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鉄道車両も駅構内も、もっと節電を工夫できる

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

東京駅構内の電光掲示板駅構内はもっと節電できるかもしれない

 2018年9月6日3時07分に発生した北海道胆振東部地震では、北海道全域の停電という事態により、北海道電力と政府は一時節電を呼びかけた。特に2010年代に入り、地震災害が立て続けに発生している以上、節電は全国的にさらに必要不可欠になるはずだ。鉄道も節電と電気使用の見直しが必要だ。

東日本大震災で首都圏の鉄道は

 2011年3月11日14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、東京電力福島第一原子力発電所の事故で、電気の供給に多大な影響を及ぼした。東京電力は政府共々、節電を要請したほか、3月13日に輪番停電(計画停電)を発表。翌14日から実施に踏み切った。

 東京23区内は一部を除き輪番停電の対象から外れ、首都圏の鉄道はその範囲は動いていた。しかし各鉄道事業者の運行区間、列車の運転本数が決まったのは未明。23区外の利用者は、朝、駅に着いて、運休の知らせに呆然と立ち尽くす人も多かっただろう。隣県からの通勤、通学は23区の県境付近(東京都板橋区と埼玉県和光市、東京都足立区と埼玉県草加市など)にお住まいの方以外は、ほぼ不可能だったのだから。この影響で在来線の有料特急や一部の区間では、しばらくのあいだ運休を余儀なくされた。

 電力不足が契機となり、LED照明、太陽光発電が全国的に普及した。しかし、あれから7年たつと、社会に節電の意識がかなり消えうせてしまった。街を歩いていると、もはや「風化」したと言わざるを得ないが、鉄道事業者も節電をあらためて考え直してもいいのではないだろうか。

鉄道車両の前照灯終日点灯に疑問

 昭和の時代、前照灯(鉄道業界では「前部標識灯」ともいう)を点けていたのは新幹線や地下鉄(地上区間も含む)しか記憶にない。また、一部の私鉄では、優等列車を対象に急行灯(「補助標識灯」ともいう)を終日点灯し、前照灯の昼間点灯を省略していた。

 ただ、新幹線は超高速で走行するため、事故防止などの観点から前照灯や尾灯(「後部標識灯」という)を当初から終日点灯していた。これによって遠くからでも列車の接近が容易にわかる。

 ところが、平成になると、在来線車両で前照灯の終日点灯に踏み切る鉄道事業者が大幅に増加した。この背景には2つある。

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