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多部未華子、ミュージカル『TOP HAT』出演

ダンス初披露に「感情に乗せたダンスができるように」

真名子陽子 ライター、エディター


拡大多部未華子=岸隆子撮影

 ミュージカル『TOP HAT』の日本人キャスト版が、11月~12月に東京と大阪で上演される。ハリウッド・ミュージカル映画を代表するフレッド・アステア&ジンジャー・ロジャースが主演し、1936年に日本でも公開された映画『トップ・ハット』をもとに、舞台版として2011年にイギリスで初演された作品。デュエットダンスの美しさや燕尾服にシルクハット姿で踊るパワフルなダンスシーンが圧巻の作品で、日本人キャスト版の主人公、ジェリー・トラヴァース役を坂本昌行、デイル・トレモント役を多部未華子が演じる。

 今作でダンスを初披露する多部の取材会が行われた。作品のことをはじめ、オーディションの様子やミュージカルに憧れた理由、ダンスへの思いなどを語ってくれた。

仕事をセーブして2カ月ほど練習

拡大多部未華子=岸隆子撮影
記者:この作品の印象と ダンスへの意気込みや思いをお願いします。

多部:資料映像を見させていただいたのですが、華やかなショーという雰囲気が映像からも感じることができました。ダンスについては不安しかありません(笑)。すでに数曲、イギリス版と同じ振りを付けてくださっているのですが、でも、まだまだスキルアップしないといけないなと感じています。

記者:楽しみにしていることはありますか?

多部:お芝居の中で踊るので、ただ単純にダンスを踊るだけではなく、振りの一つ一つに感情があるということを、振り付けの先生にたくさん教えていただいています。感情に乗せたダンスや歌を届けることができるようになれたらいいなと思っています。

記者:前からダンスや歌はされていたんですか?

多部:小学5年生から中学2年生ぐらいまでジャズダンスを習っていて、タップダンスも数回レッスンを受けたことがあります。でも、それから10年以上ほとんどしていなかったので、今回この作品のお話をいただいてから、オーディションでロンドンへ行く前に、仕事をできるだけセーブしながら2カ月ほど練習をしました。

記者:オーディションはどんな感じでしたか?

多部:堅苦しい感じではなく、世間話をするようにフランクな雰囲気の中で始まりました。実際、デイルという役はこうだからもう少しこういう風にやってみようかとか、もうちょっとここの振りはこういう感じでやってみたら?とか、何回もチャレンジさせてくださったんです。そんな雰囲気の中でいろんな方とコミュニケーションを取ることができたからこそ、いろいろ挑戦できましたし、とても楽しかったです。

記者:デイルの印象はどのように捉えていますか?

多部:一人の女性としてとてもカッコよく自立もしていて、でも、今まで出会ったことのない男性に出会って、なぜかわからないけれど惹かれていく――そんな自分に戸惑う女性像だとオーディションの時に伺いました。実際にお稽古に入ると、また新たな印象が生まれると思います。

記者:オーディションに受かった時の感想は?

多部:うれしいというより怖いなと感じました。それは今もありますね。

ミュージカル、大好きだからこそ手を挙げられなかった

拡大多部未華子=岸隆子撮影

記者:坂本昌行さんの印象は?

多部:初めて共演させていただくのですが、ポスター撮りの時もとても優しくお話してくださいましたし、大人な方という印象です(笑)。大先輩ですし、ミュージカルにもたくさん出演されていますので、きっと勉強になることがたくさんあるだろうなと思います。

記者:舞台衣裳として、このようなドレスを着るのは初めてですか?

多部:初めてです。あまりこういうドレスを着る機会がなかったですし、さらにドレスを着て踊るなんて、今まで考えたことがなかったです(笑)。

記者:オーディションに向けて仕事をセーブして練習をしたということですが、やはり出演したいという強い思いがあったのでしょうか?

多部:本当にミュージカルを観るのが好きで、この世界に入ったきっかけもミュージカルを観たことなんです。いつかやってみたいとは思っていましたが、レッスンもほとんどしていませんでしたし、歌も得意ではないですし……大好きだからこそ手を挙げられないという気持ちがありました。でも、20代最後にこのお話をいただいて、踊れないし歌えないからできませんと断る自分はどうなんだろう。やってもいないのにできません、で20代を終えるのが嫌だと思い、ダンスの練習をして挑戦しました。自分自身の意識が変われば良いなと思っての挑戦でしたので、絶対に受かりたいという感覚とはまた違いました。もちろん、受かった時はうれしかったです。

記者:やれることはやって臨みたいというスタンスだったんでしょうか?

