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180度違う善悪両極こなす10年目/珠城りょう

【宝塚~朗らかに~】「カンパニー」で誠実なサラリーマンを好演

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ2月22日紙面(東京本社発行版)より】

拡大「カンパニー」で青柳誠二役を演じる珠城りょう(撮影・加藤哉)
 月組トップ珠城(たまき)りょうが、兵庫・宝塚大劇場で上演中の「カンパニー -努力、情熱、そして仲間たち-」で誠実なサラリーマンを好演している。ショー「BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-」では“ワル”にふんし両極端な顔で魅了。本公演は宝塚大劇場が3月12日まで、東京宝塚劇場は3月30日~5月6日まで。

 スーツ姿のサラリーマン。「リストラ」「残業」「チケットノルマ」「出向」…。リアルな言葉が歌詞として並ぶ。挑戦作だ。

 「日常に近い部分を見せつつ、宝塚らしく、夢々しく」。ダイキンのCMでは、スーツ姿のサラリーマンにふんしており「そこは役に立ちましたかね」と笑う。阿部サダヲ、小日向文世、堤真一らをイメージして役作りしてきたという。

 「阿部さんだと濃すぎるかな、小日向さんぐらいかな、堤さんだとどうだろ? とか思い浮かべて」

 今作は伊吹有喜氏の小説「カンパニー」を舞台化。会社員・青柳誠二が、経験も知識もないバレエ団へ出向になり、仲間とともに成長していく物語だ。

 「青柳はすごくまっすぐ。自分の思ったことを、きちんと言葉にして相手に伝える人。彼のまっすぐな思いが温かみになって、みんなひかれていく。誠実さが彼の武器なんです」

 相手の目をきっちり見て、言葉を返す。学生時代のスポーツ経験から、珠城自身にも誠実さが漂う。「そうじゃないところもあるんですよ」と、照れ笑いしながら返した。ただし「私も思ったことは、きちっと伝えたいと思う」と言い、共感は抱いている。

 「男役10年」の宝塚において、3月にやっと入団丸10年。若きトップが率いる月組の現状に近い。今回はショーも異例ずくめ。劇団史上初めて、女性演出家が手がけ、近未来が舞台。平和な地球へ月の悪党が侵入するストーリー仕立て。芝居以上に個性的な展開だ。

 「コミカルで、楽しい。(芝居の青柳とは)振り幅が180度違う。世界観がぶっ飛んでいて挑戦の連続。稽古場でみなが楽しんでくれて、いいなって」

 「保守的」と感じる下級生たちに、殻を破る機会にしてほしいとも願う。「稽古場で失敗をおそれず、私が率先して稽古場で恥をかいていきたい」。トップ就任から1年が過ぎ、落ち着きも出てきた。

 下級生時代から抜てきが続き「『ちゃんとしなきゃ』って思っていて、堅い印象があるかも」と笑うが、実は「伸び伸びしているタイプ」と自己分析。「肩肘張るところは、抜けきったかなって思う」。持ち前の明るさ、快活さが日々、解放されていく。

 今年は「挑戦」「前向き」と位置づけ、公演でも実践中。仕事以外では「ボルダリングをやってみたい。達成感がありそうで、楽しそう」。もっとも、健康管理上の問題から「今は無理かな」と、夢は封印しつつも興味は尽きない。冒険心を胸に抱き「ボルダリング」ばりに、上へ上へと登っていく。

 ◆ミュージカル・プレイ「カンパニー -努力(レッスン)、情熱(パッション)、そして仲間たち(カンパニー)-」(脚本・演出=石田昌也氏) 昨年5月刊行の伊吹有喜氏の小説「カンパニー」(新潮社)を舞台化。愛妻を亡くした製薬会社の青年サラリーマン青柳誠二が主人公。社の協賛公演を行うバレエ団へ出向になり、世界的プリンシパル高野悠(美弥るりか)が踊る冠公演を成功に導こうと奮闘する成長物語。

 ◆ショー・テント・タカラヅカ「BADDY(バッディ)-悪党(ヤツ)は月からやって来る-」(作・演出=上田久美子氏) 劇団104年の歴史で女性演出家が初めて手がけたショー。悪が鎮圧された平和な地球へ、月から悪党バッディが乗り込んでくるストーリー仕立ての展開。

 ☆珠城(たまき)りょう 10月4日、愛知県蒲郡市生まれ。08年3月初舞台。月組配属。16年3月に全国ツアー初主演し、同9月に9年目で月組トップ。近年では7年目の天海祐希に次ぐスピード昇格。昨年1月「グランドホテル」で本拠地お披露目。今年は8~10月の次回本拠地作で大作「エリザベート」主演が控える。身長172センチ。愛称「りょう」「たまき」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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