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黒田流「男気」で単独初主演/瀬央ゆりあ

【宝塚~朗らかに~】星組公演「デビュタント」

日刊スポーツ新聞社・村上久美子


【日刊スポーツ・10月11日紙面(東京本社発行版)より】

拡大「デビュタント」で単独初主演となる瀬央ゆりあ(撮影・清水貴仁)
 節目の入団10年を迎えた星組の人気スター、瀬央ゆりあ。単独初主演公演「デビュタント」が兵庫・宝塚バウホールで今日11日、開幕(22日まで)する。「男」を描くことに定評がある演出家、正塚晴彦氏の脚本で、社交界を舞台にした青春群像劇に臨む。

 大きな瞳、端正な顔立ちでスタイリッシュ。星組の“ハンサムスター”が「男役10年」に、バウ単独初主演をつかんだ。前公演の企画シリーズ「New Wave! 星」でも主軸を担ったばかり。「ファンの方に喜んでもらえる」。前作の千秋楽からオフは1日。すぐ稽古に入った。

 「まるで休演日感覚(笑い)。でも、寝ればどうにかなるタイプなので、一日中ほとんど寝ていました」

 今作は、男爵家の次男ながら格式を嫌い、家を飛び出した青年が、社交界デビューを機に、成長していく様を描く。新境地だ。

 「肩に力が入らず、作り込んだ先にある自然な男性。こういう男役像もあるんだなって。周りから見れば満足な生活をしていても、物足りなさを抱え、屈折し、心の穴を埋める何かを捜している役です」

 瀬央自身「満ち足りない感覚」に共感を抱く。中学のとき、ピアノの先生から宝塚を勧められ、3度の挑戦を経て合格した。ファン出身ではなく、同期との温度差も感じていた。

 「入団後に、やりがいを見いだした。役と重なるところがある。役柄は打たれ強い性格。私もへこむけど、心のスタミナはある」

 トップ娘役を3人輩出し、各組で主要位置を担うスターがそろう「95期」の1人。首席の同じ星組・礼真琴ら、早くから注目されてきた同期を「すごいな、と思っていた」と振り返る。

 「追いかけようという気持ちはなくて。比べてもしょうがないから。ただ、自分ができないことが悔しくて。同期は仲が良くて、何でも教えてくれる。環境にも助けられ、この同期じゃなきゃ辞めていたかも…」

 下級生時代は本拠地作以外の出演が少なかった。「1年がすごく長かった」。そんな折、初めて芝居の楽しさを知る。11年、轟悠主演「おかしな二人」に“代役”として稽古に入った。

 「作品を作る過程を勉強させていただき、お芝居の楽しさを。でも、幕が開いても代役の私は出演できない。ここ(舞台)に立ちたい。あらためて気付いた」

 17年、礼主演の「阿弖流為」で盟友を、今年2月には、轟主演の「ドクトル・ジバゴ」で、あこがれた大先輩とがっぷり組んだ。言葉の発し方、立ち方からを学び、アドバイスの際、答えを提示しない指導法も学んだ。「もうちょっとできる。考えて」。自分で考えさせてくれた。下級生への自身の対し方も変わった。

 縁に感謝する10年だった。宝塚音楽学校卒業時、今作演出の正塚氏から「腐るなよ、腐ったら終わりだ」と言われた言葉が宝物だ。

 「恩返し…そうですね」。ゆっくりと、大地を踏みしめるように進んできた。広島出身。リーグ3連覇のプロ野球・広島ファンだ。メジャーから古巣復帰を選び常勝カープの礎を築いたOBの黒田博樹氏にあこがれる。「黒田さんのおとこ気も学びたい」。黒田氏ばりに、瀬央もぶれることを知らない。

◆デビュタント(作・演出=正塚晴彦氏) 社交界に幅広い交友関係を持つ青年イヴは、舞踊会「デビュタント・ボール」の運営を仕切る侯爵夫人から、伯爵令嬢ミレーユ(星蘭ひとみ)のエスコートを頼まれる。イヴは、上流階級のマナーに精通する友人ビュレット(紫藤りゅう)に教えを乞い、その妹ナタリー(桜庭舞)らの協力を得てレッスンに励む。その最中、ある事件への協力依頼が寄せられる。人との出会いを通じ生き方を問い直す青年の姿を描く青春群像劇。

☆瀬央(せお)ゆりあ 6月15日、広島市生まれ。09年入団。実咲凛音(元宙組)妃海風(元星組)、月組の愛希れいかとトップ娘役3人を出し、男役にもスターがそろう黄金世代95期。15年「ガイズ&ドールズ」で新人公演初主演。今年8月バウ「New Wave」シリーズでセンターの1人。今回がバウ単独初主演。身長172センチ。愛称「せおっち」「なおみ」。

「宝塚~朗らかに~」はニッカンスポーツ・コムに連載中です。

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