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踏切事故を撲滅するために必要なことは何か

岸田法眼 レイルウェイ・ライター

列車と車がぶつかった衝撃で倒された遮断機や踏切脇の側壁=2018年11月5日午後0時26分、群馬県伊勢崎市北千木町東武鉄道伊勢崎線の列車と車がぶつかった衝撃で倒された遮断機や踏切脇の側壁=2018年11月5日、群馬県伊勢崎市北千木町

 踏切事故があとを絶たない。それを撲滅するにはどうすればいいのだろうか。

日本の鉄道踏切

 日本の鉄道踏切は3種類存在する。

○第1種踏切
 警報機、遮断機がともにある。

 ほとんどが自動式で、安全性が高い。しかし、2013年4月11日にJR西日本梅田貨物線の踏切で遮断機が下りていないのに、列車が通過してしまう事故が発生した。歩行者や自動車などに衝突するという、最悪の事態は避けられたのが不幸中の幸いだ。

 一方、係員が手動で操作するタイプも存在する。こちらは安全性が低い。2005年3月15日に東武鉄道伊勢崎線竹ノ塚付近の踏切で、係員の誤操作により、通過列車にはねられ2人が死亡する事件が発生した。

 その後、手動式を自動式に切り替えたほか、竹ノ塚駅とその付近で高架化工事が行われている(現在は下り急行線のみ高架に切り替え)。

 警報機、遮断機いずれも誤操作が発生する恐れがあり、踏切を渡る際はいったん止まり、左右の安全確認が重要だ。

○第3種踏切
 警報機はあるが、遮断機はない。人通りの少ないところ、幅員の狭いところに設置されている模様。

 私の記憶にある限り、鉄道の路線で、この踏切を実際に見たのは1か所だけ(当該踏切は、のちに遮断機も設置された)。自動車教習所内の模擬踏切のほうがはるかに多いのではないだろうか。

○第4種踏切
 警報機、遮断機がともにない。最も危険な踏切と言えよう。特にローカル線に多く、早急な改善が求められる。しかし、ともに費用や維持費がかかるため、特に中小私鉄は設置に踏み切れないのが現状だ。

 参考までに、第4種踏切として認められない「勝手踏切」というものがある。沿線の居住者らが勝手に踏切を作り、“地元の足”を主張しているもの。しかしながら、これは線路内立ち入りとなり、鉄道営業法違反で罰せられてもおかしくない。

 現在は例外を除き、法令により踏切の新設ができない。このため、鉄道事業者は勝手踏切を“正式な踏切”として整備もできないのだ。強制撤去にも踏み切れず、黙認しているところもある。交通業界は安全を最優先に物事を進めなければならないのだから、毅然とした対応をとるべきだ。

 なお、第2種踏切(一定時間に限り、係員が遮断機を操作)は、1980年代に消滅した。

遮断機がない第3・4種踏切の全廃を

 国土交通省によると、踏切は1960年度には全国に約7万カ所以上あり、遮断機がない第3・4種踏切が大半を占めていた。その後、1961年の踏切道改良促進法の施行により、遮断機つき踏切が徐々に増加していった。

 しかし、鉄道と道路の立体交差事業や統廃合が進められたこと、赤字などによる路線の廃止などで、踏切の数は減少している。2016年度には3万3332カ所と、1960年度から半減し、遮断機がない踏切は1割に減った。

 それでも事故は絶えない。

 2018年9月27日、JR西日本福塩線道上―万能倉間で、小学4年生の女児が自転車で横断しようとしたところ、普通電車福山発府中行きにはねられ死亡した。当該踏切では以前にも同様の事故が発生しており、JR西日本はなんの対策も講じていなかったほか、広島県警交通企画課、地元住民も意見や要望をまったく出していなかったのだ。

 毎日新聞によると、JR西日本は2019年度、第1種踏切に変更する方針だという。当該踏切だけではなく、ほかの第3・4種踏切も第1種踏切に変更するか、踏切自体を廃止するなど、見直し、安全対策の強化を図るべきではないのか。これは、ほかの鉄道事業者にもいえる。

 また、自費で設置、維持管理が難しいのならば、国土交通省、自治体の補助を相談するなど、やるだけのことはやってほしい。

セダン1台分程度の幅員は、自動車の通行を禁止すべき

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