メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

振替休日・移動祝日に大学は翻弄されている

日本は、年次有給休暇の100%取得を実現すべきだ

杉田聡 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

 第1に、大学ではこれへの対応に苦慮している。混乱を極めていると言ってもよい。

 何しろ月曜の授業時間が十分に確保できない。だから休日となった月曜の授業全体を他の曜日に移すという対応をとってきた大学も多い。だが学生にも教員にも変更を周知できない。月曜と交換された曜日の授業に対する影響も無視できない。それゆえ私の所属大学では、一時期この対応を試みたものの、混乱が大きいと判断してその後はとりやめた(今年度は学期末に週2度の授業時間が確保されたが、学期末の対応にはあまり意味がないためこれについては記さない。ただし現場の苦労を知ってもらいたい)。

 一方、「大学設置基準」に毎期(前・後期制の場合)15回の授業実施が定められており、近年それが厳しく求められるようになった。すると何が起きるか。試験日を入れて最低16回の時間確保が必要だが、月曜はそれが困難なことが多い。

 おまけに期末試験が1度ですめばよいが、再試験を行い、あるいは小論文提出のために一定の期間をおけば、17~18回分の時間を確保しなければならない。だが月曜にそうするのは至難の業である。

 すると、季節ごとの休みを減らすしか手がない(正確にはこれは振替休日・移動祝日制度だけの問題ではないが詳細は省く)。私が勤める大学は酷寒地域にあるというのに、今、冬休みはほとんどないに等しい。本州では、酷暑の真夏であろうと、8月中旬になってもまだ期末に至らない大学も多いようである。北海道でも、講義室にほとんどエアコンがないため7~8月はつらい。暑さで学生が具合を悪くしていても、月曜授業はまず休めない。

 中でも気の毒だと思うのは、20歳になった学生が成人式に出られない場合である。成人の日は祝日である。だが前後の時期は冬休みではないため、授業を欠席しなければ故郷での集いに参加できないことが少なくない。8月は、家族・親族が顔をあわせるお盆の時期になろうと、実家に帰れない学生も多い。

 ネットを見ると、私立大学では月曜の祝日扱いを返上する例もあるようだが、国立大学では、教職員はみなし公務員であるせいか、私が知るかぎり同様の動きは見られないようである。

教員は月曜授業をいやがる ・・・ログインして読む
(残り:約2511文字/本文:約3979文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

杉田聡

杉田聡(すぎた・さとし) 帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)

1953年生まれ。帯広畜産大学名誉教授(哲学・思想史)。著書に、『福沢諭吉と帝国主義イデオロギー』(花伝社)、『逃げられない性犯罪被害者——無謀な最高裁判決』(編著、青弓社)、『レイプの政治学——レイプ神話と「性=人格原則」』(明石書店)、『AV神話——アダルトビデオをまねてはいけない』(大月書店)、『男権主義的セクシュアリティ——ポルノ・買売春擁護論批判』(青木書店)、『天は人の下に人を造る——「福沢諭吉神話」を超えて』(インパクト出版会)、『カント哲学と現代——疎外・啓蒙・正義・環境・ジェンダー』(行路社)、『「3・11」後の技術と人間——技術的理性への問い』(世界思想社)、『「買い物難民」をなくせ!——消える商店街、孤立する高齢者』(中公新書ラクレ)、など。

杉田聡の記事

もっと見る