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山根明会長の評価がワケがわからなくなったワケ

武闘派といわれるあの人たちほど、発言は威勢はいいが…

青木るえか エッセイスト

山根明会長拡大山根明氏のキャラクターはあまりにわかりやすかったが……

 山根会長問題についてはいろいろ考えさせられている。人間を評価することの意味についてだ。

 日本ボクシング連盟の山根明会長についての評価は乱高下している。まあ、高くはなってないとは思うけれど……。

 最初に山根さんが世間に出現した時は、アマチュアボクシングの世界なんてまったく知らなかったが、ボクシングというと何かカタギではない何かをぼんやり感じたりするところに、その「終身会長」や「奈良判定」やらがやけにピタッとハマったというか、納得がいくとともに、「ボクシングの闇」みたいなものを感じさせた。いや、勝手にそう思い込んだだけだけど。出てきた写真も「そういうゴタゴタにふさわしい、もしテレビドラマにしたらこの顔の俳優をぜったい選ぶ、というぐらいぴったり」だったし。

 そして「ホテルにお菓子(それもスーパーで子どもが買うようなお菓子)完備」「どこでも立派なイス完備」とかいうネタが出てきたあたりから、山根さん本人のインタビュー映像が出てきて、流れに加速がついた。「このおっさん、ほんまにカタギちゃうわ」。

自分の思うように山根さんを理解して…

 しかし、山根さんがガンガン出続けるうちに流れが多少変化する。

 あまりにも脇が甘い。発言がことごとくとんでもない。山根さんに厳しい意見を表明した選手に対して「(反山根陣営から)女でも抱かされたんとちゃうんか」とか、すげえこと言うな。というかこんなこと考えるおっちゃんは山ほどいるだろうが、カメラの回ってる前で言うか。

 まあ、あとからあとから、コレ級の発言がどんどん出てくる。

 で、そういう発言が出まくると人々は「面白がってしまう」ようになる。いや別に面白いことはないんだが……失言がボロボロ出る&大阪弁で、「このおっさん、吉田豪にインタビューさせたらとんでもない可愛いキャラとして再生しそうだ」とかTwitterで言われて、ちょっと盛り上がったりした。とにかくしゃべりまくって、それがツッコミどころ満載というのは、ついつい「面白いモノ」として消費してしまう昨今。例の、日大の田中理事長の、同じようなコワモテぶりながら、まったく人前でしゃべらないのと好対照。「愛嬌のある山根さん」「愛すべき困ったおっちゃん」という立場を確立した気配が。

 が、「終身会長はやめません!」と大声で言っていたというのに、一転「反社会勢力との交際がありましたので」で辞任。辞任会見は塩かけられたナメクジみたいにしょぼくれていて、単に脇が甘いだけのおっさんに格下げになった。世間は威張ってるおっさんのほうが好きなんだと思わされる(私は威張ってるおやじは大嫌いだが)。

 そのまま消えるかと思いきや、再び出てきてガーガーしゃべりだし、会長はやめるけど関西の役員はやめないとかなんとか、またゴタゴタしはじめ、山根さんの妻や、山根さんの妹など、関西のおばちゃんがさらに登場してくる。

 同時に、冷静な意見として「アマチュアボクシングの世界で山根さんが果たした役割」を語ろうとする人なども出てきて、「実は仕事はできる」「果たした役割は大きい」という情報もやってくる。

 ほんと、乱高下が激しい。そして真実の確認はできない。自分の思うように山根さんを理解して、ひとまず落ち着くことしかできない。

山根さんとなんか似てる

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筆者

青木るえか

青木るえか(あおき・るえか) エッセイスト

1962年、東京生まれ東京育ち。エッセイスト。女子美術大学卒業。25歳から2年に1回引っ越しをする人生となる。現在は福岡在住。広島で出会ったホルモン天ぷらに耽溺中。とくに血肝のファン。著書に『定年がやってくる――妻の本音と夫の心得』(ちくま新書)、『主婦でスミマセン』(角川文庫)、『猫の品格』(文春新書)、『OSKを見にいけ!』(青弓社)など。

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