批判をしても彼女の差別はやめさせられない
2018年07月31日
自民党の杉田水脈衆議院議員(比例中国ブロック)が、「LGBT支援の度が過ぎる」「LGBTのカップル(中略)は子供を作らない、つまり『生産性』がないのです」という主張を月刊誌「新潮45」2018年8月号に寄稿をして、大きな批判や非難を浴びています。
批判はインターネット上からマスコミに広がり、さらに、CNNや中東の放送局アルジャジーラも批判的に報じるなど、波紋は世界中に広がっています。2018年7月27日には自民党本部前で議員辞職を求める大規模な抗議も行われました。国会議員による差別発言は当然許されるべきではありませんから、議員辞職に相当すると言えるでしょう。
ただし、杉田氏による「LGBTは生産性がない」という発言は今回が初めてではありません。
たとえば、国会議員の落選中、評論活動を中心に行っていた2015年には、自身のブログにて「LGBT支援策が必要でない理由〜私の考え」という記事を投稿し、「生産性のあるものと無いものを同列に扱うには無理があります」と、同様の趣旨の発言をしています。当時このブログは当然炎上したわけですが、その後ゲスト出演したインターネットTV「日いづる国より」でも、「生産性の無い同性愛の人たちに皆さんの税金を使って支援する、どこにその大義名分があるのですか?」と、ブレることなく繰り返しています。また、この番組では、「同性愛の子どもは自殺率が6倍高い」と指摘を受けた話を披露し、それでも支援は必要ないと笑いながら話していました。
彼女の酷い発言の矛先はLGBTだけに留まりません。女性差別も卑劣です。次世代の党所属であった2014年10月の国会では、「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」と語り、日本の女性差別を正当化していました。
日本の性暴力の惨状を詳しく報じたBBCのドキュメンタリー番組『Japan Secret Shame』で杉田氏はインタビューに答えています。ここでは、元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之氏から受けた準強姦を告発している伊藤詩織氏を、「女として落ち度があった」と叩いたことがインターネット上で大きな話題となったことは、記憶に新しい人もいることでしょう。
彼女の主張はホモソーシャル(※「ミソジニー(女性嫌悪)」と「ホモフォビア(同性愛嫌悪)」を抱える男性同士の強い連帯や同調)ど真ん中と言えるわけですが、このような問題発言は枚挙に暇がありません。
それゆえ、今回彼女の問題をマスコミが大きく取り上げ、大規模な批判が起こっているのには、正直なところ「ようやく」「今さら」という気持ちになりました。もちろん、取り上げられないとしたらそのほうが問題ではあるのですが、今まで平然と見過ごされ、傷ついた人たちが多々いたことを忘れてはなりません。
その一方で、一連の杉田批判にはやや疑問を感じるところがあります。それは、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください