メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

スタジオライフインタビュー/仲原裕之

吉田秋生原作『カリフォルニア物語』を10年ぶりに再演

真名子陽子 ライター、エディター


スタジオライフインタビュー/若林健吾×千葉健玖

瑞々しさや葛藤、若さゆえの視野の狭さなど、今の僕にできるかな

拡大左から、若林健吾、仲原裕之、千葉健玖=冨田実布撮影

――初演時は出演していなかったんですよね。劇団員ではあったんですか?

 そうです。初演は出ていなくて、新人でしたのでロビー周りのお手伝いをしていて、両チームを1回ずつ観たくらいでした。稽古場も少し見学させてもらったくらいで。

――では今回『カリフォルニア物語』を上演すると聞いて、そしてヒース役と聞いていかがでしたか?

 ヒースは初演で岩﨑(大)さんがやっていて、すごくカッコよかったんです。「いいな、やりたいな」と思ったんですけど、『カリフォルニア物語』をまた上演するとは思っていなかったんです。だから今回、上演が決まったことにまず驚きましたし、自分がヒース役をすると聞いて、できるかなあ……と思いました。初演時は僕も若かったですから(笑)。ヒースが持つ瑞々しさや葛藤、若さゆえの視野の狭さなど、今の僕にできるかなと。

――そうなんですね。

 初演のことをあまり覚えていなくて、改めて原作を読むうちにいろいろと思い出しまして。歌があったなと思って、「歌うんですか?」って藤原さん(藤原啓児/劇団代表)に聞いたら、「歌はないから大丈夫」って言ったので安心していたら……ありました(笑)。ソロで歌うことはないんですけど……今のところ。

 ヒースは主人公なので物語の中で点でなく線で出ますし、とても意気に感じています。でも今回はヒースがほぼ出ずっぱりなので、台本を読んだときにこれは大変だなと。若い役者もたくさん出ていて、今回は「Next GENERATION」となっています。僕も入っていいんだろうかと思いながら……。

みんながヒースにしてくれる

拡大仲原裕之=冨田実布撮影

――そんな葛藤の中、お稽古が始まっていかがですか?

 言ったようにずっと出ていますし話していますので大変なんですけど、倉田さんが、台本には描かれていない、原作の部分、そこをちゃんと埋めないといけないと言ってくださって。本当にその通りで、言葉の裏にあるものを探りながら稽古を進めています。セリフや動きを覚えないといけないんだけど、いい意味で楽なんですよね。いい意味でね。

――繋がっていってるから?

 そうです。最初はヒースを演じなければと思っていたんだけど、ある時、みんながヒースにしてくれると思ったんです。もちろん自分で掘り起こしていかないといけないんだけど。ヒースはいろんな人と出会うんですけど、ちゃんと会話したことを身体に刻み込んでいけば、吉田秋生先生の原作のパワーがすごく強いので、物語に漂えば自然と気持ちが作り上げられていくなと思っています。自分でやらなきゃと思いすぎてしまうと、行きたいところへ行けないかなと、今感じています。

――なるほど。

 ヒースは周りから受ける刺激がたくさんあって、過去と向き合ったり、優しさに触れたり、葛藤したり、刺激が絶えずくるので、それに対して素直にリアクションすればいいんだと。まだまだ、拾い切れていないんですけどね。

先輩がもがいている姿をちゃんと見ておけ

拡大仲原裕之=冨田実布撮影

――仲原さん演じるヒースはシングルキャスト、対してイーヴはWキャストです。

 相手によって変えている意識はなくて、自然と変わってくるんですよね、不思議と。目の表情や言葉のかけ方とか、相手によって違うよってみんな言うんですけど、自然とそうなっている。普段から一緒に過ごす時間が長くてよく知ってるから、勝手に変わっていくんだと思います。若林は無垢な感じで、千葉はほっとけない感じ。自然と僕の表情も変わってくるんだろうなと思います。

――今回は後輩の方々がたくさんキャスティングされていますし、メインキャストでは仲原さんが一番上の期になります。

 前の僕だったら、皆を引っ張っていこうって思ったと思うんですけど、今は、ちょっとカッコいい言い方をすると、背中を見ててって思うんです。前は言葉にしてたんですよ、ちゃんとしてこいとか、なんでできていないんだとか。考え方が変わってきました。

――その理由は?

