足立佳奈、Tik Tok、ダンス動画
2018年07月23日
この連載のそもそもの出発点は、私なりにテレビとネットを比較してみたいということだった。「テレビの時代からネットの時代へ」と言ってしまえば話は簡単だが、現実にはテレビとネットには似ている点もあるし、そうでない点もある。意外にテレビとネットの関係は入り組んでいる。そのあたりをじっくり考えてみようということだった。
今回は、そういう目でとらえたときの、ネット動画とテレビCMの比較である。最近の動向を見ると、ネット動画がまるでテレビCMのように感じられる瞬間が増えた。以下、そのあたりを紐解いていきたい。
足立佳奈、と聞いてもよく知らない人もまだ多いだろう。だが10代の若者のあいだではすでに有名な存在だ。
1999年生まれの彼女は、歌手としてはすでに4枚のCDをリリースし、バラエティ番組やNHKEテレ『高校講座 国語表現』のMCも務めている。また新しい連ドラ『チア☆ダン』(TBSテレビ系)にもレギュラー出演している。
とは言っても、今後の活躍が期待される歌手やタレントはほかにもいる。ここで特に彼女を取り上げるのは、彼女がネット動画で注目されたということがあるからだ。
足立佳奈がブレークしたきっかけは、自分のツイッターアカウントにアップした一連の自作「15秒ソング」だった。なかでも2017年2月に投稿された下記の動画は中高生のあいだで一躍評判になり、これをもとにした曲「笑顔の作り方~キムチ~」でメジャーデビューを飾った。
ぎょーーーー!!
— 足立 佳奈 (@kana1014lm) 2017年2月5日
みつけちゃった!!!!
誰でも笑顔を作れる言葉!!
それは、、、、。
『キームーチー』。#15秒オリジナル#笑顔の作り方#キムチ pic.twitter.com/dyXDtMVii8
「15秒の楽曲」と聞くと珍しい印象もあるが、私たちはその長さの音楽を日常的に耳にしている。CMソングである。CM用につくられる曲もあるが、タイアップによって楽曲の一部が使われる場合もある。たとえば1990年代の小室ブームは、JR東日本のCMで流れてメガヒットとなったglobeの「DEPARTURES」(1996)などタイアップによって支えられた面が大きいのはご存知の通りだ。
ただ、足立佳奈の場合は、順番としては逆である。最初は15秒が楽曲そのものの長さだった。そしてそれがCD用の拡大バージョンとなった。いずれにしても、15秒ソングのインパクトは大きかったのだろう。その後も彼女の楽曲は企業CMとのタイアップにたびたびなっている。
実は、私自身動画の長さについてこれまであまり気にしたことがなかった。長かろうと短かろうと、面白いものは面白い。そう思っていた。
確かにそうなのだが、最近の傾向を見ると、どうも動画はどんどん短くなっている感じがする。そんなショートムービーの長さは何通りかあるのだが、なかでも特に今回気になったのは
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