「忖度システム」を生み出す政と官のあり方を模索する時
2018年03月23日
財務省の看板が揺れている。ネット上では、「麻生大臣の辞任問題」と共に「財務省解体論」まで出てきた。
すでに収束したと思われていた森友学園問題。しかし、3月7日に近畿財務局の職員が自殺したのをきっかけに急展開を見せる。9日、前理財局長で国税庁長官を務めていた佐川宣寿氏が辞職。12日、財務省は14の決裁文書の書き換え、すなわち「改ざん」を認めた。その後、森友学園問題との関係は不明だが本省理財局の職員も1月に自殺していたことが発覚し、麻生太郎財務大臣の責任問題にまで発展している。
中堅の財務官僚は言葉を濁しながらこう話した。
「財務省としては、未だ、『職員らの自殺と文書書き換え問題、佐川長官の辞任は関係ない』というスタイルを崩していません。そのような言い訳を信じる人は誰もいないと思いますが。上層部も、国会対応に追われている大臣官房や理財局も、火の粉を払うのに精一杯で、全体が見えていないのではないか。『書き換え』という言葉にも無理がある。これは『改ざん』以外のなにものでもないでしょう。今回の件で財務省は大きく傷ついたし、それを認めなくてはいけないと思う。それにもまして、政権が財務省に責任を押しつけて逃げだそうとしていることにも疑問があります。やるせない気持ちでいっぱいです」
彼の疑問のとおり、政治の力学がはたらかずして、国交省や会計検査院なども巻き込んだ大々的な改ざんを、財務省、ましてや理財局単体で起こせるはずはない。
今後の焦点は、改ざん前の決裁文書に総理夫人である安倍昭恵氏の名前が明確に記載されていたことなどから、夫人の関与がどこまであったのか、現場はどう受け止めたのか(忖度したのか)、そして安倍総理自身が「私や妻が(森友問題に)関係していたら間違いなく総理大臣も国会議員も辞任する」という発言(2017年2月)の余波がどこまで広がるのかに移るだろう。事実、総理は、「関与否定」に必死だ。
この展開で、安倍3選が確実視されていた今秋の自民党総裁選も、年内に安倍政権が目指していた憲法改正の発議も極めて不透明なものとなった。すでに、野党のみならず、自民党内からも反安倍の狼煙は上がっている。舵取りをひとつでも間違えれば、一気に「政局」になだれこんでもおかしくない。
連日、財務省の太田充理財局長や矢野康治官房長らが、与野党からの質問に答える形で答弁に立っているが、2人とも以前とは別人のような顔つきだ。
「矢野さんは、思い込みが激しいきらいもありますが、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください