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『阿波の音』山野海×塚原大助インタビュー/上

ゴツプロ!×本多劇場×台湾・烏梅劇院

真名子陽子 ライター、エディター


拡大山野海(右)と塚原大助=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・ジャケット、シャツ、パンツ(塚原)、コート(山野)/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

 2019年2月~3月に、ゴツプロ!が、東京・大阪・台湾で『阿波の音』を上演する。塚原大助が主宰するゴツプロ!は、2015年に40代の役者のみで結成し、女優の山野海が演出、そして竹田新名義で脚本を担当している。今年、3作目となる『三の糸』で、初の台北公演を行い成功をおさめ、8月には下北沢・本多劇場と台北華山1914文創園区 烏梅劇院(ウーメイシアター)との提携を実現させた。本作も烏梅劇院で上演することが決まっている。

 ゴツプロ!の旗揚げ公演『最高のおもてなし!』で演出家デビューを果たし、劇団ふくふくや(以下、ふくふくや)を主宰している山野と、ふくふくやの劇団員でゴツプロ!を主宰する塚原に、ゴツプロ!の誕生秘話やゴツプロ!だからこそ書きたいテーマについて、そして初めての台北公演やこれからのことなどを語ってもらった。

男を女目線でどうカッコよくしていくか?

拡大山野海(右)と塚原大助=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・ジャケット、シャツ、パンツ(塚原)、コート(山野)/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

――まず、ゴツプロ!を結成した経緯を教えてください。

塚原:きっかけは今のゴツプロ!メンバーの浜谷康幸、佐藤正和、泉知束と芝居を観に行った帰りに酒を飲んでたんです。その時に一緒に何かやろうよという話が出たんだけど、飲みの席ではよくある話なんですよね。ふくふくやに10年いて、何か自分でやっていかないとダメだなと常々思いながら、なかなか動き出せない自分がいて……。でも今回は本当にやろう!となって、じゃあ主宰を僕にやらせてと言ったんです。

――そこに海さんが入られたんですか?

塚原:ちょうど、海さんがふくふくや以外でも脚本を書いてもいいよと言ってたので、海さんに頼んだんですね。そして演出家はどうしようかとなって、海さんは自分で書いた脚本を演出したことがないので、演出も海さんにやってもらったらおもしろいんじゃないかという話になったんです。それを海さんに話したら快諾してくれて。

――海さんはその話を聞いた時、いかがでしたか?

山野:脚本を書く人が圧倒的に少ないので、何かあればやるよと言ってたし、ふくふくや以外で書いてもいいなと思っていた時期だったんです。ただ演出は、この業界が長いので何度かお話はいただいてはいたんだけど、ずっとお断りしてたんです。一回でも演出をやってしまうと、役者として出た時に演出家目線の芝居になったら嫌だなと思っていたから。だけど50歳になっていたので、やらないと決めていたことをやってみるのも良いかなと思ったのと、男だけというのがすごくおもしろいと思ったんです。男を女目線でどうカッコよくしていくか? それは私にできるかもしれないと思いました。

――男だけにされたのはなぜなんですか?

塚原:特に決めていたわけではないんです。決めていなかったけど、一緒にやりたいと思った人が男だけだった……(笑)。

(一同笑)

塚原:今のメンバーは44北川をきっかけに集まっている人が多いんです。彼と僕は亡くなった今井雅之さんの『THE WINDS OF GOD』という舞台を映画化した時に出会っているんです。元々彼は「44 Produce Unit」というプロデュース公演をやっていて、『THE WINDS OF GOD』の後に舞台に呼んでもらったんです。その時に共演したのが、海さん、浜谷、佐藤、泉、かなやすだったんです。それがきっかけで僕はふくふくやに入りました。

海さんと初めての共演、バケモンがいると思った

拡大塚原大助=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・ジャケット、シャツ、パンツ/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

――ふくふくやは海さんが主宰されている劇団なんですよね。

塚原:そうです。海さんと初めてふくふくやで共演した時、僕は28歳だったんですけど、芝居というものがどういうものかまだわかっていなくて、バケモンがいると思ったんです。

山野:その言い方……(笑)。

塚原:いや、なんでこんなにおもしろいことができるんだろう、なんでこんなに自由なんだろうって。柔軟で楽しくおもしろく表現しているのを目の当たりにして、海さんをかじりついて見ていました。だから、いつか役者として認めさせたいという思いがずっとありましたし、ゴツプロ!を立ち上げたのも、役者の技術とかそういうものは抜きに、山野海と対等になりたいという思いがありました。僕が主宰して海さんが作・演出をやるということをずっと思い描いていたんです。

――海さんからみて、塚原さんの存在は?

