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新潟遭難事故、親子の命を助けられない日本のTV

反知性を進めた芸能人コメンテーターの罪

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

松平山の登山口拡大遭難した親子が登ったとみられる松平山の登山口

 前回の記事「新潟親子遭難死は救えた命かもしれない――矛盾点を検証した結果見えた捜索の問題点」に引き続き、新潟県の渋谷甲哉さん(37)と長男で小学1年生の空くん(6)が五頭(ごず)連山で遭難死した事故について論じたいと思います。前回は捜索側の動きに焦点を当て、私の取材も交えて、様々な矛盾点から捜索における問題点を洗い出しました。

 特に、渋谷さん親子が紫色(下記の地図)で記した周回コースを辿っていることが想定されず、本来捜索するべき赤色で囲った部分ではなく、全く関係の無い水色の部分を捜索したことで、生存確率の高い期間を逃してしまった可能性が高い点を指摘しました。

筆者作成拡大五頭連山周辺の地図=筆者提供

矛盾に気が付かないTVコメンテーター

 他にも様々な捜索上の矛盾点を指摘しましたが、今回の遭難事故においてはマスコミの報道も酷かったと感じています。

 たとえば、前回も触れた2018年5月11日放送の『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)では、遭難事故を扱うコマの冒頭で、甲哉さんの父・秀雄さんへのインタビューを流し、そこでは甲哉さんが「GPSを見たら松平山と五頭(ごず)山の間にいる」と言っていたと発言しています。GPSに関する情報は足取りを追う上で大変貴重な情報で、これをベースにその後の動きを推測するのが普通でしょう。

 ところが、番組ではその後もMCの宮根誠司氏を中心に、「登ったのは赤安山なのか松平山なのか」「両方登るのは小学1年生の子供を連れても可能か」「松平山は14時入山で夕暮れまでに下山は可能か」という、無関係の論点を延々と話していたのです。

 番組で使用していたフリップも、赤安山と松平山をピストン(登りも下りも同じ道を往復)するルートしか記載しておらず、証言のあったGPSの位置も渋谷さん親子が辿ったであろう五頭山へ経る周回コースも記載がありません。それどころか、避難小屋の位置も間違っており、不正確な情報までも流していました。

 スタジオにいる番組コメンテーターたちも、秀雄さんのGPSに関する証言を聞いていれば、「え、渋谷さん親子は赤安山ではなく、松平山を越えて五頭山方面に向かったのはほぼ確実ではないのですか?」「何故、警察は五頭山方面とは関係の無いところを捜索しているのですか?」と突っ込めると思うのですが、誰もそうしません。前回触れたように、甲哉さんの16時の電話で「街の灯が見えた」と聞いたという秀雄さんの証言の矛盾についても見事にスルーです。

TVの質低下を招いた芸能人コメンテーター ・・・ログインして読む
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筆者

勝部元気

勝部元気(かつべ・げんき) コラムニスト・社会起業家

1983年、東京都生まれ。民間企業の経営企画部門や経理財務部門等で部門トップを歴任した後に現職。現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱う。著書に『恋愛氷河期』(扶桑社)。株式会社リプロエージェント代表取締役、市民団体パリテコミュニティーズ代表理事。所有する資格数は71個。公式サイトはこちら

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