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ポスト平成のGW10連休は国民を幸せにはしない

次の時代も「みんな一緒」の休み方を続けるのか

勝部元気 コラムニスト・社会起業家

2019年の4、5月のカレンダー。4月30日から5月2日の日付は黒色で表記されている2019年のカレンダー。4月30日から5月2日の日付はまだ黒色だが……

 来年2019年は天皇が交代し、元号が変わる年です。新天皇の即位を祝うために政府は5月1日を祝日にする方針で、そうなると祝日法によって前後の4月30日と5月2日も休みになるため、ゴールデンウィーク(GW)が10連休になりそうだというニュースが舞い込んできました。

 超大型連休が設定されると聞けば喜ぶ人も多いだろうと思うのがこれまでの常識でしたが、実態は必ずしもそうではないようです。

10連休を喜んでいない人たちは誰?

 では10連休を必ずしも喜べないのはどのような人たちでしょうか? 一つは、先進国で増加傾向にある第3次産業(サービス業)従事者でしょう。彼等は勤務日がシフト制で決まっている職場も多く、「国民の祝日が増えても自分には関係無い」というのは分かります。

 日本にはいまだに長時間労働が蔓延しています。「仕事の分量が圧倒的に多くて、とてもじゃないが10日間も休めない」という人が10連休を歓迎しないのも頷けます。メディアや広告代理店やコンサルティング等、マンパワー型のビジネスを展開する企業に多いでしょう。

 また、私のようにフリーランスでそもそも休みを自由に設定出来る人も、あまり国民の祝日は関係ありません。予め仕事を調整しておくことで、自由に連休を作り出すことが出来るからです(もちろん取引先の関係上それが出来ないフリーランスの人もたくさんいます)。

10連休が億劫だと感じている人たちは誰?

 ところが、10連休に対して、「嬉しい」でもなければ、「関係無い」や「別に嬉しくない」でもなく、「億劫だ」という話を頻繁に耳にするのです。

 そのような声が少数派なのかどうかが気になり、Twitterでアンケートをしてみました。Twitterなので統計としての信憑性はさほどありませんが、たとえ一部の人々の声だとしても、「嬉しい」を抑えて「億劫」が最多という結果になったのは大変驚くばかりです。

 確かに、小泉政権以降増加した派遣社員等の非正規雇用労働者にとっては、労働日数の減少は収入の減少に直結する死活問題です。以前、エキサイトニュースで「プレミアムフライデーは格差を拡大させる『官制賃下げ』」という記事を書いたのですが、正社員との格差を更に広める休みの増加に、彼等が「やめて欲しい!」というのも理解出来ます。

 ですが、どうもシフト制のサービス業でも、自由度の高いフリーランスでも、非正規労働者でもない人たちからも、連休を歓迎しない声が聞こえます。これはいったいどういうことか想像出来るでしょうか?

子供のいる労働者にとって育児は休日の副業である

 実際に色々とヒアリングをしていくと、10連休に対して「億劫だ」と答えている人は、男性よりも女性、そして子無し独身者よりも子供がいる母親、特にワーキングマザーに多い傾向にあると感じています。

 どうやら保育園や学校・学童が休みのために、子供が家にいることで発生する様々な「育児の大変さ」が原因のようです。確かに「育児よりも仕事のほうが楽」と答えるワーキングマザーは少なくありません。

 アメリカ大統領補佐官のイヴァンカ・トランプ氏が、2017年11月3日に日本で開催された「国際女性会議WAW!」にて、「私は子供たちとの乱雑で素晴らしい週末の後の日曜の夜は、職場での長い1週間の仕事の後の金曜日の夕方よりも、はるかに疲れています」と述べた時は、日本のワーキングマザーから共感の声があがっていたことを思い出します。

ワーキングマザーと主婦は「本職」が違う

 主婦を経験した一部の人やその夫(特に、専業主婦の家庭が多かった世代の人々)から、「自分の子供なのにどういうこと!?」「育児が下手くそなのではないか!」「母性が足りないのではないか」という疑問を持たれそうですが、

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