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浅野ゆう子、淀殿役で『魔界転生』へ出演

「一番幸せな役を頂いているかもしれません」

真名子陽子 ライター、エディター


拡大浅野ゆう子=安田新之助撮影

 舞台『魔界転生』が博多座で開幕した(28日まで。11月3日~東京公演、12月9日~大阪公演あり)。『魔界転生』は、1967年に『おぼろ忍法帖』として単行本化された山田風太郎の人気伝記小説で、摩訶不思議な時空を超えたアクションエンターテインメント。1981年には深作欣二監督により映画化。以降も舞台、漫画、アニメ、ゲームなど、数多くのジャンルでリメイクされるなど山田作品最大のヒット作である『魔界転生』。

 本作の演出は、ドラマ『SPEC』シリーズ、映画『20世紀少年』など数多くの名作を手がける堤幸彦、脚本は演劇界の重鎮マキノノゾミが担当。主演の柳生十兵衛役には上川隆也、天草四郎役に溝端淳平、天草四郎の姉お品役を高岡早紀、淀殿役を浅野ゆう子、そして柳生宗矩役に松平健がキャスティングされている。

 淀殿役の浅野ゆう子の取材会が行われ、『真田十勇士』に続いて演じる淀殿の役どころについて、またその役作りや堤監督とマキノノゾミとのこと、舞台の魅力について語ってくれた。

いろんな顔といろんな芝居を要求される描き方

拡大浅野ゆう子=安田新之助撮影

記者:今作で演じる淀殿役は、以前ご出演された『真田十勇士』でも演じられました。今回はガラッと変わった役どころかと思いますが、再び淀殿を演じることについていかがでしょうか?

浅野:今回は、原作にも映画にも出てこない淀殿になります。『真田十勇士』で淀殿を演じさせて頂いたのですが、そこから繋がっていますので、ご覧になってくださった方には理解して頂ける人物ではないかと思います。真田幸村に対する思い、息子の秀頼に対する思い、家康に対する怨念などが残っているところもそのまま描かれております。ですから、私としては壮大な大河ドラマを演じさせていただいているような気持ちでいます(笑)。長いスパンで淀殿というキャラクターを描いて頂いておりますので、とてもうれしいですね。さらにネタバレになるので詳しくお話できないのですが、かなりインパクトのある登場シーンになるようですので、少しデフォルメして楽しく演じられればいいなと思っております。脚本のマキノ先生は、今回の『魔界転生』で、淀殿は成仏するとおっしゃっています(笑)。

記者:今回はどんな風に淀殿は描かれているんでしょうか?

浅野:堤監督曰く、マキノ先生の当て書きだねっておっしゃっています(笑)。私で本当にいいんでしょうか?という、役者冥利に尽きる描き方をしてくださっているです。だから、今からすごく楽しみですね。こんなにおいしい役を頂けていいんだろうかと思うくらい、本当にいろんな顔といろんな芝居を要求してくださる描き方をしてくださっています。

記者:台本を拝見させてもらったのですが、浅野さんがああいうことをされるのかなと思うと……(笑)。

浅野:やりますよ(笑)。堤監督の映像作品に出させていただく時、『SPEC』の時もそうでしたが、人でない魔物のような役が多いので、今回も魔物要素をふんだんに演出してくださるのかなと思っています。

記者:今回はその魔界衆ということですが、演じるにあたってどういう風に役作りを……。

浅野:コメディではありませんので(笑)、シリアスに考えなきゃいけないですね。怨念があるがために蘇ってしまったという気持ちはきっちりと根底にもって、淀殿を演じたいと思っています。また衣装が非常に特別なデザインだったり、メイクなど、お客さまにすぐに物語へ入っていただけるようなビジュアルで分かりやすく作りたいなと思います。

この作品の淀殿はマキノ先生と堤監督の愛を感じる

拡大浅野ゆう子=安田新之助撮影

記者:堤さんとマキノさんのお二人と組んで仕事をされる魅力は?

