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【公演評】花組『MESSIAH』

明日海りお、名実ともに花組の“メサイア(救世主)”に。カリスマ性が艶やかに花開く

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『MESSIAH』公演から、天草四郎役の明日海りお=岸隆子撮影

 花組、ミュージカル『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』、ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』が、7月13日、宝塚大劇場で初日を迎えました。

 主演の明日海りおさんが演じるのは、歴史上の人物・天草四郎時貞。江戸時代初期のキリシタンで、島原の乱を率いた総大将として有名ですが、今回は異聞と題し、四郎がもとは海賊だったという大胆な設定になっています。

 2014年、花組トップスターに就任し、メサイア(救世主)と呼ばれる演目が似合うほどに、そのカリスマ性はますます花開いてきました。同じく歌唱力の高い仙名彩世さんを相手役に、柚香光さんら花組生たちの厚い信頼を集めながら、円熟期を迎える明日海さんは、今日も光り輝いています。(以下、ネタバレがあります)

フェアリーから逞しい男役へ

――明暦2年(1656年)、江戸城。南蛮絵師の山田祐庵(柚香)は、徳川家綱(聖乃あすか)から20年前に肥前島原で起きた乱の真実を知りたいと請われ、天草四郎時貞(明日海りお)について語り始めた。時はさかのぼって寛永14年(1637年)、九州天草。重い年貢や飢饉に悩まされながらも、禁教である天主(デウス)への信仰を支えに、人々は懸命に生きていた。長い嵐が過ぎ去った復活祭のある日、大矢野島に夜叉王丸(明日海)が流れ着く。かたくなに口を閉ざすその不審な男に、村人たちは警戒するが、不思議に惹かれた渡辺小左衛門(瀬戸かずや)は、彼を妻・福(桜咲彩花)の父・益田甚兵衛(一樹千尋)の元へと連れていく。こうして夜叉王丸は四郎と名付けられ、この地で新しい生活を始めることとなった。

 銀橋に這い上がった人物にスポットが当たると、倭寇の頭目、いわゆる海賊のリーダー・夜叉王丸様の登場です。明日海さんはロングヘアを高く結い、着物をアレンジした衣装もワイルドで、実に男らしい! 当初は小柄でキュートなルックスが庇護欲をかきたて、フェアリー系男役の印象が強かった明日海さんも、今では頼もしい大人の男役に成長しました。荒くれものたちを率いる夜叉王丸の豪快さや、のちに四郎として村人たちの気持ちを一つにし蜂起させる力強さは、確かな実力と求心力で花組をまとめてきた自身の姿に重なるよう。今回の題名は、メサイア=救世主。トップらしいカリスマ性も身に着けた明日海さんの完成形のような舞台となりました。

◆公演情報◆
ミュージカル『MESSIAH(メサイア) −異聞・天草四郎−』
ショー・スペクタキュラー『BEAUTIFUL GARDEN −百花繚乱−』
2018年7月13日(金)~ 8月20日(月) 宝塚大劇場
2018年9月7日(金)~ 10月14日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
『MESSIAH』
作・演出:原田諒
『BEAUTIFUL GARDEN』
作・演出:野口幸作

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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