日本は、年次有給休暇の100%取得を実現すべきだ
2018年10月05日
1月8日、2月12日(*)、4月30日(*)、7月16日、9月17日、9月24日(*)、10月8日、12月24日(*)――これは何の日だかお分かりだろうか。いずれも本年の、月曜の法定祝日・休日である。
祝日には固定祝日と移動祝日とがある。上の一覧のうち日付のあとに何も記されていないのは、移動祝日である。それぞれ成人の日、海の日、敬老の日、体育の日で、いずれも「何月の第何月曜」と定められている。
一方、固定祝日の場合、日曜と重なると翌月曜が振替休日となる。上に(*)印をつけたのがそれで、それぞれ建国記念の日の、昭和の日の、秋分の日の、天皇誕生日の振替休日である。
こうして今年は、土日と合わせて3連休となるケースが8回もある(あった)ことになる。おかげで「3連休」という言葉をラジオで――私はテレビは見ない――何度も聞かされた。「働きすぎ」を招く社会状況が維持されている日本では、こうして休みが確保されることは、勤労者にはありがたい。この制度を俗に「ハッピーマンデー制度」などと呼ぶ気持ちもわからないではない(もっとも名称の軽薄さには気がめいる)。
だが問題が多すぎないか。2つ述べる。
第1に、大学ではこれへの対応に苦慮している。混乱を極めていると言ってもよい。
何しろ月曜の授業時間が十分に確保できない。だから休日となった月曜の授業全体を他の曜日に移すという対応をとってきた大学も多い。だが学生にも教員にも変更を周知できない。月曜と交換された曜日の授業に対する影響も無視できない。それゆえ私の所属大学では、一時期この対応を試みたものの、混乱が大きいと判断してその後はとりやめた(今年度は学期末に週2度の授業時間が確保されたが、学期末の対応にはあまり意味がないためこれについては記さない。ただし現場の苦労を知ってもらいたい)。
一方、「大学設置基準」に毎期(前・後期制の場合)15回の授業実施が定められており、近年それが厳しく求められるようになった。すると何が起きるか。試験日を入れて最低16回の時間確保が必要だが、月曜はそれが困難なことが多い。
おまけに期末試験が1度ですめばよいが、再試験を行い、あるいは小論文提出のために一定の期間をおけば、17~18回分の時間を確保しなければならない。だが月曜にそうするのは至難の業である。
すると、季節ごとの休みを減らすしか手がない(正確にはこれは振替休日・移動祝日制度だけの問題ではないが詳細は省く)。私が勤める大学は酷寒地域にあるというのに、今、冬休みはほとんどないに等しい。本州では、酷暑の真夏であろうと、8月中旬になってもまだ期末に至らない大学も多いようである。北海道でも、講義室にほとんどエアコンがないため7~8月はつらい。暑さで学生が具合を悪くしていても、月曜授業はまず休めない。
中でも気の毒だと思うのは、20歳になった学生が成人式に出られない場合である。成人の日は祝日である。だが前後の時期は冬休みではないため、授業を欠席しなければ故郷での集いに参加できないことが少なくない。8月は、家族・親族が顔をあわせるお盆の時期になろうと、実家に帰れない学生も多い。
ネットを見ると、私立大学では月曜の祝日扱いを返上する例もあるようだが、国立大学では、教職員はみなし公務員であるせいか、私が知るかぎり同様の動きは見られないようである。
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