メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

藤田俊太郎インタビュー(下)

梅田芸術劇場×チャリングクロス劇場、ミュージカル『VIOLET』を演出

真名子陽子 ライター、エディター


藤田俊太郎インタビュー(上)

目を見たまま瞬きもせずに、無視

拡大藤田俊太郎=冨田実布撮影

――ヴァイオレットと同じ場所を旅されたそうですが、何を感じられましたか?

藤田:おもしろかったです。でもアメリカ南部の2月の雨がとても冷たかった。-10℃の日もありました。

――バックパッカーみたいな感じで、転々とホテルに泊まりながら?

藤田:はい。あえてモーテルにも泊まりました。

――それは作品の世界観を体感しようという思いで?

藤田:はい。ヴァイオレットがメンフィスのモーテルに泊まるのと同じ体験をしたかったんです。

――とくに強く印象に残っている体験はありますか?

藤田:南部アメリカ1500キロを旅していく中でたくさんの方に出会いましたが、特に印象に残っている経験があります。ある時、道を尋ねようと一人白人男性にアーカンソーリバーってどこにあるんですかって聞きました、Where is Arkansas river?  でも、僕の目を見たまま、無視。英語の発音の問題かな?と思って、ゆっくり言ってみるんですけど、目を見たまま瞬きもせずに、無視。目に入っていないんです。誤解を恐れずに言うと、この白人層の人たちの目にアジア人は入らないんだなと感じました。

――存在しない?

藤田:はい。存在しないんです。極端に言うと白人以外は人種ではないということですよね。体験しなきゃわからなかったことです。そういう対応をなさる方は一人じゃなかった。

さまざまな音楽に出会う旅でもある

拡大藤田俊太郎=冨田実布撮影

――それは日本人にはなかなかわからない感覚ですね。

藤田:もう一方で、ノースカロライナを出発して、オクラホマのタルサまで大きな出来事が二つありました。一つは、ナッシュビルとメンフィスで今もまだ生き続けているカントリーミュージックやロックンロールに出会ったんです。街中のありとあらゆるところで演奏しているんですね。すごいスキルを持ったミュージシャンたちがそこら中にいました。

――その方々は路上ミュージシャンなんですか?

藤田:いえ、ミュージックベニューというライブハウスがズラーっと並んでいる通りがあるんです。それこそ100件以上のライブハウスがメインストリートや少し外れたところにあって。入り口付近で演奏していて、いいなと思ったら中に入って飲み物代を払えば聞けるんです。ナッシュビルは観光客向けでもあるんですけど、少し離れたところには本物のカントリーミュージック専門のライブハウスがある。メンフィスにはビールストリートがあって、いろんな黒人、白人音楽が混じって誕生したアメリカのルーツ音楽が今も演奏されていました。生き続けているわけです。

――音楽が好きな方にはとてもおもしろい体験ですね。

藤田:その体験をした時に、ヴァイオレットの旅は人だけではなく、60年代アメリカのさまざまな音楽に出会う旅でもあるんだと感じました。ヴァイオレットの旅の最終地点で流れている音楽はゴスペルです。あらゆる音楽がひとつに混じって、最後にゴスペルになります。そして僕は、ヴァイオレットが旅の最後に行ったオーラルロバーツ大学の大聖堂で大人数で歌うゴスペルを聞くことができたんです。ヴァイオレットと同じような道のりを、アメリカのルーツといわれる音楽と共に体感できたことはとても大きいですね。 

◆公演情報◆
梅田芸術劇場×チャリングクロス劇場
日英共同プロジェクト
ミュージカル『VIOLET』
・英国ロンドン公演/チャリングクロス劇場
プレビュー:2019年1月14日(月)~1月20日(日)
公   演:2019年1月21日(月)~4月6日(土)
・日本公演
ロンドン公演終了後に東京・大阪にて上演予定
公式ホームページ
公式ツイッター
〈藤田俊太郎プロフィル〉
1980年生まれ、秋田県出身。2005年、東京藝術大学美術学部先端芸術表現科卒業。在学中の2004年、ニナガワ・スタジオに入る。2016年まで蜷川幸雄作品に演出助手として関わる。絵本ロックバンド「虹艶(にじいろ)Bunny」としてライヴ活動展開中。主な作・演出作に、『喜劇一幕・虹艶聖夜』(11年)、主な演出作に、さいたまネクスト・シアター『ザ・ファクトリー2 話してくれ、雨のように……』(12年)、『美女音楽劇人魚姫』(15年)『手紙』『sound theaterVI』『Take Me Out』(16年)、『手紙2017』『ダニーと紺碧の海』『sound theaterⅦ』(17年)『Take Me Out 2018』『ジャージー・ボーイズ ザ ミュージカル イン コンサート』(以上18年)。『ピーターパン』『LOVE LETTERS』(17年〜)『The Beautiful Game』(14年)の演出にて第22回読売演劇大賞優秀演出家賞・杉村春子賞、『ジャージー・ボーイズ』(16年)の演出にて第24回読売演劇大賞最優秀作品賞・優秀演出家賞、『ジャージー・ボーイズ』『手紙2017』の演出の成果に対して第42回菊田一夫演劇賞を受賞。

・・・ログインして読む
(残り:約2453文字/本文:約4539文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

真名子陽子の記事

もっと見る