岸田法眼(きしだ・ほうがん) レイルウェイ・ライター
2007年1月にライターデビュー。旅、鉄道、小説、時事問題、プロ野球、大相撲、平和などをテーマに執筆。『TRAIN MODELING MANUAL』(ホビージャパン)、『鉄道のテクノロジー』(三栄書房)、『鉄道ファン』(交友社)、『ハフポスト日本版』などに寄稿している。
※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです
手荷物検査は難しい。車内警備の強化、防犯カメラの増設、自由席廃止などの対策を
2018年6月9日、東海道新幹線〈のぞみ265号〉東京発新大阪行きが新横浜―小田原間を走行中、男性1人の命が奪われ、女性2人が重傷を負う刺傷事件が発生した。この惨事は、〈のぞみ〉の乗車率が高い新横浜―名古屋間を狙った、通り魔あるいはテロともいえるもので、憤りを覚える。
今回の事件後、一部のメディアでは手荷物検査の導入、金属探知機つき自動改札機の開発を求めていたが、現時点で、鉄道の現場にそれを採り入れるのは、現実的には難しい。
駅の広さ、始発駅の客扱い時間(乗降用ドアが開いてから閉まるまで)、途中駅の停車時間が列車によってまちまちなので、それを導入すると、駅が混乱し、当該列車に乗り遅れる乗客が増える。苦情の原因にもなるだろう。また、手荷物といっても、カバンからスーツケースまで様々だ。空港にある設備を駅に設置したとしても、全席指定の航空機に対し、列車は、指定席と自由席に分かれるため、さらなる混乱を招くのではないか(特に自由席)。
開発して導入したところで利用客の9割がひっかかるだろう。硬貨、ベルト、ファスナーなど、人々は常に金属を身につけている。空港などでのように、バスケットなどに入れて係員に渡したあと、自動改札機を通るようにすれば、さらに手間と時間がかかる。
事件後、気になったのは当該列車の車掌の数だ。
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