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『アンナ・カレーニナ』出演者インタビュー/上

劇団スタジオライフ、石飛幸治×笠原浩夫×岩﨑大×久保優二

真名子陽子 ライター、エディター


拡大左から、久保優二、笠原浩夫、岩﨑大、石飛幸治=冨田実布撮影

 5月26日から上演されるスタジオライフ『アンナ・カレーニナ』。今回上演するのはジョー・クリフォード版で、日本初上演となる。演出家・倉田淳に続いて、出演する石飛幸治、笠原浩夫、岩﨑大、久保優二に話を聞いた。台本を読んでの感想や役柄についての考察、役作りなど、たっぷりと語ってくれた。4名の配役は下記のとおり。

・笠原浩夫=アレクセイ・ヴロンスキー〈アンナの恋人〉
・岩﨑大=アンナ・カレーニナ〈カレーニン夫人〉
・久保優二=カテリーナ・シチェルバツカヤ(=キティ)〈ダリヤ(ドリー)の実妹〉
・石飛幸治=ダリヤ・オヴロンスカヤ(=ドリー)〈アンナの兄嫁〉

本読みをしてこれは難しい作品だなと

――まず、台本を読んでの感想をお願いいたします。

石飛:よくここまで短くしたな、これはすごいなと思いましたね。大長編小説をジョー・クリフォードさんが2時間半の戯曲にしています。英語で2時間半なので、それを日本語にするともうちょっと長くなるんですよね。まだこれから、きっとカットすると思うんですけど、よくこんなに端折ったなと思いました(笑)。

――その戯曲を日本語に訳して、倉田さんが台本に落とし込んで……。

石飛:翻訳家の阿部のぞみさんと落とし込んでいる最中です。最初に読んだ時はこんなに短くしてすごいなと思ったんですけど、いざ皆で本読みをするとこれは難しい作品だなと(笑)。演劇として立ち上げた時に初めて見えてくるものもたくさんある台本だなと思いました。

久保:原作を読んでいると、やたらと目線で会話してません? どういう目をして言葉を受け取って、どういう目をして言葉を返しているか……。

――細かい描写が書かれてありますね。

久保:そう。それが言葉だけじゃなくて、目や表情、身体表現で表しているところが多いんです。凝縮された台本の中でそれを表現する……そこがかなりシビアで難しいなと思いましたね。原作ではひと言でまとめられているけれど、それまでの過程をどう出せばいいんだろう、みたいな。

――演技としてどう出すか?

久保:そうです。そこが伝わらないと次のシーンにお客さまがノっていけないよね、って思うんです。

笠原:僕は『アンナ・カレーニナ』を読んだことも観たこともなかったんです。名前はもちろん耳にはしていましたし、トルストイの作品であるということは知っていました。19世紀帝政ロシアの社交界の話なので、これは気難しいだろうなという印象のもとに読み始めたんです。石飛も言ったように、この長編作品をよくここまでギュッと凝縮されたなと。『GREAT EXPECTATIONS—大いなる遺産—』でもやらせていただいたジョーさんの手腕がすごく発揮されている本だなと思いました。当時の社交場での愛の形などがすごくわかりやすく書いてあります。最近、巷で騒がれているような愛の形も入っているわけですが、なんだろう……真実の愛を求めている作品、それをわかりやすく提示している作品なんだなと感じました。すごく残酷だなとも思いましたし、そういうのはやはり美しいんだなと。ジョーさんはそういうことを言いたいんじゃないかなと思いました。

岩﨑:3組のカップルがいて、その人間たちが絡んでいないようで、すごく密に絡んでいるという印象を受けましたね。こっちは幸せを探している、こっちは不倫している――対極なんだけれども、それがまったく噛み合っていないわけでもないんですよね。どこかで繋がっているから、こっちは幸せに見える、こっちは不幸に見えるという対比の描写が、3組それぞれにあるような気がしています。ひとつのカップルに集約してもちゃんと成立するお話なんですよね。だけど、3組あるということで、この『アンナ・カレーニナ』という作品は作られているのではないかなと思います。

キティの要素が僕の中にもある

拡大左から、久保優二、笠原浩夫、岩﨑大、石飛幸治=冨田実布撮影

――では、それぞれの役について教えてください。

石飛:僕はドリーというアンナのお兄さんの奥さんで不倫されてしまう役です。生きてくために我慢して、今で言う卒婚じゃないけど、そんなことができる時代でもない。でも、今の世の中、こういう人がたくさんいるんじゃない?と思ったりします。大半がそうなんじゃない?と思うカップルの代表です(笑)。

――そうですね……。

石飛:我慢して生きていくためにやらなきゃいけないことがある。我慢して生きている人の代表の役だけど、こういう人の気持ちも大切だよなって(笑)。

――我慢するということ?

