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【公演評】星組『デビュタント』

強い目力とたくましさで男役の魅力を開花!瀬央ゆりあがバウホールで連続主演

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大イヴ役の瀬央ゆりあ=岸隆子撮影

 星組公演『デビュタント』が10月11日、宝塚バウホールで初日を迎えました。公演を重ねるごとに男役らしさが増す95期生の瀬央ゆりあさんが、先月上演された『New Wave! -星-』に引き続き、連続でバウホールのセンターへ。しかも今回は本格的な芝居の単独主演で、注目度の高さはますます急上昇です。

 作品は、気ままに生きてきた貴族の次男がさまざまな人々と出会い、自らの生き方を問うオリジナルの青春群像劇。強い光を放つ目力と、立ち姿だけで語れるようになってきた瀬央さんが、今まさに開花していることが証明される公演となりました。

 瀬央さんの友人役に紫藤りゅうさん、共に事件に立ち向かう刑事役を極美慎さんがつとめます。『New Wave!』でも活躍した瀬央・紫藤・極美のトリオが作り出す、さわやかな空気の心地よさも見逃せません。

官能的なタンゴで誘う瀬央

拡大イヴ役の瀬央ゆりあ(左)とミレーユ役の星蘭ひとみ=岸隆子撮影

 舞台は骨組みがむき出しの階段や台を基本とし、場面に応じて椅子やシャンデリアなどが登場するシンプルさで、貴族や社交界のイメージには少し遠いのですが、それがかえって演者の個性を浮き立たせるのでしょうか。

 瀬央さんを中心に紳士・淑女たちが踊るオープニングは、なにやら謎めいた雰囲気。厭世観すら漂わせる瀬央さんは実に色っぽくて、完成した男役を感じさせます。ふだんは優しい雰囲気ですが、役に入り込んだ時の強い目力とたくましさに加え、大人の色気も高まり、日々進化する瀬央さんが存分に味わえそう。

――19世紀、フランス。男爵家の次男イヴ(瀬央)は、家督を継ぐこともなく、上流階級の便利屋として生きていた。ある日、デビュタント・ホールを仕切るリーズ侯爵夫人(音波みのり)から、伯爵令嬢ミレーユ(星蘭ひとみ)のエスコートを頼まれる。イヴは友人で古美術商を営むビュレット(紫藤)とその妹ナタリー(桜庭舞)からワルツの指南を受け舞踏会に臨むが、ミレーユは極端な人見知りで満足に顔も上げられない。そんな彼女の緊張をほぐそうと大胆なリードを始めたイヴは、舞踏会そのものまで大騒動に巻き込んでしまう。

 自分が何者なのかわからないまま、淡々と生きていたイヴでしたが、侯爵夫人からの思わぬ依頼で、大きく人生が動き始めます。瀬央さんはアンニュイな表情に加え、タータンチェックのアスコットタイが小粋な貴族スタイルもイケメンに映え、もはやルックスにも死角はありません。

 上流社会と距離を置いていたイヴは、優雅なワルツが苦手。ナタリーとも、ミレーユとも、最初は丁寧に踊っていますが、そのうち「こっちの方が得意だ」とばかりに、ダイナミックなタンゴを仕掛けてしまいます。瀬央さんが突然、狩りを始めた猛獣のように、官能的なタンゴで女性をふりまわす様子がこの上なくセクシーで、見ているこちらが戸惑うほど。ふだんの優しそうな姿からのギャップに、誰もがドキドキしてしまうのではないでしょうか。

◆公演情報◆
『デビュタント』
2018年10月11日(木)~10月22日(月) 宝塚バウホール
公式ホームページ
[スタッフ]
作・演出:正塚晴彦

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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