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『阿波の音』山野海×塚原大助インタビュー/下

ゴツプロ!×本多劇場×台湾・烏梅劇院

真名子陽子 ライター、エディター


『阿波の音』山野海×塚原大助インタビュー/上

先輩方の生き様がものすごくカッコ良かった

拡大山野海(右)と塚原大助=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・ジャケット、シャツ、パンツ(塚原)、コート(山野)/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

――ゴツプロ!公演の脚本を書くときのテーマなどはあるんですか?

山野:『最高のおもてなし!』の時に台詞でたまたま書いたんだけど、「人間が生きている意味はひとつだけ。次に繋げる橋になることだ」ということ。ゴツプロ!にはそういう生き様が似合うような気がして、そこは毎回テーマとして入れるようにしています。

――今回の『阿波の音』にもそのテーマが入っているんですね。

山野:昭和38年の木場という東京の深川の方にある町を舞台に、そこの材木問屋の男たちの話です。徳島出身の男が木場にやってくるところから始まります。江戸っ子の男と徳島の男のぶつかり合いみたいな、ちょっと男くさいゴリゴリなのを書いています。昭和38年というと、戦後ではあったけれど戦争の傷はまだ癒えていない。いろんな人たちの人生が大きく変わっていく中、それぞれの傷を抱えながらもたくましく生きている……。チラシにも書いているけれど「俺たちは生きるために太陽に向かっていた」という、そういう男たちの生き様を融合しながら、やがて阿波踊りに繋がり、その阿波踊りが後世に大きく残っていく様を感じていただけるのではと思います。

――ゴツプロ!だからこその脚本ですか?

山野:アテ書きではないけれど、彼らを見ているとそういうことを書きたくなります。いい意味で彼らは本当に男臭いんです、悪い意味もあるかもしれないけど(笑)。おじさんなんですけど、7人集まると女子高校生みたいに楽しそうにしてるんですよ。もちろん、その中に私も入ってるんだけどね。あんたたち四六時中一緒にいるのに、よくそんなにきゃっきゃしていられるねって。そのギャップもおもしろいなと思ったりね。

塚原:ふくふくやでも昭和や戦後の話を書くことが多いんだけど、そこが作家・竹田新の世界観だと思うんです。今の時代が冷めているというわけじゃなく、もっと熱くギラギラと生きていた時代が我々にすごく合っているなと思うんです。

――今の時代には、昭和の良い部分も悪い部分も残っていると感じます。

山野:エネルギーの問題なんだと思う。今の子達が決してエネルギーがないわけじゃない。ただ、昭和は戦中、戦後の時代で、お勉強ができただけでは生きていけなかったじゃない。野生の勘というか、生きていくための力が必要だったんですよね。そこに惹かれるし、そういう人たちを書きたいんだと思う。

――そこに惹かれる理由って何でしょう?

山野:すごく古い話になるんですけど、私は子役からやってるんですね。新国劇に辰巳柳太郎さんや島田正吾さんという名俳優がいらしたんです。緒形拳さんがいらしたところなんだけど、そこで子役から出させてもらっていて、女優さんもいましたけど、ザ・男の劇団というところだったんです。その諸先輩方の生き様がものすごくカッコ良かったんです。

――勝新太郎さんは破天荒だけどとてもカッコ良かったですよね。

山野:そう!

塚原:正にだね。

山野:当時はその破天荒さが通っていたし、それがとてもチャーミングでした。あの時代だからこそ彼みたいな人が生まれたと思う。そういう役者さんたちを子どもの頃から見ていたから、そのカッコ良さが私の中に残っているんだと思います。

塚原:その海さんの想いをね、役者として……。

山野:そう。体現して!

――(笑)

山野:でも手前味噌だけど、ゴツプロ!のみんなを演出家席から見ていて、かっこいいなぁって思う。

私を惚れさせろって言うんです

拡大山野海=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・コート/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

塚原:例えば演出家が男の人だったら、もっと作品が固くなっていただろうなと思うんです。もっと“男男”する作品になっていたんじゃないかなと。海さんの作品はそうじゃないんですよね。まず、私を惚れさせろって言うんですよ。

山野:そう、必ず言うんです。 じゃないとお客さまには絶対に伝わらないよって。

塚原:どこまでみんなが意識できているかわからないけど、それはすごく必要だなと思います。

――女性にしかわからない男の人の弱さなどが見えたらいいですよね。

塚原:そうそう。男って男らしくて強いだけじゃないから。

山野:あと、演出するときに指の動きにすごくうるさいんです。女性って男性の指がとても気になるでしょう?

