「納采の儀」まで、もうあと1ヶ月というタイミングまで来ていたのだ。そんなギリギリになって、なぜ延期なのか。嫌いになったから、結婚をやめるというならわかる。どんなタイミングでも、嫌ならやめた方がいい。世の中に、そういう決断をした人はいくらでもいる。

 だが、宮内庁の説明では、「ご結婚の意思は変わりない」のだそうだ。となると、これはいくら宮内庁が「関係ない」と言い募っても、婚約者である小室圭さんの母をめぐる借金トラブル報道が関係しているのではないか。誰だって、疑問に思うだろう。

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筆者

矢部万紀子

矢部万紀子(やべ・まきこ) コラムニスト

1961年生まれ。83年、朝日新聞社に入社。宇都宮支局、学芸部を経て、週刊誌「アエラ」の創刊メンバーに。その後、経済部、「週刊朝日」などで記者をし、「週刊朝日」副編集長、「アエラ」編集長代理、書籍編集部長などをつとめる。「週刊朝日」時代に担当したコラムが松本人志著『遺書』『松本』となり、ミリオンセラーになる。2011年4月、いきいき株式会社(現「株式会社ハルメク」)に入社、同年6月から2017年7月まで、50代からの女性のための月刊生活情報誌「いきいき」(現「ハルメク」)編集長をつとめた後、退社、フリーランスに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』(ちくま新書)。

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