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[2018年 展覧会ベスト5]新たな時代の流れ

「内藤礼」、「1968年」、「縄文」……

古賀太 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

重要文化財「遮光器土偶」(青森県つがる市木造亀ケ岡出土、東京国立博物館蔵)拡大「縄文 1万年の美の鼓動」展の重要文化財「遮光器土偶」(青森県つがる市木造亀ケ岡出土、東京国立博物館蔵)=東京国立博物館

「1968年」、美共闘のビラのおもしろさ

 去年の「1968年」展は博物館の開催で、「社会現象」をビラやポスターやヘルメットなどで見せる展示をしていた。50周年となる今年の「1968年」展は美術館らしくあくまで「美術」に絞っている。

=撮影・筆者拡大「1968年 激動の時代の芸術」展=千葉市美術館、撮影・筆者
 それでもおもしろいのは、68~69年の美術界における政治的行動のビラが展示してあったこと。多摩美大の堀浩哉が中心となった美術家共闘会議 (美共闘)や草月フィルム・アート・フェスティバルの中止運動、デザインでは日宣美(日本宣伝美術会)粉砕運動など。特に美共闘のビラはおもしろい。「東京国立近代美術館解体!」「都美術館解体!」「東京ビエンナーレ粉砕!万博粉砕!」などの見出しが躍る。年をまたぐ2つの「1968」展はいずれも千葉での開催だが、なぜ東京では1968をテーマにした展覧会がなかったのだろうか。

 「縄文」展は、

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筆者

古賀太

古賀太(こが・ふとし) 日本大学芸術学部映画学科教授(映画史、映像/アートマネジメント)

1961年生まれ。国際交流基金勤務後、朝日新聞社の文化事業部企画委員や文化部記者を経て、2009年より日本大学芸術学部映画学科教授。専門は映画史と映画ビジネス。著書に『美術展の不都合な真実』(新潮新書)、『永遠の映画大国 イタリア名画120年史』(集英社新書)、訳書に『魔術師メリエス──映画の世紀を開いたわが祖父の生涯』(マドレーヌ・マルテット=メリエス著、フィルムアート社)など。個人ブログ「そして、人生も映画も続く」をほぼ毎日更新中。http://images2.cocolog-nifty.com/

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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