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福田次官から「セクハラされなかった」私の思い

「女性記者と取材のあり方」を議論すべき時

横田由美子 ジャーナリスト

財務省の福田淳一事務次官拡大福田淳一氏は「セクハラ」の相手を選んでいた?

 この2週間、福田淳一財務事務次官は、次々と明るみに出る自身の「セクハラ疑惑」の件で、てんやわんやだったであろう。麻生太郎財務大臣と財務省のセクハラに対する認識の低さや対応の不味さが決定的となり、財務省は、森友文書改ざん問題がひと息つく間もなく、再び批判の嵐に晒されることとなった。

 福田次官は最終的に辞任を表明(事実上の更迭)したが、「テレビ朝日所属の女性記者へのセクハラ行為を未だ認めていないこと」、「法廷闘争を辞さない姿勢を崩していないこと」で、事態は一向におさまる気配はない。今や、人事の焦点は、麻生大臣の進退問題に移った。

福田氏からセクハラされなかった理由

 一方、この2週間は、筆者にとってもてんやわんやの状況が続いていた。多くのテレビ局が、財務省を「現在進行形」で取材している女性記者にインタビューしようとしたがおそらく応じる人がいなかったため、長年財務省を取材してきた筆者にコメントの依頼が集中したのだ。この短期間で私は、日本のテレビ局にこれほど情報番組が多かったことを思い知らされた。

 そして、とんでもない方向から指摘を受ける羽目になるとは、セクハラ疑惑発覚直後の筆者は全く気づいていなかった。

 当初、インタビュアーに閉口したのが、「過去、福田氏にセクハラを受けたことがある」という前提に立ってコメントするよう、暗に、しかし執拗に求められたことだ。しかし、いずれの番組でも話したが、彼が筆者に「キスしたい」「抱きしめたい」などと「希望」を伝えることは本当に一度もなかった。

 せいぜいが「お前、結婚は無理だ」「なんでここにいるんだ。こんな危ない女を呼んだの誰だ?」といった“暴言”程度しか思い出せない。いずれも、私の感覚が、長年の霞ケ関取材で麻痺してしまったのか、セクハラという印象は受けなかった。実際、福田氏レベルのセクハラ発言をする幹部官僚はたくさんいるし、飲み会などで羽目を外して、全裸になって性器を露出させたり、キス魔となって嫌がられる若手もたくさん見てきた。

 他の女性記者に聞くと、福田氏に「執拗に食事に誘われた」という人がいたことも確かだ。しかし筆者は、先輩の女性記者と同席した「情報交換会」という名の飲み会でも、セクハラ発言を聞いたことはなかった。それ故、今回の録音音声を聞いて、筆者は驚愕した。では、福田氏はなぜ筆者にはセクハラしなかったのか。

 理由として大きく3つが考えられる。

① 福田氏の好みの女性は、すらりとした美形で、脚のきれいなタイプ、と言われているが、筆者も同席した先輩も好みにあてはまらなかった。
② 筆者は、現場を離れている期間もあったが、トータルで15年近く財務省を取材している。財政制度等審議会(財務省の附属機関で大臣の諮問機関)のメンバーに知り合いもいるので、セクハラをすると面倒なことになりかねない。 ・・・ログインして読む
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筆者

横田由美子

横田由美子(よこた・ゆみこ) ジャーナリスト

1996年、青山学院大学卒。雑誌、新聞等で政界や官界をテーマにした記事を執筆、講演している。2009年4月~10年2月まで「ニュースの深層」サブキャスター。著書に『ヒラリーをさがせ!』(文春新書)、『官僚村生活白書』(新潮社)など。IT企業の代表取締役を経て、2015年2月、合同会社マグノリアを設立。代表社員に就任。女性のためのキャリアアップサイト「Mulan」を運営する。

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