浅野:堤監督とは世代も非常に近くて、昔の話をよくします。堤監督もこの業界が長く、以前は歌番組の演出もなさっていて、私も歌手でしたからその歌番組の話などですごく盛り上がります(笑)。そして芝居にも、その世代でないと分からないギャグを、今やっても若い人は誰も知らないだろうというギャグをふんだんに入れてこられます。でも映像で繋がると、なるほどなと納得する使われ方をしていたりするんです。その想像を絶する、でも堤監督の中ではきっちりと順序立てて組み立てられた演出が、堤ワールドの面白さです。それは、作品に出していただいた人間の楽しみでもあります。

マキノ先生は前回の『真田十勇士』で初めてご一緒させて頂き、今回の『魔界転生』では、本当に私のキャラクターを分かって描いてくださっているんだなと感じました。おそらく『魔界転生』の淀殿は、『真田十勇士』よりもよりパワーアップした人物になるだろうと思います。それに負けないように私がきっちり演じさせて頂かなくてはいけないですね。この作品の淀殿は、マキノ先生と堤監督、両者の愛をすごく感じる役者冥利に尽きる役です。

記者:『真田十勇士』に続いて、『魔界転生』もスペクタクル時代劇というジャンルになります。時代劇とは違うスペクタクル時代劇の魅力はどう感じていますか?

浅野:商業演劇とは全く違うと思います。やはり映像を創られている堤幸彦監督が演出なさるからの堤ワールドです。映像を駆使し、また映像ですごいと思うリアルな殺陣を舞台に乗せる――舞台でしかできないことがありますが、プラス映像の力も借りておいしいところ満載の舞台です。すでに映像を撮って頂いているのですが、見て頂けるとお得だなと思ってもらえるんじゃないかと思います。

記者:松平さんと共演されることはいかがですか?

浅野:舞台での共演は初めてなのですが、とても素敵な大先輩で、立ち回りがとても美しい方です。その殺陣を連日、間近で見せて頂けるのはとても楽しみです。どんな素敵な松平さんを拝見させて頂けるか、私もお客さまと一緒に見させて頂くような気分でおります。

私ならやれるだろうと思ってくださっているのかなと

拡大浅野ゆう子=安田新之助撮影

記者:当て書きだということですが、それについては?

浅野:登場するシーンはちょっと難しい描き方なのですが、私ならやれるだろうと思ってくださっているのかなと思います。また二幕では、刃物を使わずにどうやって……というシーンもあります。笑って頂き、妖怪として暴れさせて頂き、そして切ない母親を演じさせて頂き、本当にいろんな色をたくさん描いてくださっています。今回、一番幸せな役を頂いているかもしれません。

記者:当て書きということですが、浅野さんご自身は自分のこういうところがあってるなどと思われたりするのでしょうか?

浅野:それはないです(笑)。ただ、マキノさんが『真田十勇士』の時の私を、本当にきっちりと見てくださっていたんだなと、今回の脚本を頂いた時に思いました。淀殿は本当に可愛いくて、だから秀吉にあんなにも愛される……その可愛い部分が私にはちょっと欠落していると思うんですけども(笑)。今回は魔界衆の一人ですから、その可愛いところを少しあざとくデフォルメして演じても、許してもらえるかなと思っています。魔界の淀殿だからというふうに思って見て頂きたいなと希望します。自分に寄せた淀殿になると思いますが、お稽古が始まったら、とりあえず堤監督に私が思う一番大きな淀殿をぶつけて、そこからご指導を頂き、いらないものをそぎ落としていこうかなと考えています。

記者:魔界という字面のイメージよりも、すごくチャーミングな淀殿になるかもしれないですね。

浅野:私ですよ? それは無理ですね!(笑)。

(一同笑)

記者:映画の印象が強いですが、舞台ならではの魅力はどこにあると思いますか?

浅野:映像は平面ですが、舞台は手が届きそうなほどの立体感がすぐそこにあります。これはやはり生きている人間がリアルに、同じ時間、同じ空間の中で、同じ風の流れ、空気の流れの中で演じている臨場感――これは何ものにも代え難いものだと思います。それをプロジェクションマッピングも駆使したお得感満載の舞台を間近で触れて頂けるということが、映画とは全く違うところではないかと思います。殺陣の迫力も舞台ならではですし、それは『真田十勇士』でよく分かりました。今回はさらにパワーアップしているというお話ですので、本当に楽しんでいただける舞台になるんじゃないかと思います。

◆公演情報◆
日本テレビ開局65年記念舞台『魔界転生』
2018年10月6日(土)~10月28日(日) 福岡・博多座
2018年11月3日(土・祝)~11月27日(火) 東京・明治座
2018年12月9日(日)~12月14日(金) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:山田風太郎(角川文庫刊)
脚本:マキノノゾミ
演出:堤幸彦
[出演者]
上川隆也、溝端淳平、高岡早紀、村井良大、松田凌、玉城裕規、木村達成、猪塚健太、栗山航、丸山敦史、山口馬木也、藤本隆宏、浅野ゆう子、松平健 ほか

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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