多部:そうですね。やれることはやりたかったので、仕事と並行しながら練習するということではなく、努力することに費やす時間が必要でした。

振りの中にいろんな意味があるということを知った

拡大多部未華子=岸隆子撮影

記者:この作品はいろんなダンスナンバーがありますけど多部さんの中で好きなシーンはありますか?

多部:雨の中でジェリーと出会うシーンの曲はとても印象的で、オーディションの課題曲の一つだったんです。演出家さんに一曲の中でいろんな感情が生まれるんだよと教えていただきました。初めは、「何この人?」とツンツンしていたのが、だんだん波長が合ってきて楽しくなって、最後は愛に変わっていく……。今までミュージカルをたくさん観てきましたが、振りの中にいろんな意味があるということを初めて知りました。演出家さんが、「これはこういう風に見せた方が意味は生まれるから、ここはこういう手の出し方なんだよ」という風に、ここはこういう足の出し方、この人に対してはこういう感情、と一つ一つ意味を説明して下さって、それがすごく新鮮で楽しいなと感じました。

記者:この世界に入るきっかけがミュージカルだったとのことですが、具体的にどういうミュージカルが好きだったのか、またきっかけになったミュージカルを教えてください。

多部:両親がミュージカルが好きで、劇場へよく連れて行ってくれました。『シンデレラ』や『ピーターパン』などを観ていましたね。この世界に入るきっかけは、『アニー』を小学校5年生の時に観たことです。

記者:この世界に入りたいと思うほど『アニー』は衝撃だったんですか?

多部:そうですね。『アニー』は小学5年生の時に観て、毎日ただ学校へ通っている私と毎日みなさんを楽しませている同じくらいの年の子たちとの違いに衝撃を受けました。私もこんな毎日じゃない毎日を送りたい!って(笑)。今もたまに『アニー』を観に行きますが、小学5年生の時に見たキラキラした気持ちがいまだに蘇ってくるぐらい、自分にとって衝撃的な作品でした。

映像とミュージカル、どちらもやれる環境を

拡大多部未華子=岸隆子撮影

記者: 多部さんにとって、ミュージカルはどんなものでしょう?

多部:そうですね、やっぱり感動するし、純粋に前向きになれます。なんだかわからないけど感動できるもの。そういう感じで捉えていますね。

記者:今後もミュージカルの話があれば続けられますか?

多部:ミュージカルといえばこの人という、ミュージカルの役者さんがいらっしゃるんですよね。映像と舞台をされる方が以前はいらっしゃいましたけど、今はそういう方が少ない印象があります。ミュージカルの人はミュージカル、映像の人は映像という境界線がなくなればいいなと、勝手に思っています。映像の人がもっとミュージカルに挑戦できるような環境になればうれしいですね。私みたいにどちらもやりたいと思う人が、どちらもやれるような環境になれば、もっといろんな人に出会えるし、もっと自分の可能性を広げられるだろうなと思います。そういう夢はありますね。

記者:では最後にメッセージをお願いします。

多部:とても幸せな気持ちになれる作品です。劇場を出た時にハッピーな気分になって、いつまでもその余韻に浸れるような素敵な作品を作りたいと思っています。ぜひ、興味を持っていただいて、観に来ていただけたらうれしいです。

◆公演情報◆
ミュージカル『TOP HAT』
Music&Lyrics by Irving Berlin
Based on RKO’s Motion Picture
Adapted for the Stage by Matthew White & Howard Jacques
2018年11月5日(月)~11月25日(日) 東京・東急シアターオーヴ
2018年12月1日(土)~12月5日(水) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作詞・作曲:アーヴィング・バーリン
原作:映画『トップ・ハット』(RKO製作)
脚色:マシュー・ホワイト
[出演]
坂本昌行、多部未華子、屋良朝幸、朝海ひかる、益岡徹、浅野和之 ほか

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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