映画「いろとりどりの親子」からのメッセージ
愛があるから世話をするだけでなく、世話をするからこそ愛するようになる
岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

『いろとりどりの 親子』11月17日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開 配給:ロングライド (C)2017 FAR FROM THE TREE, LLC
もし生まれてきた自分の子どもが障がいを抱えていたら、どうしただろうか?
もし自分の子どもがLGBTだと告白してきたら、どうしただろうか?
もし自分の子どもにネグレクトや虐待をしてしまったら、それは愛していないということなのだろうか?
こんなことを考えさせられる世界的ベストセラー「FAR FROM THE TREE」が映画化された。日本でも11月17日からドキュメンタリー映画「いろとりどりの親子」として公開される。
原作者で出演もしている作家アンドリュー・ソロモンさんへのインタビューや、朝日新聞に寄せられた若い世代のメッセージを通して、多様性を認め合う社会について考えた。2回に分けて報告したい。
親が子に望む「普通」って
映画は、ダウン症、自閉症、低身長症、ゲイ、犯罪、こういった「違い」を持った子どもと親の、それぞれの物語が束ねられている。
「普通に生まれてきてくれるだけでいい」「人並みに育ってくれればいい」。私たち親は、漠然とだが、こんな言葉をよく口にしてしまう。
この映画で取り上げられているような障がい、つまり親との「違い」を持った子どもが生まれてきたら、困難な人生を想像し、絶望感や不安を抱く人が多いだろう。
アンドリューさんは現在、コロンビア大学メディカルセンターの臨床心理学の教授であり、PENアメリカン・センターの会長もしている。2012年に出版された原作本は、24カ国語に翻訳され、世界的なベストセラーになった。