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中川晃教インタビュー/上

舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~

真名子陽子 ライター、エディター


拡大中川晃教=冨田実布撮影

 シンガー・ソングライターでミュージカル俳優の中川晃教にインタビューを行った。1977年に連載を開始した松本零士のSF漫画『銀河鉄道999』の40周年記念作品として上演される、舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~で、中川が主人公の星野鉄郎を演じる。

 『銀河鉄道999』は、1978年にテレビアニメ化、1979年には劇場アニメ化され、アニメ史に残る大人気作品。裕福な人々が機械化人となり永遠の命を謳歌する未来世界を舞台に、機械伯爵に母を殺された主人公、星野鉄郎が、謎の美女メーテルとともに銀河超特急999号の乗り込み、機械の体をくれる星を目指して宇宙空間を旅する物語。

 原作者、松本零士への思いや作品が持つテーマ性について、16歳の星野鉄郎を演じること、そして書き下ろしたテーマ曲のことから話題はカンボジアの旅にまで広がり、今の中川晃教の思いをたっぷりと語ってくれた。

松本先生が総監修をしてくださることがありがたい

拡大中川晃教=冨田実布撮影
――誰もが知る大人気作品『銀河鉄道999』の舞台化です。

 プレッシャーがないとは言わないけれど、松本先生がこの舞台版の総監修をしてくださるということを、とてもありがたいことだなと感じています。先生は「自由でいい、型にとらわれなくていい、踊ろうが歌おうが芝居をしようが、自由だよ」と言ってくださっています。そして舞台化されることを「ワクワク、ドキドキする」と。この作品のスタート地点はそこにあるんですよね。今までいろんな舞台に出させていただいていますが、ここまで原作の方が舞台版の上演に関わって、協力して、入り込んでくださることは、とても稀有なことだなと思うんです。

――そうなんですね。

 松本先生自身の経験がこの作品の中に描かれています。星野鉄郎は僕にとっては役だけど、先生にとっては自分自身でもあり、先生自身が生み出したキャラクターなんですよね。なぜ、星野鉄郎と言う名前を付けたかというと、本当は機械工学や化学を勉強したかったそうなんです。そして火星へ行きたいという思いもあった。でもご両親に反対されて諦めてしまったんです。けれど作家になることは認めてくれて、新たな志を持って東京へ出てくる時に鉄道に乗ってきた、だから鉄郎。そして火星へ行きたいという宇宙への憧れが星の上にかかる線路になり、“星野鉄郎”になったと教えてくださいました。

――なかなか聞けないお話ですね。

 そうなんです。そういうひとつひとつのことを、先生がいてくれるからこそ、先生の言葉でリアルに聞くことができる。それって他の作品ではなかなか得られないことだと思うし、とても幸せな環境だと思うんです。先生がこの作品に関わってくださるから、先生が言う自由という表現も含めて、先生の息吹をちゃんと感じて舞台版の鉄郎を演じたいと思っています。自由って何でもやっていいということではなく、自分が経験してきたことひとつひとつをあてがいながら、この役に挑戦したいですね。

――鉄郎役は挑戦なんですね。

 原作ファンの方も舞台版は観たことない――これは新たな始まりなんですよね。「旅は続いていくし、旅は終わらない」というこの作品が持つテーマを舞台版で感じていただきたいですし、その新たな始まりを追い風にして、プレッシャーではなく挑戦する勇気に変えていきたいです。

◆公演情報◆
銀河鉄道999 40周年記念作品
舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~
2018年6月23日(土)~30日(土) 東京・明治座
2018年7月21日(土)~22日(日) 北九州・北九州芸術劇場大ホール
2018年7月25日(水)~29日(日) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
※チケット一般販売中
〈お問い合わせ〉東京音協03-5774-3030(平日11:00~17:00)
[スタッフ]
原作・総監修:松本零士
脚本:坪田文
演出:児玉明子
映像演出:ムーチョ村松
銀河鉄道999テーマ曲・中川晃教
音楽:久保田修
[出演]
中川晃教、ハルカ、染谷俊之、矢沢洋子、雅原慶、美山加恋/入野自由/お宮の松、小野妃香里、塚原大助/凰稀かなめ(特別出演)/平方元基 ほか
公式ホームページ
公式ツイッター
〈中川晃教プロフィル〉
俳優、シンガー・ソングライター。2001年デビュー。その後、ミュージカル『モーツァルト!』の主演に抜擢され、第57回文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、読売演劇大賞優秀男優賞、杉村春子賞を受賞。主な舞台出演作に『HEADS UP!』『‏Beautiful』『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』『フランケンシュタイン』『マーダー・バラッド』『ジャージー・ボーイズ』『グランドホテル』など。『SONG WRITERS』『あかい壁の家』『星めぐりのうた』『銀河英雄伝説 撃墜王篇』『女信長』『ピトレスク』など、舞台出演と同時に楽曲提供もしている。
中川晃教official web site

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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