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秋篠宮さま「大嘗祭発言」のコンサルタント戦略

矢部万紀子 コラムニスト

記者会見する秋篠宮さまと紀子さま=22日、東京・元赤坂の秋篠宮邸、代表撮影.記者会見をする秋篠宮さまと紀子さま=2018年11月22日、東京・元赤坂の秋篠宮邸、代表撮影

 秋篠宮さまが一般人だったら。失礼を承知の上で、そんなことを考えた。

 優秀な経営コンサルタントになったのではないだろうか。そう思った。11月30日に公表された記者会見の内容を拝読してのことだ。

 大嘗祭について「宗教色が強いものを国費で賄うことが適当かどうか」という疑問を口にされた。当事者としての考えを率直に述べられたのだが、政治的発言ではないかという批判も招いた。

 私が感じたのは、政治性よりもコンサル性だった。発言に至る思考回路というか発想法というか、それがとてもコンサル的だと感じたのだ。

 有名コンサルティングファーム出身の上司に仕えた体験などをもとにコンサルタント業務を一言でまとめるなら、「対象組織を客観的にとらえ直し、問題解決への道筋を与える」ではないだろうか。大嘗祭発言をその観点から、私なりに整理してみる。

「国民の理解を得られますか」という問いかけ

 皇室が国民と共にあること、そして税金で運営されているということ。秋篠宮さまは、この二つを強く意識されていると思う。

 振り返ると秋篠宮さまは、2009年の記者会見で皇族の数が減ることについて「国費負担という点からみますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」と述べられている。もともと国費コンシャスな方なのだ。

 だから今回の会見で、眞子さまと小室圭さんについて「多くの人が納得し喜んでくれる状況にならなければ、婚約にあたる納采の儀を行うことはできません」と明言されたのも、1億円超とみられる「皇室経済法による一時金」が眞子さまに支払われるということを強く意識されてのことと思う(この件は他サイトで書いたので、よろしければご覧いただきたい)。

 皇室が国民と共にあるなど当たり前だ。意識しない方がおかしい。そんな声も聞こえてきそうだ。だが当たり前なことでも、長く実践しているとルーティンになってしまい「原点」が意識から抜け落ちる。そういうことはありがちで、コンサルは「組織の原点」を思い出させ、そこから再度ルーティンを見直させるといった作業をさせる。

 秋篠宮さまは「国費で賄うことが適当かどうか」と問題提起をされた後で、大嘗祭についてこうまとめられた。

 「整理の仕方としては、一つの代で一度きりのものであり、大切な儀式ということから、もちろん国もそれについての関心があり、公的性格が強い、ゆえに国の国費で賄うということだと。平成のときの整理はそうだったわけですね」

 あなた達は、今回もこれでいいと思ったでしょ。そうゆっくりと確認する、コンサルタントのようだ。そしてこう続けられた。

 「宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています」

 この発言の前提として、秋篠宮さまの頭の中には

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