 僕も年を取ったからでしょうかね(笑)。でも、倉田さんのダメ出しをされている先輩を見て、絶対に馬鹿にするなよって言うんです。あの人できない人なんだって思うなよと。先輩がもがいている姿を見てどう思う?って。いつも言うんです、もがいている姿をちゃんと見ておけと。まあ、それを笑うような人間は、今ここには残っていないんですけど。

 ここまでくると、俺ももがいてるぞ、そういう姿を見ておけよって思うようになりました。僕、自己矛盾の人間なんで、理路整然と言えないというのもあるんですけどね。居方を見て何かを感じてくれたらいいなと。みんなしっかりしてるので、いろんなことをキャッチしてくれると思います。それでダメだったらダメかなと……(笑)。

拡大仲原裕之=冨田実布撮影

――仲原さんが若手の時に先輩のもがいている姿を見てきたからですか?

 そうなんです。そういう姿を見せてくれた先輩がいたので、そう思えるんです。藤原さんにも聞いたことあるんです。「藤原さんのキャリアでも、あれだけダメ出しされるんですか」って、新人の時に聞いたことありますもん(笑)。昔、河内さん(故河内喜一朗/劇団スタジオライフ創始者)がワークショップで、もがきながらも前に前に進もうとしている姿が、すごく素敵で本当に感動したんです! その姿が刻み込まれているから、そう思うんだと思います。

――そもそも、その先輩の姿を見てカッコ悪いと思うってことは、自分はカッコ良く見せたいと思っているということですもんね。

 うーん、何というかその時点で集中するところが違うのかな。稽古場は、恥をかきに来ているようなもので、自分を隠したらダメなんです。小さい枠の中で表面だけでやってしまうと、自分の内にあるパワーは下へ落ちてしまうんですよね。僕たちはお客さまへ届けないといけないですし、相手役にも届けないといけない。今、後輩たちももがいていますけど、早くひとつ壁を破って先の世界へ進んで欲しいです。そしたらまた壁があるので、またそれを破ってその先へと。今回は僕もチャンスなんですよ。ここまで長くひとつの線で演じられる役はなかなかないですから。そして、後輩たちもそうやってもがける環境にいられることは、チャンスなんですよね。

◆公演情報◆
スタジオライフ『カリフォルニア物語』
2018年7月20日(金)~8月5日(日) 東京・THE POCKET
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:吉田秋生「カリフォルニア物語」(小学館刊)
脚本・演出:倉田淳
[出演]
仲原裕之、宇佐見輝、澤井俊輝、若林健吾、千葉健玖、吉成奨人、伊藤清之、鈴木宏明、前木健太郎//中野亮輔(客演)、宮崎卓真(客演)/石飛幸治、藤原啓児 ほか
〈仲原裕之プロフィル〉
スタジオライフ第八期生(2005年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『アンナ・カレーニナ』『はみだしっ子』『卒塔婆小町』『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』など。
〈若林健吾プロフィル〉
スタジオライフ第十一期生(2012年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『DRACULA~The Point of No Return~』『はみだしっ子』『卒塔婆小町』『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』など。
〈千葉健玖プロフィル〉
スタジオライフ第十二期生(2013年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『DRACULA~The Point of No Return~』『はみだしっ子』『卒塔婆小町』『THE SMALL POPPIES』『エッグ・スタンド』など。

・・・ログインして読む
(残り:約2211文字/本文:約5441文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

真名子陽子の記事

もっと見る