青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト
1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
せめて「申し訳なさそうな顔」ぐらいしましょうや……
日大アメフト反則タックル問題の、途中で最大級の燃料補給をしたと思われる、あの“記者会見における司会者”広報部職員米倉久邦氏ですが、私はあの会見のあの司会者の有様を見ながら、このおっさんの言ってることは、テレビ見ながら文句いってるやつの、その文句と一緒だなあと思った。
テレビでこの手の記者会見を見ながら「同じことなんべんも聞くなよー」とか「質問1個って言われてんだろ何いくつもダラダラきいてんだよー」とか「こいつ自分のパフォーマンス見せるのが第一かよー」とか、ぶーぶー文句つけたりするでしょう。で、そういう文句つけてる時というのはだいたい「オレにはモノが見えている」と思ってるわけだ。寝っ転がってふんぞり返りながら。
それを“記者会見の司会者の立場”でやっちゃったのが、あの日大広報の米倉さんだろう。
ネットを見てたら、「サンジャポ(サンデージャポン)が米倉氏をコメンテーターとして出演オファー」とかいうホントかウソかわからないニュースを報じていて、今はコテンパンに叩かれてるけど、サンジャポあたりで好き放題言ったりしたら人気者になると思う。杉村太蔵氏も議員時代はあんなにバカにされ忌み嫌われていたのに、今では、なんか「人気コメンテーター」みたいなことになってるじゃないですか。日大の米倉さんもそうなれると思う。あの、テレビ見ながら誰でも考えそうな、凡庸な世相批判。ああいうのは「辛口コメンテーター」としてちょうどいい。
ただ、米倉さんのルックスが、杉村さんのような愛嬌に欠けるところに難があるけれど、記者会見の時に見せた、渋い渋い、渋茶を煮詰めたような表情というのはわりとキャッチーであるともいえるし、今どきはそういう顔の人が辛口のことを言い、たまに「お茶目なこと」、たとえばAKB総選挙の話題振られたりしてトンチンカンなこと言ったりするだけで「ヨネクラ、かわいーじゃん」とかいうことになってレギュラーの地位を射止め、きっとまた「オヤジの常識」を元にした暴言をかましたりして炎上する……のではないか、ということまで想像できてしまった。こんなことにならないように願っている。
米倉さんは共同通信社のエライ人出身だそうなので、特別にエリート意識があって、「そんな、共同出身のオレがワイドショーなんか出てられるか」とテレビをバカにしてて、そんな話はキッパリ断ってほしい。でもテレビをバカにしてる人ほどテレビには弱いもので、頼まれたらふらふら出てしまうんではないかと心配だ。
まあとにかく、この米倉さんをはじめとして、日大アメフト反則タックル問題が、皆さんの気持ちをもり立てる(へんな言い方だけど、他に言い方が思いつかない。どう考えても「もり立てられてる」気がする)のは、