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[21]なぜ、本田翼のゲーム実況はウケるのか

太田省一 社会学者

本田翼さん拡大「ゲーマー」として“認知”され、実況が人気を呼んでいる本田翼さん
 ヒトは「実況する動物」である。

 こう言うと大げさに感じるかもしれないが、一口に「実況」と言ってもテレビやラジオのスポーツ実況だけではない。ネットの世界でも実況は盛んだ。

 たとえば、大型掲示板の5ちゃんねるにはさまざまな実況をする板を集めた「実況ch」というカテゴリーがあって、そのなかのテレビ番組に関する板では、視聴者によるテレビ番組のリアルタイムの感想が“実況”という名の下に毎日大量に書き込まれている。つまりネットの世界においては、専門のアナウンサーではない人びとがさまざまなものを実況しているのである。

 そのひとつに「ゲーム実況」という人気ジャンルがある。ゲームをプレイする様子を当のプレイヤー自らが実況する。ゲーム実況専門のひともいるが、有名ユーチューバーのHIKAKINもゲーム実況専用のチャンネルを持っているように、すっかり定番のジャンルである。

ゲームのイメージが変わった

 そして最近、このジャンルに強力な新星が登場した。モデル・女優として人気の本田翼である。

 2018年9月21日、彼女が所属する事務所から、ゲーム配信をメインとしたYouTubeの公式チャンネル開設の発表があった。チャンネル名は「ほんだのばいく」。余談だが、「本田翼」は本名でもあり、名前の「翼」はホンダのバイク「ウイング」からとられたものであることを本人自らテレビで明かしたことがあった。

 そして発表翌日の9月22日、早速1回目のゲーム実況配信があった。実はそれ以前に彼女はテスト配信としてこっそり実況配信を行っていたのだが、それでもネットの口コミで多くの視聴者が集まった。コメント数は8000件を超えたという。

 1回目の配信で彼女がプレイしたのは、「Dead by Daylight」という脱出ゲーム。プレイヤーは1人の殺人鬼(キラー)と4人一組の生存者(サバイバー)に分かれて競う。いわばホラー仕立ての鬼ごっこである。具体的には、彼女自身がアップした説明入りの動画を見てもらうとわかりやすいだろう。

 当日の配信は同時接続約14万人の視聴者を集める異例の盛況ぶり。さらに2018年10月6日の2回目の配信も、本人のインスタグラムで直前にひっそり告知しただけにもかかわらず同じく16万人、そして同10月27日の3回目の配信でも11万人をそれぞれ超える視聴者数を記録した。公式チャンネルの登録者数も、早くも109万人を超えている(2018年11月6日現在)。

「ほんだのばいく」拡大ゲーム「Dead by Daylight」を実況した「ほんだのばいく」より

 なぜ、これほど本田翼のゲーム実況はウケるのか?

 まず大前提として、ゲームというものの位置づけが世の中で変わりつつある。

 ゲームには不健全とか不健康とかいうイメージが昔から付きまとってきた。1980年代にファミコンが登場してから現在にいたるまで、薄まっている部分もあるだろうが、そのイメージは依然根強い。

 とはいえ、ここ最近風向きは変わってきた。象徴的なのは ・・・ログインして読む
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筆者

太田省一

太田省一(おおた・しょういち) 社会学者

1960年、富山県生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、アイドル、歌謡曲、お笑いなどメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『紅白歌合戦と日本人』、『アイドル進化論――南沙織から初音ミク、AKB48まで』(いずれも筑摩書房)、『社会は笑う・増補版――ボケとツッコミの人間関係』、『中居正広という生き方』(いずれも青弓社)。最新刊は『SMAPと平成ニッポン――不安の時代のエンターテインメント 』(光文社新書)、『ジャニーズの正体――エンターテインメントの戦後史』(双葉社)。

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