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百名ヒロキ×矢吹世奈インタビュー/下

『見渡す限りの卑怯者』6年ぶりの再演

真名子陽子 ライター、エディター


百名ヒロキ×矢吹世奈インタビュー/上

ブログのコメント数が少ないと残念な気持ちに

拡大『見渡す限りの卑怯者』
――先ほどミステリアスとおっしゃっていましたが、チラシの写真からそんな雰囲気が見られます。

百名:自分の中で役のイメージを作って臨みました。普通の人なんだけど、でもタイトルに卑怯者とあるので、何かあるんだろうなと思わせるような表情をいくつか撮っていただきました。難しかったですけど、楽しかったです。僕の役は芸術家なんですが、その自分に没頭できずに周りの視線や意見が気になってしまう……そこから物語がいろいろ始まるんですけど。

矢吹:天才と言われる芸術家は、どこまでが普通なのか? その境界線がわからないですよね。

――表現することの苦労などは、役者も同じではないでしょうか?

百名:この物語にも出てくる、人から見られるイメージが独り歩きしてしまって、本当の自分が分からなくなる――それは役者もありがちなことなので、心にグッとくるものがありますね。でも、人からどう見られているかが気になることって、会社員の方にもあるのかなと思います。そういう意味では共感してもらえるのではと思います。

――周りの目は気になるほうですか?

百名:気になります。ブログのコメント数が少ないと残念な気持ちになったりします。

(一同笑)

――なるほど。たくさんの人に読んで欲しいですよね。

百名:読んで欲しくなかったらブログはやらなくていいですもんね。この仕事をしていて……。

――確かに。それはどんなコメントであってもいいんですか?

百名:大丈夫ですね。辛辣なコメントはあえて消さずに置いときます。

――糧にするんですか?

百名:そうです。

拡大百名ヒロキ=冨田実布撮影

――強いですね。矢吹さんは気にされる方ですか?

矢吹:私は気にせずに過ごしてしまうタイプなんです。でも、こういうお仕事をしていますのでお客さまの感想や視線を第一に考えないといけないので、なるべく耳を傾けるようにしています。ただ、作品に集中してしまうと気にならなくなっちゃうんですけどね。

――宝塚は熱心なファンの方がいましたよね。

矢吹:いろんなお声を頂けるのはありがたいですし聞くようにしますけど、だからといって自分の中で揺らぐことはないです。

幸せな状態が続くとあまり良くない

――主人公のように周りの期待に応えなきゃといった葛藤は?

百名:もちろん期待に応えたいと思いますし、でもそこばかりに捉われてしまうと何のためにやってるんだろうって思ってしまいます。自分のやることが人のためになれば良いなと思うけれど、自分が疲弊してしまったらダメだと思うんです。バランスが大事なんじゃないかなと思います。難しいですけどね。日によってモチベーションも違いますし、そのバランスをちゃんと保てるようにしたいですけど、人間ですから……。

――落ち込んだ時はどうします?

矢吹:ショックなことやイラッとした時は芝居にぶつけます。幸せな状態が続くとあまり良くないので、封印していた過去の辛い感情を思い起こして、解決しようとしたりします。

百名:それ、わかります。稽古中も少しストレスがないと次に進めなかったりしますよね。今日も完璧だという日が続くと怖くなります。

矢吹:自分は気持ち良く演じていても、果たしてお客さまから観たら良いパフォーマンスだったかというと、それはわからない。日々、怠らずに挑み続けるしかないんですよね、ゴールがないから続けるしかない。

拡大矢吹世奈=冨田実布撮影

――なるほど。矢吹さんは今年、宝塚退団というひとつの節目を迎えられました。

矢吹:宝塚に入ってから初めて芝居をしたんです。それまでダンスしかしていなかったんですね。もう芝居が好きになりすぎて、宝塚を辞めても芝居は続けたいと思っていたんです。だったら、男役が創られすぎる前に辞めて次に進もうと思って退団しました。宝塚では7年目というのは節目でもあるので、今かなと。

――迷わなかったんですか?

矢吹:迷わなかったのですが、退団を発表した時に周りの反響があまりにも大きくて。

百名:退団するのが早いってこと?

矢吹:そうです。男役10年と言われているので、7年で辞めるのは早いんですね。

百名:へえ~、そうなんですね。時代は変わってるんですね、新世代ですよ!

(一同笑)

矢吹:ありがたいことにいろんな声を頂きましたが、自分が決めたことだから前に進むしかないですね!

◆公演情報◆
ジェットラグプロデュース『見渡す限りの卑怯者』
2019年3月19日(火)~3月24日(日) 東京・あうるすぽっと
※一般発売 2019年2月2日(土) 10:00~
お問い合わせ:ジェットラグ info@jetlag.jp
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:古川貴義
[出演]百名ヒロキ、大森博史、伊達 暁、永宝千晶(文学座)、矢吹世奈、谷川 聖(AKB48)
 〈百名ヒロキプロフィル〉
2017年『ボクが死んだ日はハレ』で舞台デビュー。現在、ミュージカル『タイタニック』出演中。主な出演作品は、ミュージカル『マタ・ハリ』、『GANTZ:L -ACT&ACTION STAGE-』『終わらない世界』『マクベス〜謀略の城』。12月には『ダブルフラット』への出演が決まっている。
百名ヒロキオフィシャルブログ
〈矢吹世奈プロフィル〉
2011年、宝塚歌劇団入団。花組に配属。ダンスを武器に新人公演では主要な役どころを演じ、『エリザベート』では少年ルドルフに抜擢される。2018年3月に退団。9月にはファーストライブ『S-LIVE2018』を開催した。10月~11月『シェイクス』、2019年1月~2月『ベルサイユのばら 45』への出演が決まっている。
矢吹世奈オフィシャルブログ

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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