石飛:そうですね。女の人が一人で何かをやるというのは到底無理な時代の中で、我慢しながらもがんばって生きていこうとするところは、今も同じなんじゃないかなと……。なかなか難しい役ですけど、絶対に通じるものが現実の中にあると思います。

――久保さんは石飛さん演じるドリーの妹、キティです。

久保:原作を読んで、キティに対してそうだよね、その通りだよねってならないんですよね。キティ自身が持っている生きていく上での一義が段々変化していくじゃないですか。勝手な解釈ですけど、キティは人のことを思っているようで、結構自分のことを中心に考えていることが多いなと思ったんです。人を傷つけないように言葉をかけるんだけど、それは自分がどうこう思われたくないし、そんなことで悩みたくない――そういう状況に陥りたくないから言っているように僕は感じるんです。でもそれって僕自身の中にもあるんですよね、昔から(笑)。逃げですね。

――逃げというのは?

久保:いろんなことから逃げてばっかりの人間なんで、僕は。すごくネガティブな考えで読んでいると、キティに対してそんなことを感じるんです。最初の印象は、すごく人のことを考えて言ってるんだなと思うんですけど……なんだろう、結構無難に生きてんだなって(笑)。後々になって、その逃げてきた分が返ってきて……。

笠原:(笑)。まだ世間知らずなお嬢さんだから、しょうがないよ。

石飛:これからがんばろうって未来に向かえるからいいじゃない(笑)。

笠原:でも、キティって魅力的だと思わない?

石飛:思う、すごく魅力的。

笠原:みんなが一目置いているような存在だったんでしょ。

拡大石飛幸治(右)と久保優二=冨田実布撮影

――では、久保さんの思うキティの魅力的なところは?

久保:……魅力的なところ。

――こういうところは共感できるとか。

久保:共感できると言ったら、さっきのネガティブな感じになっちゃうんですけど。

――(笑)。ポジティブなところで。

久保:ポジティブ……。

(一同沈黙)

石飛:この沈黙、何?(笑)

久保:次、いきましょう…。

一同:(笑)。

◆公演情報◆
スタジオライフ公演『アンナ・カレーニナ』
2018年5月26日(土)〜6月10日(日) 東池袋・あうるすぽっと
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:レフ・トルストイ
脚本:ジョー・クリフォード
翻訳:阿部のぞみ
演出:倉田淳
[出演]
石飛幸治、笠原浩夫、楢原秀佳、山本芳樹、曽世海司、岩﨑大、船戸慎士、関戸博一(иチームのみ出演)、仲原裕之、宇佐見輝、久保優二、千葉健玖、吉成奨人、伊藤清之、鈴木宏明、前木健太郎/藤原啓児
※и(イー)チームとс(エス)チームのダブルキャスト公演
★倉田淳インタビューはこちら
〈石飛幸治プロフィル〉
スタジオライフシニア(1991年入団)。劇団の作品を中心に、ミュージカル「レ・ミゼラブル」など外部の舞台にも多数出演している。スタジオライフでの出演作品は『BLOOD RELATIONS血のつながり』『トーマの心臓』『PHANTOM -THE UNTOLD STORY』など。
〈笠原浩夫プロフィル〉
スタジオライフシニア(1992年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』『DAISY PULLS IT OFF』『THREE MEN IN A BOAT+ワン』『トーマの心臓』など。
〈岩﨑大プロフィル〉
スタジオライフ第三期生(1998年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『はみだしっ子』『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』『DAISY PULLS IT OFF』『トーマの心臓』など。
〈久保優二プロフィル〉
スタジオライフ第十二期生(2013年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『はみだしっ子』『エッグ・スタンド』『DAISY PULLS IT OFF』『BLOOD RELATIONS血のつながり』など。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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