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プリンスは楽曲、管理、流通…と未来を見ていた

印南敦史 作家、書評家

 ところが1995年の『Gold Experience』から2010年の『20Ten』までの23作品に関しては、いささか事情が違ってくる。というのも、これらはすべてプリンス本人が管轄していたからである。つまり楽曲の権利については大手レーベルと契約せず、自主レーベル、あるいは配給のみ大手レーベルに依頼するなどして作品を発表していたのだ。

 しかも米ストリーミングサイトTIDALと独占契約して自身の音源をストリーミング配信していたため、米国以外の地域では音源をデジタルで入手したりストリーミングで聴くことができなかった。そのため必然的に、1980年代のような「誰でも彼のことを知っている」というような状況にはならなかったのである。

 もちろんそれは、プリンス本人が生前に米TIDALとしか契約を結ばなかったためである。ただそれが原因で実質的に『1999』や『Purple Rain』の時代のように大々的に公開される機会が減ったのは事実。だからこそ、ちょっと残念に感じていたのである。

 それに、プリンスが古巣のワーナー・ミュージックを離れた1995年以降には、1980年代とはまた違った創造性を発揮した作品が数多くリリースされている。どの作品を聴いても、彼自身がさまざまな実験を楽しんでいることが手に取るようにわかるのだ。

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筆者

印南敦史

印南敦史(いんなみ・あつし) 作家、書評家

1962年東京生まれ。広告代理店勤務時代に音楽ライターとなり、音楽雑誌の編集長を経て独立。「ダ・ヴィンチ」「ライフハッカー(日本版)」「東洋経済オンライン」「ニューズウィーク日本版」「サライ.JP」「WANI BOOKOUT」など、紙からウェブまで多くのメディアに寄稿。著書に『遅読家のための読書術 情報洪水でも疲れない「フローリーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)ほか多数。新刊は『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)。最新刊は『書評の仕事』 (ワニブックスPLUS新書)。

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