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ファーブル昆虫記を子どもにも……奥本大三郎さん

第53回JXTG児童文化賞を受賞。昆虫への情熱と子どもへのまなざしを聞く。

阿部洋子 ライター

「虫好きは生まれつき」

ジャン・アンリ・ファーブル(仏・生物学者)拡大ジャン・アンリ・ファーブル(仏・生物学者)
 「虫好きだったのは生まれつきですね。物心がついた時からということですから。世界中の有名な動物学者を集めて、いつから生き物が好きかアンケートを取ったところ、だいたいみなさん物心ついた時からと回答したそうです。僕も例に漏れず、そういうことですね。だから、その代表として今回ちょうだいしたと思っていますので、本当に嬉しい、感無量ですよ」

 子供の頃からものを集めることが好きだった。ポケットに石を詰めて帰り、よく叱られていたのだそう。

 「ポケットが破れると言って、いつも母に怒られました。ファーブルも子供の時に瑪瑙(めのう)か何かの原石をポケットに入れて、母親に叱られています。世界中どこでも、男というのは無駄を集めるものですね。宝石ではなく、原石を集める。無駄なものに惹かれるのは男というものの性質なのかもしれません。男は役立たずなものですから(笑)」
 「ミツバチのオスは、英語でDrone(ドローン)と言いますが、ドローンには“役立たず”という意味があるんです。雄バチが蜜を取りに行くこともせず、女王蜂と交尾するだけなのでそういう意味になったのかもしれません」

殺生して“遊ぶ”ことが感性を育てる

『ファーブル先生の昆虫教室』(文・奥本大三郎 絵・やましたこうへい)拡大『ファーブル先生の昆虫教室』(文・奥本大三郎 絵・やましたこうへい)
 奥本さんが館長を務める、東京・千駄木のファーブル昆虫館「虫の詩人の館」では、虫の標本のコレクションやファーブルの生家を再現した展示室があるほか、昆虫採集や標本作りの子供向けワークショップも行っている。しかし、近年は昆虫採集する場所が減少したり、動物愛護の観点から採集に否定的な人も増えたのだそうだ。

 「自分の周りに虫がいっぱいいる環境があり、それを殺生して“遊ぶ”、つまりつぶさに観察して絵を描いたりするというようなことですが、そういうことが目を育て、感性を育てると思うんです。デジカメで写真を撮って、ネットに公開することは素晴らしくスマートですが、頭の中を素通りしてしまう気がしますね」
 「例えば、クワガタの絵を描いてみろと言われたら、そらで描けないのでは? ギンヤンマはどんなトンボなのか、マダラヤンマとの違いはなんだろう、というようなことは、細部を見ないと答えられません。生きているものの動きを止めてスケッチをするということは大事なんじゃないかと思います」


筆者

阿部洋子

阿部洋子(あべ・ようこ) ライター

1986年生まれ。千葉県出身。出版社で書籍、雑誌編集を経験後、フリーに。主にカルチャーとファッションをテーマに、女性誌から週刊誌まで幅広く編集・執筆・インタビューなどを行う。