メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

無料

障がいって言うけれど…若い世代の叫び

人はみな少しずつ違う。だからこそ個性が生まれる。

岩崎賢一 朝日新聞記者

「私の向日葵が教えてくれたこと」 高校生 関根真優(神奈川県 17)
 私は去年の夏、妹を亡くした。妹は生まれながらに障がいを持っていたが、顔をくしゃくしゃにして楽しそうに笑う姿は向日葵(ひまわり)のようだった。
 私は幼い頃から、妹を見る人の目が気になっていた。「こっちを見ないで」「放っておいて」といつも思っていた。重い障がいで、車いすで移動する妹といると、冷たく、珍しいものを見る視線を向けられていると感じ、恥ずかしいとさえ思うことがあった。可哀想だと言われることもあり、みんな嫌いだと思った。
 でも今、そんな人の気持ちも理解できる。確かに、妹はチューブにつながれていたため少し特徴があったのは事実だし、見られるのも仕方がない。だが、周りを見るとどうだろう。顔、体形、性格。人はみな少しずつ違う。人にはそれぞれ特徴があり、だからこそ個性が生まれる。たとえ障がいがあってもそれも含めて自分なのだ。(2018年8月3日朝刊)

  投稿するきっかけは、高校の授業で小論文の課題があったためだという。自由テーマの中で、脳性麻痺を抱えた妹を通じて障がいについて、自分が感じたことを正直に書くことを選んだ。

 関根さんに改めて話を聞くと、「妹は生まれた時、へその緒が首に絡まっていて、酸素が十分に脳に届かなくて脳性麻痺になりました。ただ、成長するにつれて、笑顔が増えてきました。感情もあり、最初に母が医師に言われような『植物状態になるかもしれない』という言葉が信じられないほどでした」という。

 投稿では、障がい者や車いすに乗る人を見る社会の視線について、障がい者の家族がいる人の胸の内をストレートに書いている。

「どの命にも優劣ない社会願って」 主婦 佐々木寿美(神奈川県 34)
 5月に出産した息子はダウン症です。我が子が生まれながらに障害をもっている事実を知った直後こそ大きなショックを受けました。
 しかし、いろいろ調べると、実はダウン症やそのほかの染色体異常を持つ胎児の多くは、誕生する前に流産などで母体の中で淘汰(とうた)される運命にあるということを知りました。ある医師は「生まれてくる子は強い生命力を持っている」と聞かせてくれました。
 我が子もそんな強い生命力を持ってきた一人なのだと思うと、今では母親として息子を誇らしく感じます。そしてまた、ダウン症に限らず障害をかかえながら生まれてくる子すべてが、ほかの命と変わりない強く逞(たくま)しい命の持ち主であるということに気づかされました。
 今、社会的にも障害をもつ人との共存の在り方を議論し、模索されておりますが、どの命も優劣なく朗らかに生きていける社会であることを願わずにはいられません。
 そのために大それたことはできずとも、まずは私自身がこの子とのよい一日を一歩一歩積み重ねていきたいと思って、日々を過ごしています。(2018年8月16日朝刊)

 この投稿を書いた佐々木さんに改めて話を聞くと、「息子がダウン症と分かったと同時に、社会で起きている障がい者に関係する事件や差別的な扱いについて、すごくリアルに感じるようになりました。今までは、そんなことあるんだと傍観者的だった」と話す。社会に伝えたかったことは、「障がいがあっても、家族とともに幸せに生きていることを知ってほしかった」と振り返る。

 佐々木さんは出産時のことについて、「ダウン症の子が生まれたことに対して家族としては生まれてきてくれてよかった、と思っています。しかし病院の医療スタッフからは『これから大変』と言われ、親として悔しかったです。おめでとうだけでない雰囲気はちょっと悲しいです」と話す。


筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞記者

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当を経て、現在はオピニオン編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。withnewsにも執筆中。

岩崎賢一の記事

もっと見る