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ブレヒトの傑作喜劇に安蘭けいが出演/下

笑いとユーモアの中でアイデンティティをめぐる物語『マン イスト マン』

大原薫 演劇ライター


ブレヒトの傑作喜劇に安蘭けいが出演/上

コメディがやりたいんです

拡大安蘭けい=伊藤華織撮影

――『マン イスト マン』の戯曲は読まれましたか。

 はい。ありえない話ではあるけど、結局、何が言いたいんだろうというところで悩みましたね。でも、ブレヒトが描きたいことは、シニカルで皮肉っぽくて、人間の欲をブラックユーモア的に笑いで表現するところがあるんだと知って、いろいろな解釈があっていいのかなと思うようになりました。正解は一つではないんじゃないかと。昨年、出演した(ヘンリック・イプセン作の)『民衆の敵』では大衆に流されてしまう人間の弱さが描かれていましたが、それに通じるものが『マン イスト マン』にもある気がします。ゲイは兵士に仕立て上げられるけれど、そこに彼の意志があるだろうし。ゲイを兵士に仕立て上げる人たちも悪い人だろうけど、一概にそうとも言えないかもしれない。一番かわいそうなのはジップかも(笑)。人間って滑稽だなというのが、この戯曲の印象ですね。

――串田さんの手にかかると、この戯曲がどう演出されるでしょう?

 音楽や踊りで面白く楽しく、難しい戯曲をわかりやすくお客様に見せるのかなと思います。串田さんの演出には人間に対する愛情があるんです。おのおののキャラクターに「この人がこうするにはこういう理由があって」と解釈していくと、「そうか、誰も悪い人はいないよね」となっていく気がするんです。

――喜劇をやるのはいかがですか?

 コメディがやりたいんです。なかなか喜劇をやる機会がなくて、私の関西人の血が薄くなっていくんじゃないかと思って(笑)。今回もどういうコメディになるのか。ドタバタなのか、くすっと笑う程度なのかは稽古が始まるまでわからないですが、楽しみです。

――今回は舞台近くにはお料理つきのテーブル席が設けられ、飲食ができる「キャバレー演劇」として演じられるそうですね。

 以前、(ビリー・ホリデイの最後のライブを描いたソロミュージカル)『レディ・デイ』をやらせていただいたんですが、その作品をブロードウェイで見たときもそういう形だったんです。ビリーはステージとバーテーブルを行き来してお酒を飲みながら歌って、お客様は明かりが灯った丸テーブルに座ってライブを見ているという設定の舞台でした。役者が演じているんだけど演じていないような、ビリー本人がそこにいるという感覚になりますね。お客様にも身近に見ていただけるんじゃないかなと思います。 

◆公演情報◆
『Mann ist Mann マン イスト マン』
2019年1月26日(土)~2月3日(日)  KAAT神奈川芸術劇場
2019年2月8日(土)~2月13日(日) まつもと市民芸術館
2019年2月23日(土) ホクト文化ホール 中ホール
2019年2月27日(水) 伊那文化会館 小ホール
公式ホームページ
[スタッフ]
原作:ベルトルト・ブレヒト
翻訳:小宮山智津子
脚色・演出:串田和美
企画監修:白井晃
[出演]
安蘭けい 串田和美
海老澤健次 大鶴佐助 小椋毅 近藤隼
坂口杏奈 鈴木崇乃 武居卓 チョウヨンホ
深沢豊 細川貴司 万里紗 山口翔悟(以上50音順)
[演奏]
Dr.kyOn[ピアノ] 徳武弘文[ギター] 木村おうじ純士[ドラムス&パーカッション]
〈安蘭けいプロフィル〉
1991年、宝塚歌劇団に首席で入団。2006年、星組男役トップスターに就任。2009年に退団後も数多くの舞台に出演。『サンセット大通り』『アリス・イン・ワンダーランド』の演技で第38回菊田一夫演劇賞を受賞。最近の主な出演作品は、『民衆の敵』『レインマン』『リトル・ナイト・ミュージック』『リトル・ヴォイス』『白蟻の巣』『スカーレット・ピンパーネル』など。
安蘭けい公式ホームページ

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筆者

大原薫

大原薫(おおはら・かおる) 演劇ライター

演劇ライターとして雑誌やWEB、公演パンフレットなどで執筆する。心を震わせる作品との出会いを多くの方と共有できることが、何よりの喜び。ブロードウェー・ミュージカルに惹かれて毎年ニューヨークを訪れ、現地の熱気を日本に伝えている。

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