「究極のイメージ産業」皇室に税金を使う重大さはわかるけど
2018年08月10日
皇室は、究極のイメージ産業。
そう表現していたのは、元朝日新聞記者の岩井克己氏だ。1986年に皇室担当記者になり、2005年に「紀宮さま、婚約内定」の記事を書いて新聞協会賞を受賞、2012年の退社まで皇室をウォッチし続けた。そんな日本を代表する皇室ウォッチャーが「文藝春秋」2016年10月号に寄せた文章の中で、そう書いていた。
8月8日付の朝日新聞の朝刊1面「『納采の儀 現状では行えない』 秋篠宮ご夫妻 小室さんに」という記事を、その視点で読んでみると、大変わかりやすい。
書いてあったことをまとめると、
1:眞子さまと小室圭さんを現在のままでは正式に婚約させるわけにはいかないと秋篠宮ご夫妻が判断し、小室家側に伝えた。眞子さまも同席していたし、祖父母である天皇皇后両陛下にも伝えた。
2:小室家側の「金銭トラブル」などは、2017年9月の婚約内定会見までご夫妻も眞子さまも知らされていなかった。
3:結婚は憲法に基づき当事者の意思を尊重すべきだが、同時に皇室の一員としては国民の祝福と理解も不可欠というのが、秋篠宮家の考え。
4:皇族の女性は結婚で皇籍を離れる時に、皇室経済法により「品位を保つため」に国から一時金が出る。眞子さまの場合、1億円超となるとみられる。
5:小室家側は金銭トラブルはないと説明しているが、であれば事実関係を公に説明することが望ましい。これもご夫妻から小室家側に伝えてある。
以上をさらに短くまとめるなら、長く究極のイメージ産業の中で生きてきた「花嫁の父母」が「お金のことはちゃんとしてください。税金をたくさんもらうんだから」と花婿サイドに伝えたという話だろう。
これによって「弁護士事務所に勤めていながら、パラリーガルという補助的仕事をしている」という問題は解決される、または少なくともそのための第一歩だったのだが、どっちにしても400万円の方を何とかしないとダメだということだろう。花嫁の父母は厳しかった。
ちなみに私は、パラリーガルでもいいじゃんと思うが、それはいかんという感じで報じるメディアが多かった。400万円というのは、小室さんの母に「貸している」とメディアで訴えている「母の元婚約者」という人が主張している額だ。
ところで岩井氏の文章だが、「総力特集 天皇生前退位の攻防」の中の1本で、「皇太子ご夫妻への期待と不安」とタイトルがついていた。天皇陛下によるビデオメッセージで「退位」への思いが明らかになった。そのタイミングで岩井氏は、皇太子さまと雅子さまについての思いを率直に綴っていた。2004年、皇太子さまが「雅子のキャリアや人格が否定されるような動きがあった」と発言したことに触れ、こう続けた。
「筆者は『雅子妃のために皇室があるのではない』と思い、いわば『究極のイメージ産業』とも言える皇室を台無しにしていると、何度か皇太子ご夫妻の言動に対する批判記事を署名入りで書いた」
思えば長く、皇室をめぐる困りごとは皇太子ご一家にあった。それに対し秋篠宮家は、悠仁さまが誕生し、佳子さまが大人気になり、眞子さまが大学で出会った男子と婚約内定会見をし、つまり「優等生」だった。
それがここへ来てのつまずき。立て直さねばと、いよいよ秋篠宮ご夫妻が動き出した。イメージ産業としては、実に妥当な判断だと思う。
ここからは失礼を承知の上で、皇室を「イメージ産業株式会社」と置いてみる。いまどきの表現なら、最大の「ステークホルダー」は国民だ。株主であり、消費者でもある。目指すは、イメージという利益の最大化。そのような会社組織になる。
眞子さまの結婚を、これも失礼を承知の上で
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