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医学部を受験する女子の成績が男子より高い理由

上野千鶴子 社会学者

東京医大正門前で抗議活動する人たち=2018年8月拡大男子受験生に「下駄」をはかせていた東京医大への抗議活動=2018年8月

女子受験生は頭がよい?

 偏差値序列の正規分布は、男女ともにまったく同型のカーブを描くことが知られている。したがって母集団が同じだとすれば、(成績による)公正な競争があると見なされるところでは、受験者の性比と合格者の性比とのあいだに、1:1の対応があるはずだ。

 したがって、この両者のあいだに、検証可能なバイアスがあるところでは、性差別があることを統計的に証明できることになる。これを統計的差別という。間接差別の一種である。個々の選考過程で意図的な直接差別を判定できなくても、結果として集団的なバイアスが判定できれば、それが間接差別なのである。試験官が無意識だったり、意図を否認しても、数字が差別をはっきり示す。

 ジェンダー研究にいう性差別とは、あるシステムやルールが、男性もしくは女性の集団のいずれかに、著しく有利または不利に働くときに、このシステムやルールを性差別的と呼ぶ。したがって東医大の選抜ルールは結果において性差別的であるばかりか、意図においても明示的に性差別的であったことに疑いはない。

 成績だけで判定すれば女子比率が増える、というのは、事実、女子受験生の成績がよいからだ。ペーパーテストの成績だけでは医師の適格性を判断できないというのなら、他の選抜方式を考えればよい。事実、東医大は2次試験に口頭試問を実施していた。東京大学医学部も口頭試問を導入している。わたしも面接官のひとりになったことがある。

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筆者

上野千鶴子

上野千鶴子(うえの・ちづこ) 社会学者

1948年富山県生まれ。社会学者。東京大学名誉教授、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長。1994年、『近代家族の成立と終焉』でサントリー学芸賞、2011年朝日賞受賞。著書に、『ナショナリズムとジェンダー』『生き延びるための思想』『おひとりさまの老後』『身の下相談にお答えします』『男おひとりさま道』『おひとりさまの最期』など多数。近刊に『女ぎらい――ニッポンのミソジニー』(朝日文庫)。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです