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『未来のミライ』齋藤優一郎プロデューサーに聞く

「自分が必要とされる限り、細田守監督の志や哲学に向き合っていきたい」

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

監督週間の舞台挨拶に立つ細田守監督(左)と、主人公くんちゃんの声を担当した上白石萌歌さん =撮影・筆者拡大カンヌ映画祭監督週間の舞台挨拶に立つ細田守監督(左)と、主人公くんちゃんの声を担当した上白石萌歌さん=撮影・筆者
――監督週間は非常に作家性を見て作品を選びます。歴史的にもカンヌの公式部門より、その傾向が強いと言えます。実際、『未来のミライ』は、アニメを意識する以前に、映画的な作品であることに大変感動しました。

齋藤 ありがとうございます。細田監督はアニメーションという表現で映画を作る映画監督です。彼が描く子どもたちの未来と成長、その彼らを取り巻く家族や社会の問題意識を表現するのに、最も適しているのがアニメーションという表現だと思っています。カンヌ映画祭は、描くべきモチーフやテーマを持つアニメーション映画を、ジャンルとして差別せずに選んでくれました。映画に対する純粋さや懐の広さを、この場所は持っている。映画を高いレベルで尊重する場所だとも感じました。

――監督週間のプレミア上映の際も、「細田監督ファン」と名乗る方が客席にいましたね。フランスでも着実に新作を待つファンが育っていることを感じます。ヨーロッパはアニメの世界戦略の上でも大事な地域なのでしょうか。

『未来のミライ』フランス版ポスター(C)2018 スタジオ地図拡大『未来のミライ』フランス版ポスター (C)2018 スタジオ地図
齋藤 そんな大それたことではありません(笑)。僕の中ではシンプルなことです。なぜなら細田監督は、自分の家族の中で起こっている喜びや問題意識というのは世界中の家族の中でも起こっていて、例えば、自分の家族の問題を解決することができたなら、世界中の家族の問題をも解決することができるんじゃないかと思っている。アニメーションという表現で作った映画を通して、そういったことを世界中の人々と共有したいと思っている。僕は、彼のそういった気持ちや作品性を、プロデューサーとしても同じように体現し、チャレンジしていきたい、それだけなんです。

――齋藤プロデューサーはアメリカに留学されていたので、海外の状況も肌でご存知かと思います。例えば、日本のアニメを巡る状況に違和感をもつ部分はありましたか。 ・・・ログインして読む
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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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