――はい、ものすごく気になります!

山野:そこだけ演出が細かいよね? 私。

塚原:そう、うるさいの。指っ!って怒られる。

山野:(笑)。阿波踊りもみんながんばっているんだけど、教えてくださる方の手の動きがとてもセクシーなんですよ。

――そのセクシーさはすごく大事だと思います。女性は見てますからね。

山野:『三の糸』は三味線だったんですけど、指使いが上手くなるとどんどん色っぽくなっていくんです。よしよし!って(笑)。

――観る側の勝手な意見ですが、舞台役者さんには色気が必要!って思ってしまいます。

山野:若い時はイケメンがいいじゃないですか。でも今は、トータルして醸し出されるその人のエネルギーがイケメンだと、ヒャーってなる(笑)。

拡大塚原大助=桑島省二〈桑島写真スタジオ〉撮影〈衣装協力・ジャケット、シャツ、パンツ/IKIJI(IKIJI銀座店:03-6274-6304)その他/本人私物〉

――すごくわかります! 滲み出るカッコ良さですね。

山野:そう。イケメンじゃなくていいの。

――男性の40歳を過ぎてから滲み出る色気は、若い時に培われるのではと思います。

山野:たまに40歳過ぎた男の人で何もなさそうな人がいますよね。何もないな、この人!って(笑)。嘘でしょって!?いう人。

塚原: 20代後半か30代前半だったかな、舞台監督さんに「大ちゃんは色気がないんだよ」って言われたんですよ。すごくショックでしたね。色気ってどうやってつければいいんですか?って聞いたら、もっと遊ばなきゃだめだよって言われました。あーそうなんだと思って、いろんな努力をさせていただきました……(笑)。この年齢になって、そういうことが大事なんだなと感じますね。

山野:確かにそうだね。大助はイケメン君なんですけど、若い頃の大助に色気の「い」の字も感じたことはなかったね。そういう役を大助に書かなかったしね、ずっと。

――ゴツプロ!を観に来られるお客さまは男性の方も女性の方も?

塚原:『キャバレーの男たち』から女性ファンがついたなという実感はありますね。でも男の人も多いです。同年代の40歳過ぎの方に、これだけがんばってんだから俺たちもがんばりますってよく言われます。それがすごくうれしいんです。

――そうですね。

塚原:それは、ゴツプロ!の持っている大きな力だと思います。

山野:ゴツプロ!のキャッチコピーが、「いつもあなたにプラス1℃」なんです。我々と会ったり芝居を観に来てくれたら1℃上がりますよという意味でね。 

◆公演情報◆
ゴツプロ!『阿波の音』
[東京公演]2019年1月9日(水)~1月14日(月) 本多劇場
[大阪公演]2019年1月18日(金)~1月21日(月) 近鉄アート館
[台北公演]2019年2月15日(金)~2月24日(日) 華山1914文創園區烏梅劇院
公式ホームページ
[スタッフ]
作:竹田新
演出:山野海
[出演]
塚原大助 浜谷康幸 佐藤正和 泉知束/津田恭佑 山本啓之 熊田健大朗 谷口就平 風間八/かなやす慶行 渡邊聡 44北川
〈山野海プロフィル〉
女優、劇作家、脚本家。4歳から子役として活動を開始し、舞台や映画に出演。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家“竹田新”として脚本を書き下ろす。『救命病棟24時』や大河ドラマ『八重の桜』など、ドラマ作品にも多数出演。2016年にゴツプロ!第1回公演『最高のおもてなし!』で演出家としてもデビュー。それが書籍化され、初の書籍『最高のおもてなし!』(竹田新)が2017年秋に幻冬舎から出版された。
山野海公式ツィッター
〈塚原大助プロフィル〉
中国最西端の町カシュガルからラオスを抜け、タイのバンコクまで自転車で単独走破という経歴を持つ。劇団ふくふくやの中心メンバーで活動しながら、自身でもゴツプロ!を主宰している。舞台を中心に幅広い表現力を見せ、『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~では、アンタレス役を好演した。
塚原大助公式ツィッター

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筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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