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[20]戦後史が詰め込まれた曲「U.S.A.」

「U.S.A.」、「I.N.K.~カモンベイベー栗原~」、「俺ら東京さ行ぐだ」…

太田省一 社会学者

DA PUMP拡大DA PUMPの公式サイトより

真似したくもなる「ダサかっこよさ」

 「今年最大のヒット曲か?」と思わせるほどの勢いなのがDA PUMPの「U.S.A.」である。DA PUMPと言えば、1990年代後半にブレークし、「if...」(2000)などのヒット曲でアイドル的人気を集めたダンス&ボーカルグループだ。ただその後はメンバーの入れ替わりなどもあり、ここのところヒット曲にも恵まれていなかった。

 ところが約3年半ぶりのシングルとなる「U.S.A.」で、再び大きく脚光を浴びることになった。テレビの音楽番組などでもいまや引っ張りだこだ。

 その人気の理由として言われているのが「ダサかっこいい」である。

 まずは2018年5月16日の公開以来、すでに6400万回を超える驚異的な視聴回数(2018年9月4日現在)を記録しているMVを見てもらいたい。オリジナルメンバーでボーカルも務めるISSAは、安室奈美恵と同じ沖縄アクターズスクールの出身。昔から歌とダンスの上手さには定評がある。他のメンバーももちろん、確かなダンスの技量の持ち主揃い。その気になれば、いくらでもかっこよく踊れるだろう。

 ところが、この「U.S.A.」では、「かっこいい」からはほんの少しずれたような、絶妙なさじ加減の振り付けが随所に盛り込まれている。言い方を換えれば、振り付けのところどころにスキがあり、それがユーモラスな感じを醸し出している。

 サビの「C'mon,babyアメリカ」のところの親指を立てながら右手と右足を振るような振り付けも歌詞に合わせてのものだろうが、やはりどことなくダサい。だがそれゆえにクセになるし、真似したくもなる。そのあたり1970年代末に西城秀樹が歌って大ヒットした「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」(1979)を彷彿とさせる面もある(そう思って見ると、“YMCA”の一文字一文字にドットが付いているのも似ている)。

 実際、両者はともに洋楽のカバー曲だ。「YOUNG MAN」はヴィレッジ・ピープルの「YMCA」のカバーだったが、「U.S.A.」は1980年代後半から1990年代半ばにかけて大流行したユーロビート曲のカバーである。安室奈美恵ブレークのきっかけになった「TRY ME ~私を信じて~」(1995)も、同じくユーロビートのカバーだった。

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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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