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「目からウロコ」の響きを求める小倉貴久子さん

第48回JXTG音楽賞で洋楽部門奨励賞を受賞したフォルテピアノ演奏の第一人者

池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

フォルテピアノ拡大フォルテピアノ

留学先で訪れた大きな転機

 「目からウロコ」。現代のピアノ(モダンピアノ)の前身、フォルテピアノ演奏の第一人者である小倉貴久子と話していると、しばしば、この言葉が飛び出す。今から30年近く前のフォルテピアノとの出会い自体が、「目からウロコだった」からだろう。

小倉貴久子さん拡大小倉貴久子さん
 生まれは岩手県一関市。東京藝術大学音楽学部へ進んで大学院ピアノ科を修了。1988年の第3回日本モーツァルト音楽コンクールのピアノ部門1位を得るまでは、優秀なピアニストそのものの歩みだ。ところが大学院を休学して留学したオランダ、アムステルダム音楽院で大きな転機が訪れた。

「実際に演奏できる状態のピリオド(作曲当時の仕様の)楽器がたくさんあり、私も徐々に、フォルテピアノに魅せられていったのです」

 現代のピアニストにとっても重要なレパートリー、ベートーヴェンのピアノ曲を演奏する場合、「モダンピアノではタッチの研究をはじめ『音をつくる』必要がありますが、フォルテピアノは楽器そのものが『どういう風に弾くべきか』を知っているのです。まさに『目からウロコ』、発想や価値観が逆転しました」。


筆者

池田卓夫

池田卓夫(いけだ・たくお) 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社に記者として入社。企業や株式市場の取材を担当、88〜91年のフランクフルト支局長時代に「ベルリンの壁」崩壊からドイツ統一までを現地から報道した。音楽についての執筆は高校在学中に始め専門誌へも寄稿していた。日経社内でも93年に文化部へ移動、95〜2011年に編集委員を務めた。18年9月に退社後は「音楽ジャーナリスト@いけたく本舗」を名乗り、フリーランスの執筆、プロデュース、解説MC、コンクール審査などを続けている。12年に会津若松市で初演(18年再演)したオペラ「白虎」(加藤昌則作曲)ではエグゼクティブプロデューサーとなり、三菱UFJ信託芸術文化財団の佐川吉男賞を受けた。