岸田法眼(きしだ・ほうがん) レイルウェイ・ライター
2007年1月にライターデビュー。旅、鉄道、小説、時事問題、プロ野球、大相撲、平和などをテーマに執筆。『TRAIN MODELING MANUAL』(ホビージャパン)、『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)、『鉄道ファン』(交友社)、『ハフポスト日本版』などに寄稿している。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
ハイテク化で試合時間を短縮できないか
近年のプロ野球は、見ていてイライラする。その筆頭は監督の「先発投手を完投させない采配」で、ホールドポイントの新設が大きく影響している。そして、今季から大リーグに追随するかの如く、「申告敬遠」を導入する(アマチュアも大学、社会人で導入)。これは試合時間の短縮が目的とのことだが、私には効果があるとは到底思えない。
申告敬遠は、守備側の監督が審判に申告すれば、打者に1球も投げることなく、一塁へ歩かせるというもの。もちろん、従来通り4球ボールを投げる敬遠も可能だ。
さて、敬遠には意外な展開になった歴史がある。記憶に残るものを取り上げると、長嶋茂雄さんが腹を立て、2ボールの後バットを持たずに打席へ入ったことがあった。また、巨人のウォーレン・クロマティ選手、阪神タイガースの新庄剛志選手が敬遠球を打って、サヨナラ勝利に貢献したことがある。
2017年は東京ヤクルト・スワローズのジョシュ・ルーキ投手が敬遠暴投してしまい、阪神に決勝点を与えてしまった。
松井秀喜選手は、高校時代に夏の甲子園で5打席連続敬遠され、巨人に入ってからも、シーズン最終戦、中日ドラゴンズが山崎武司選手にホームラン王のタイトルを獲らせようとして、全打席敬遠された。そのころ、タイトルがらみで唯一勝負を指示したのは、ヤクルトの野村克也監督だけだったのではないか。
きわめつけは、駒田徳広選手(のちに巨人、横浜)で、高校時代、満塁の場面で敬遠されたという。相手にとっては、打たれて大量失点するより、敬遠で大量失点を防いだほうが得策と考えたのだろう。プロ野球ではありえない話だ。
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