山野:私は対等なパートナーだと思っています。おもしろいなと思うのは、ふくふくやだけをやっていた時は、年齢も11歳違いますし、やはり座長と劇団員という関係なんですよね。でも、若い男の子がゴツプロ!を立ち上げて3年。おこがましい言い方だけど、どんどんいろんな才能を発揮し出して、男の人の40代ってこんなに成長するんだと驚きました。気持ちがいいぐらい。だから今は唯一無二のパートナーで、対等な関係だと思っています。

――出会うタイミングも良かったのかもしれないですね。

塚原:タイミングは相当良かったと思います。例えば44北川はいろいろあって5年ぐらい演劇の世界から離れていたんですね。でもゴツプロ!を立ち上げる時に、絶対に44北川とやりたいと思っていたので声をかけたら、今だったらやれる、やりたいと言ってくれたんです。

拡大山野海=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・コート/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物)

――スタートする年齢も大事ですよね。

塚原:そう。この歳だからお互い認め合えるし、やれていると思います。僕が一番年下なので、とっぽい弟みたいな感じで可愛がってくれているのもわかるんです。いろんなタイミングが良かったですね。

山野:奇跡が何度も起きてるよね。

塚原:出会っていても、繋がらない人はたくさんいますしね。だから、ゴツプロ!の初めての公演『最高のおもてなし!』で集まった時は、すごい化学反応を起こしたというか……みんなのモチベーションが一緒で、暑苦しいけどこの感じいいよね、楽しくない? ってみんなが感じていました。でも、最初はその公演で終わるつもりだったんです。

山野:劇団として続けていくっていう話はひとつもしなかったよね。

――そうなんですね。

塚原:まず一回やってみようよ、という感じでした。でも稽古中から、ヤバいなこれ、おもしろい!(笑)となって、すぐに来年もやろうよと言ってましたね。

山野:ゴツプロ!として公演するのが初めてだったから、集客が読めないというのもあったよね。それが蓋を開けてみたら、予想外にお客さまが入ってくれて、結局追加公演をやりました。もちろん、みんながチケットをがんばって売ってくれたからなんだけど、その追加公演の時に、次もやるよね、続けていくよねと確信に変わった気がします。

塚原:本当は、2回目に本多劇場で公演しようと話してたんです。バカみたいに。

山野:バカみたいじゃなくて、バカだからね(笑)。

塚原:(笑)。まあ、そんなにうまくいくわけはなく……。けれど、2回目の『キャバレーの男たち』は下北沢の演劇祭に入れてもらって、3回目の『三の糸』で本多劇場に行けたんです。ゴツプロ!を続けると決めた時に、本多劇場に行こう、海外に行こう、地方公演をやろうというのを決めたんですよね。

――それもまた凄いですね。

塚原: 50歳近いおっさんばっかりなんで、やるなら本腰を入れてやろうと決めたんです。

◆公演情報◆
ゴツプロ!『阿波の音』
[東京公演]2019年1月9日(水)~1月14日(月) 本多劇場
[大阪公演]2019年1月18日(金)~1月21日(月) 近鉄アート館
[台北公演]2019年2月15日(金)~2月24日(日) 華山1914文創園區烏梅劇院
公式ホームページ
[スタッフ]
作:竹田新
演出:山野海
[出演]
塚原大助 浜谷康幸 佐藤正和 泉知束/津田恭佑 山本啓之 熊田健大朗 谷口就平 風間八/かなやす慶行 渡邊聡 44北川
〈山野海プロフィル〉
女優、劇作家、脚本家。4歳から子役として活動を開始し、舞台や映画に出演。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家“竹田新”として脚本を書き下ろす。『救命病棟24時』や大河ドラマ『八重の桜』など、ドラマ作品にも多数出演。2016年にゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家としてもデビュー。それが書籍化され、初の書籍『最高のおもてなし!』(竹田新)が2017年秋に幻冬舎から出版された。
山野海公式ツィッター
〈塚原大助プロフィル〉
中国最西端の町カシュガルからラオスを抜け、タイのバンコクまで自転車で単独走破という経歴を持つ。劇団ふくふくやの中心メンバーで活動しながら、自身でもゴツプロ!を主宰している。舞台を中心に幅広い表現力を見せ、『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~では、アンタレス役を好演した。
塚原大助公式ツィッター

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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