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【公演評】雪組『ファントム』

望海風斗、真彩希帆の圧倒的歌唱力コンビがオペラ座の怪人をドラマチックに彩る

さかせがわ猫丸 フリーライター


拡大『ファントム』公演から、エリック役の望海風斗=岸隆子撮影

 雪組公演ミュージカル『ファントム』が、11月9日、宝塚大劇場で初日を迎えました。ミュージカルでも有名なガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』をもとにした作品で、宝塚では2004年に宙組の和央ようか主演で初上演されたのを始め、2006年に花組の春野寿美礼、2011年に花組の蘭寿とむで再演を重ね、いずれも大好評を博しています。

 7年ぶりの再演となる今回は、高い歌唱力を誇る雪組トップスター望海風斗さんと真彩希帆さんが演じるとあって、その注目度の高さも半端ではありませんでした。そんな期待を大きく上回る圧倒的歌唱力で、海外名作ミュージカルの醍醐味を存分に披露。歌上手コンビの魅力を最大限に発揮する公演となりました(以下、ネタバレがあります)。

天使の歌声そのものの真彩

 開演ブザーが鳴ると、まずはオーバーチュアとともにオペラ座の中に忍び込むような映像が流れ、やがてファントムの住む地下へといざなわれます。揺らぐ水面に浮かぶ白い花、迫りくるオーケストラの重厚な音色。これまでとは違った導入の演出に、客席の期待も高まります。

 幕が上がると、巨大な月をバックに登場するファントム。「僕の悲劇を聞いてくれ」を歌う望海さんの切なくも迫力ある歌声が、オペラ座ならぬ宝塚大劇場を支配していきます。

 パリ・オペラ座の地下には怪人ファントムが住むという。だから決して、誰も地下に降りてはならない……。

拡大『ファントム』公演から、クリスティーヌ役の真彩希帆=岸隆子撮影

――19世紀後半のパリ。オペラ座通りで楽譜を売るクリスティーヌ・ダーエ(真彩)の歌声に魅せられたフィリップ・ドゥ・シャンドン伯爵(彩凪翔/朝美絢)は、彼女がレッスンを受けられるよう、オペラ座の支配人ジェラルド・キャリエール(彩風咲奈)を紹介する。だがオペラ座では、キャリエールの解任が告げられ、アラン・ショレ(朝美/彩凪)が新しい支配人となっていた。ショレの妻でプリマドンナのカルロッタ(舞咲りん)が権力を誇示するように挨拶をしていると、一通の手紙が舞い落ちてくる。「下に降りてはいけない」と書かれた警告に、キャリエールは劇場の地下に住む怪人・ファントムの伝説を語るが、カルロッタはまったく取り合おうとしない。

 “天使の歌声”を持つクリスティーヌ役の真彩さんは、その看板に偽りなし。「パリのメロディ」「私の夢が叶う場所」「私の真の愛」など、名曲ぞろいのナンバーはどれも、ファントムをはじめ、シャンドン伯爵、そして客席の心を奪うに十分な説得力がありました。

 特にビストロの場面では、最初は自信なさげだった声が、ファントムに勇気づけられ、堂々と劇場いっぱいに響かせるようになっていく高揚感には胸を揺さぶられずにはいられません。こんな鳥肌の立つような名場面がいくつも登場することが、この作品が広く愛されていることの証でしょう。そんな期待に応える真彩さんの豊かな表現力にも乾杯です。

◆公演情報◆
三井住友VISAカード ミュージカル『ファントム』
2018年11月9日(金)~ 12月14日(金) 宝塚大劇場
2019年1月2日(水)~ 2月10日(日) 東京宝塚劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本:アーサー・コピット
作詞・作曲:モーリー・イェストン
潤色・演出:中村 一徳
翻訳:青鹿 宏二

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筆者

さかせがわ猫丸

さかせがわ猫丸(さかせがわ・ねこまる) フリーライター

大阪府出身、兵庫県在住。全国紙の広告局に勤めた後、出産を機に退社。フリーランスとなり、ラジオ番組台本や、芸能・教育関係の新聞広告記事を担当。2009年4月からアサヒ・コム(朝日新聞デジタル)に「猫丸」名で宝塚歌劇の記事を執筆。ペンネームは、猫をこよなく愛することから。

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