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石飛幸治×澤井俊輝×久保優二×千葉健玖/下

新進演劇人育成公演[俳優部門]『Happy Families』

真名子陽子 ライター、エディター


石飛幸治×澤井俊輝×久保優二×千葉健玖/上 

今だからこそお客さまがどう捉えるのか知りたい

拡大左から、石飛幸治、久保優二、澤井俊輝、千葉健玖=伊藤華織撮影

久保:初演から約20年経っているので、やはり時代の違いについては考えますよね。今は情報があふれているので何となくイメージはわかるんですけど、じゃあ20年前はゲイなどのセクシャルな問題に関してどれだけの情報があったのかなと思います。僕たちは20年前の状況はまったくわからないので、その時にどんなファーストインプレッションをこの作品に感じたのか……。

石飛:映画『真夜中のカーボーイ』などゲイを扱った芝居は昔からやっていたから、芝居を創ることはそんなに大変でもなかったね。最近だもんね、一般的にLGBTが話題に上るようになったのは。

千葉:僕ですらつい最近だなって思いますもん。

石飛:若い千葉くんでさえね。

千葉:僕が子どもの頃はこんなにオープンじゃなかったです。テレビにおネエタレントは出ていなかったですし。今ではそういう方たちの意見に共感したりしていますよね。

石飛:20年前のロンドンは今の日本ぐらいの感じだったかな。ヨーロッパは人種問題などいろんな問題があるから、そういう作品もたくさんあったんだと思う。

久保:当時の日本はおおっぴらにできなかったから問題にすらならなかったんですよね。考えようという認識にもつながらなかったんだと思います。

石飛:今だからこそお客さまがどう捉えるのか知りたいし、初演を観ていない人たちにもぜひ観てもらいたいなと思う。

久保:やる側としても、当時に比べたら恵まれている状況なんでしょうね。

千葉:僕の役はゲイに対してすごく気にする役だけど、今のこの世の中だからこそもっと違うところに目線がいって、違う見え方がするんじゃないかなって思っています。ゲイに対してどうこうではなく、作品の本質が見えやすい世の中になっているんじゃないかなとは感じますよね。

石飛:そうそう、それは感じるね。

若手にとっては刺激でしかない

拡大左から、石飛幸治、久保優二、澤井俊輝、千葉健玖=伊藤華織撮影

――若い役者さんと芝居をするときは見守る派? つい口を出しちゃう派?

石飛:わりと見守り体質だと思うけど、あまりにも先へ進めないでいると倉田さんの言ってることはこうなんだよって伝えたりしますね。今回は倉田さん演出は初めて、という役者もいるので、まずは共通言語を作るところから始めないといけないんです。その作業が大変なんだよね。

千葉:最初はわかんないですよ。

石飛:芝居の作り方が違うんです。以前60歳を過ぎたキャリアのある役者さんが、倉田さんの言っていることはすごくわかるんだけれど、それを1カ月半のお稽古で創り上げるのは相当大変だよね、倉田さんはすごく難しい注文をしてるねとおっしゃったんです。言ってることはわかるんだけど、できないんだよね。どういう風に自分の中に落としていくか、それをどう落とすかが役者の仕事なんだけど、その落とし込むまでがものすごく時間がかかる。

久保:かかります! 倉田さんに言われてその場ですぐにやれと言われてもできないんですよ。世の中にはすぐにできる人がいるかもしれないけど(笑)、僕はすぐにできない。まず方向性を稽古で決めさせて欲しいなと思います。その歩幅やスピードは一度持って帰って考えさせて欲しいです、僕は……。

澤井:劇団に入った頃は倉田さんの言っていることがまったくわからなかった。理屈だけはわかるんです。でも、わかるけど、はて???ってなるんですよね。今回出演しているスタジオライフの劇団員のなかでも、僕ら育成対象メンバーにとってはその感覚はそんなに前のことじゃないので、今回初めて倉田さん演出を受けるメンバーとその悩みを共有できると思うんです。なので、劇団員とはまた違う新しい共闘の形ができるんじゃないかなと思っています。

石飛:なるほど、それは楽しいね。

千葉:若手にとっては刺激でしかないと思います。

◆公演情報◆
『Happy Families』
文化庁委託事業/平成30年度次代の文化を創造する新進芸術家育成事業
日本の演劇人を育てるプロジェクト 新進演劇人育成公演[俳優部門]
2018年12月13日(木)~12月23日(日) 東京・ウエストエンドスタジオ
公式ホームページ
[スタッフ]
作:デボラ・ラヴィン
翻訳:河内喜一朗/スタジオライフ
上演台本・演出:倉田淳
[出演]
澤井俊輝◎、久保優二◎、千葉健玖◎、吉成奨人、若林健吾、曽世海司、楢原秀佳、石飛幸治(以上スタジオライフ)、鈴木智加寿(MC企画)◎、相馬一貴(演劇集団円)◎、高尾直裕(劇団ひまわり)◎、坂本岳大
◎=育成対象者
〈石飛幸治プロフィル〉
スタジオライフシニア(1991年入団)。劇団の作品を中心に、ミュージカル「レ・ミゼラブル」など外部の舞台にも多数出演している。スタジオライフでの出演作品は『BLOOD RELATIONS血のつながり』『トーマの心臓』『PHANTOM -THE UNTOLD STORY』など。
〈澤井俊輝プロフィル〉
スタジオライフ第十一期生(2012年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『はみだしっ子~in their journey through life~』『カリフォルニア物語』『エッグ・スタンド』『訪問者』『アドルフに告ぐ』など。
〈久保優二プロフィル〉
スタジオライフ第十二期生(2013年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『はみだしっ子~in their journey through life~』『アンナ・カレーニナ』『DRACULA~The Point of No Return~』『エッグ・スタンド』『DAISY PULLS IT OFF』など。
〈千葉健玖プロフィル〉
スタジオライフ第十二期生(2013年入団)。スタジオライフでの出演作品は、『はみだしっ子~in their journey through life~』『カリフォルニア物語』『DRACULA~The Point of No Return~』『卒塔婆小町』『THE SMALL POPPIES』など。

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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