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トロント映画祭の独自路線で、苦境に立つカンヌ

「市民ファースト」で、時代の波に乗る

林瑞絵 フリーライター、映画ジャーナリスト

かつては“2流”を名乗っていた

 かつてトロント映画祭は、自ら“2流”を名乗っていた節がある。なにしろ1976年の創立当時、映画祭の名前が「Festival of Festivals 映画祭の映画祭」。つまりはトロント市民に、他の有名な映画祭で上映された良質の話題作を見てもらうことが目的の「市民ファースト」な映画祭だったからだ。

 当初は、古い歴史と格式のあるカンヌ、ベルリン、ベネチアという3大映画祭からは、相手にされてもいなかっただろう。だが今や、コンペティション部門は持たないながらも(厳密には、新しい才能や表現を発掘するコンペ形式の「プラットフォーム」が近年設置されたが、3大映画祭のような看板セクションではなく、あくまで付随的な部門)、3大映画祭全てを脅かす存在に成り上がった。

 さて、筆者はこれまでヨーロッパの映画祭ばかりに参加してきたが、年々勢いを増すトロントが気になり、今年は同映画祭に足を運んでみた。 ・・・ログインして読む
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筆者

林瑞絵

林瑞絵(はやし・みずえ) フリーライター、映画ジャーナリスト

フリーライター、映画ジャーナリスト。1972年、札幌市生まれ。大学卒業後、映画宣伝業を経て渡仏。現在はパリに在住し、映画、子育て、旅行、フランスの文化・社会一般について執筆する。著書に『フランス映画どこへ行く――ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』(花伝社/「キネマ旬報映画本大賞2011」で第7位)、『パリの子育て・親育て』(花伝社)がある。

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