大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター
演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
福田雄一演出のブロードウェイミュージカル『サムシング・ロッテン!』に出演
――兄弟役を演じるお二人ですが、『999』で共演されて、すでに気心が知れていますよね。
中川:『999』の次作も決まりましたからね。
平方:そうですね。
中川:でも、この作品で決裂するかも(笑)。
平方:ちょっと(笑)! 役者同士でなく、普通に友達としてお互いに知っている相手だからこそ、アッキーが主役として新たなものを創り上げてお客様に披露するまでの苦労はそばで見ていて感じられたつもりなので。「ああ、アッキーは今は大変なときだから、距離をあけておいた方がいいな」と感じたこともあったんですよ。今回は兄弟役で距離が近くなった分、いろんなことがスムーズにいく気がするし、コメディだから「アッキー、やっちゃえ!」と応援することもあるかもしれない。でも、『999』を経て、今回一緒に挑戦できるのがアッキーでよかったなと本当に思います。
――『999』のときは中川さんが星野鉄郎、平方さんがキャプテン・ハーロックを演じましたが、濃く関わっていらしたのですか。
平方:濃かったよね。
中川:濃かったと思う。
平方:「はじめまして」の方がたくさんいらっしゃる中で、人間関係を作る間もなく、作品をゼロから作らないといけないし、アッキーはずっと出ずっぱりで物語の中心をひたすら走っていないといけない。皆を引っ張っていくというのは、僕にはわからないことなんですが、アッキーは思いのほか、人に全然頼らないんですよね。
中川:……もっと言っていいよ。
平方:ハハハハ。
中川:いや、そうでもないと思うけど。
平方:普段だったら「ねえ、元基マン、何とかでさ」と言ってくるんだけど、この稽古中は全然言ってこなかった。こうと思ったものを突き進む強さがあったんです。これは自分にはできないと思って。すごいなと思いましたね。それがアッキーの男気だったり、正義だったりするんだと思う。ゼロから作るって難しいことがたくさん起こるじゃないですか。
中川:あるよね。
平方:そんな中でも、アッキーは一人だけ違ってましたね。最初から最後まで「僕はこうやりたい、こうお客様に見てもらいたい」というのがあって、それを貫いていたから、皆がそれについていくんです。役者・中川晃教のすごさを稽古場で見たのは初めてだったから、感心しました。
中川:へえー、それまではそんなふうに思わなかったんだね(笑)?
平方:だって、アッキーって普段は意外と甘えん坊のところがあるじゃない? 何かとちょっかいを出してきたり。でも『999』のときは、ただひたすらに真剣だった。そうじゃないとできなかったし。
中川:時間もタイトだったしね。
平方:頼もしかったです。今回はアッキーがお兄ちゃんの役だから頼もしいというか。
中川:普段は、僕は元基くんのことを頼れる弟と思っているから。
◆公演情報◆
ミュージカル『サムシング・ロッテン!』
2018年12月17日(月)〜12月30日(日) 東京・東京国際フォーラム ホールC
2019年1月11日(金)〜1月14日(月・祝) 大阪・オリックス劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
演出:福田雄一
[出演]
中川晃教、西川貴教、瀬奈じゅん、平方元基、清水くるみ、橋本さとし ほか
〈中川晃教プロフィル〉
2001年、自身が作詞作曲をした「I WILL GET YOUR KISS」でデビュー。同曲にて第34回日本有線大賞新人賞を受賞。翌年、日本初演となるミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢される。以降音楽活動と並行し、俳優としても活動を開始。出演のみならず楽曲提供という形でも携わっている作品多数。2016年に主演を務めたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』で、第24回読売演劇大賞最優秀男優賞、第42回菊田一夫演劇賞を受賞。
★中川晃教オフィシャルサイト
〈平方元基プロフィル〉
2008年『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』でデビュー。2010年舞台『ヘルプマン!』にて、初舞台&初主演。2011年ミュージカル『ロミオとジュリエット』ティボルト役でミュージカルデビューし、『エリザベート』『シラノ』『マイ・フェア・レディ』『王家の紋章』『スカーレット・ピンパーネル』『レディ・べス』など数々の本格ミュージカルにて重要な役を演じる。
★平方元基オフィシャルサイト
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