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大塚千弘インタビュー(上)

ミュージカル『レベッカ』、「わたし」役で3度目の出演

真名子陽子 ライター、エディター


拡大大塚千弘=水本克美〈桑島写真スタジオ〉撮影

 ミュージカル『レベッカ』に、3度目の「わたし」役で出演する大塚千弘に話を聞いた。今作は女流小説家ダフネ・デュ・モーリアが1938年に発表した同名小説が原作で、1940年にはアルフレッド・ヒチコックにより映画化され、2006年にミヒャエル・クンツェの脚本・歌詞、シルヴェスター・リーヴァイの音楽・編曲によりミュージカル化。2008年に日本で初演され、今回が3度目の上演となる。

物語は――
 広大な屋敷や土地、“マンダレイ”を所有する上流紳士マキシムと、アメリカ人富豪の世話係の仕事をする「わたし」は、モンテカルロのホテルで出会う。先妻レベッカの死の影を引きずるマキシムは、忘れていた心の安らぎを与えてくれた「わたし」を見初め、二人は結婚する。 ハネムーンも終わりマンダレイに着いた二人を出迎える召使いたちの中に、レベッカに幼少時から仕え、彼女亡き今も家政婦頭として屋敷を取り仕切るダンヴァース夫人がいた。屋敷の中は亡きレベッカの面影が色濃く残っているのだった・・・。

 マキシム役は過去2作に引き続き山口祐一郎が演じ、これまでシングルキャストだった大塚演じる「わたし」役は、平野綾、桜井玲香が入りトリプルキャストになる。そして家政婦ダンヴァース夫人役を涼風真世と保坂知寿がダブルキャストで演じる。

 作品や「わたし」役に対する想いや捉え方、共演者について、パートナーを得たことで変わったこと、そして歌うこととは?など、“レベッカ愛”を余すことなく語ってくれた。

愛によって自信を得るということが「わたし」役のすべて

拡大大塚千弘=水本克美〈桑島写真スタジオ〉撮影

――今回、3度目の「わたし」役でトリプルキャストです。これまでと役に対する思いも違ってくると思いますがいかがですか?

大塚:初演はシアタークリエで3カ月間上演して、2010年の再演では帝国劇場での上演になるなど、『レベッカ』は毎回進化している作品です。今回もトリプルキャストになったり、新しいキャストの方だったりたくさん変化がありますので、それを楽しみにがんばりたいと思っています。今までは私の解釈で「わたし」役をやっていましたので、私以外に「わたし」役をやるお二人の解釈がどういう風になるんだろうと、とても楽しみです。

――先ほど解釈とおっしゃいましたが、「わたし」という役をどう捉えているんでしょうか?

大塚:初演から大事にしているのは、身寄りがなくて孤独で愛を知らない女の子。「自分なんか…」といつも引いてしまう女の子なんですけど、人から愛されることで自信がわいてきます。私自身も感じることですが、愛を得ることで強くなれるということを一番に描きたいなと思っています。愛によって自信を得るということが「わたし」役のすべてと捉えています。

――その「わたし」役ですが、3度目の今回はどのように臨もうと思っていますか?

大塚:根本はこれまで創ってきた「わたし」ですが、初演から10年経っています。仕事や私生活でいろんな経験をしてきましたので、これまでの「わたし」を大事にしながらも、深みのある「わたし」役ができたらいいなと思っています。

――初演、再演とシングルキャストでされてきた大塚さんとしては、「わたし」は私の役なのに!と思うことはないんですか?

大塚:若かったらあったかもしれませんね。結構大変な役なので公演が続くと、やはり喉に負担がかかるんですね。でも今回は休養が取れますので、いつもベストな状況で演じられるのではないかと思っています。役を一人で追究していくのも良いけれど、違う要素をもらった方が刺激があるのかなとも思います。

――今回初めて演じるトリプルキャストの他のお二人にアドバイスをするとしたら?

大塚:皆さん活躍されている方ですので、アドバイスなんておこがましいですが、きっと先入観のない方が「わたし」という役はやりやすいと思います。「わたし」という役はこうだというものはないですし、新鮮さや私が考えていないことをきっと感じられると思います。そういったことを反対に私が盗ませていただけたらなと思います

――新たな「わたし」をファンの方たちも楽しみにしているのでは?

大塚:そうなんですね。ファンの皆さんも、また「わたし」役を観られるんだと喜んでくださっています。それがすごくうれしいです。

――3度目だから出せる新しい「わたし」はありますか?

大塚:10年前はとにかく必死でした。21歳でしたので年相応な「わたし」だったのですが、舞台に立ってはいたけれど自分に自信がなくてビクビクしていました。そういうところは役とリンクしていましたので、ナチュラルに演じていたと思います。でも10年経った今、いろんな経験をして逞しくなっていると思いますので、強くなっていく「わたし」にもっと深みを出せればいいなと思います。前はがんばって強くしていたと思いますし、当時は客観的に見られる余裕はなかったですね。

◆公演情報◆
ミュージカル『レベッカ』
2018年12月1日(土)~12月4日(火) 東京・シアター1010 ※プレビュー公演
2018年12月8日(土)~12月9日(日) 愛知・刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール
2018年12月15日(土)~12月16日(日) 福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール
2018年12月20日(木)~12月28日(金) 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
2019年1月5日(土)~2月5日(火) 東京・シアタークリエ
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・歌詞:ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲:シルヴェスター・リーヴァイ
原作:ダフネ・デュ・モーリア
演出:山田和也
[出演]
山口祐一郎、大塚千弘/平野 綾/桜井玲香(トリプルキャスト)、石川 禅、吉野圭吾
今 拓哉、tekkan、KENTARO、出雲 綾、森 公美子、涼風真世/保坂知寿(Wキャスト) 他
〈大塚千弘プロフィル〉
2000年に開催された第5回東宝「シンデレラ」オーディションで審査員特別賞を受賞。2003年、ドラマ『ショコラ』で初主演。同年、『シンデレラストーリー』のヒロイン役で舞台初出演を果たす。以降、舞台、ドラマ、映画など多方面に渡り活躍している。2011年、第36回菊田一夫演劇賞受賞。最近の主な舞台出演作品は、『THE PAJAMA GAME』『クリエ・ミュージカル・コレクション3』『縁えん~むかしなじみ~』『KOHKI OKADA presents I Love Musical』など。
大塚千弘公式ホームページ

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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