真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター
大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
音楽活劇『SHIRANAMI』で初共演
音楽活劇『SHIRANAMI』に出演する早乙女太一と伊礼彼方に話を聞いた。音楽活劇『SHIRANAMI』は、歌舞伎「青砥稿花紅彩画」、通称「白浪五人男」を原案に、音楽活劇として大胆にアレンジ。幕末の動乱を駆け抜けた五人の盗っ人たちの生き様を描いた音楽活劇で、殺陣、ダンス、映像、さまざまな手法で魅せるエンターテインメント作品。
二人の他に元宝塚歌劇団トップスター龍真咲、ゴールデンボンバーの喜矢武豊、そして松尾貴史と、多方面で活躍するキャストが集結。脚本・演出には、時代劇からミュージカルの翻訳・訳詩まで幅広く手掛けるG2。ショー演出とLEDディレクションは、BOOWY、B'z、EXILEなど多数のコンサートを手掛けてきたショーデザイナー、市川訓由が担当する。
幼少のころから和物の舞台に上がっていた早乙女と初の和物舞台に挑戦する伊礼は、今回が初共演。作品のことやお互いの印象、稽古場の様子などを語ってくれた。
――まずは、出演が決まった時の感想をお願いいたします。
早乙女:普段、自分のフィールドでは関わらない、ミュージカルを土台にされている伊礼さんがいたり、宝塚出身の龍さんがいたり。喜矢武さんはゴールデンボンバーのメンバーでアーティストですし、松尾さんはマルチに活躍されていて、とても珍しい面々が集まっているのでおもしろいなと思いました。
伊礼:和物の経験が一度もないので、一度くらいは着物を着てやりたいという思いは日本人としてありましたから、うれしかったです。こういう顔していますけど(笑)。
早乙女:似合ってます。
伊礼:ホントですか!? ありがとうございます! 僕も意外といけるんじゃないかなって……(笑)。
早乙女:カッコいいですよ。稽古場でも背が高くてどしっとしてるから、刀がとても似合っています。
伊礼:いつも直してくれるんですよ、刀を差す向きが間違ってたら。先日も周りの人にバレないように直してくれて、優しいんです。その早乙女さんが弁天小僧で、そしてG 2さん演出ということなら、これは出たいと思いました。最近は洋物を多くやらせてもらっていましたし、日本人役だったとしても現代劇でしたから、これはチャンスだなと思いましたね。
――歌舞伎の『白波五人男』を踏襲されているんですか?
早乙女:いや、ちょっと違うんです。『白波五人男』は江戸時代に歌舞伎の演目として大流行した作品ですが、今回の時代設定は幕末なんです。5人それぞれが姿を偽っているんですけど、幕末に運命的にたまたま集まって、という……。
――志を共にする仲間?
伊礼:僕の役はどちらかと言うと、巻き込まれた感があります。巻き込まれてしまったけれど一緒にやるか、みたいな感じですね。
――伊礼さんは初の和物ですが、いかがですか?
伊礼:すべてが大変です。立ち姿、所作などは???から始まってますから。稽古初日にお座敷のシーンがあったのですが、見よう見まねで襖を開けるんだけど、開けたはいいけれど締め方がわからないんですよ。どのタイミングで挨拶したらいいのかもわからない。とりあえずその日は、細かい所作は後にして、一通り通してみましょうとなりましたが、一つ一つ所作指導の先生に教えてもらわないといけません。あと、座ったら動けないし動かない。動けないことはなかなか厳しいですね。
早乙女:(笑)。
――早乙女さんはそういった和物の所作などは慣れていらっしゃいますよね。
早乙女:いえいえ、ちゃんと所作指導の先生が入っていますので教えていただきます。
――そうなんですね。
早乙女:僕が一番侍の格好をしてるんですけど、結構崩したりしていますね。
伊礼:できる人が崩すのはカッコいいと思うんですよね。でも、できないのに崩したら胡散臭くなってしまうので、そこはきちんと習わないといけないなと思っています。
◆公演情報◆
音楽活劇『SHIRANAMI』
2019年1月11日(金)~1月29日(火) 東京・新国立劇場 中劇場
公式ホームページ
[スタッフ]
脚本・演出:G2
ショー演出・LEDディレクション:市川 訓由
[出演]
早乙女 太一、龍 真咲、伊礼 彼方、喜矢武 豊(ゴールデンボンバー)、松尾 貴史
鈴木 壮麻、加納 幸和 ほか
〈早乙女太一プロフィル〉
大衆演劇「劇団朱雀」二代目として4歳で初舞台を踏み、北野武監督の映画『座頭市』(2003)出演をきっかけに一躍脚光を浴び、劇団解散以降、舞台やドラマ、映画など活動は多岐にわたる。最近の主な出演作に、劇団☆新感線『髑髏城の七人』、映画『22年目の告白-私が殺人犯です-』、『BLEACH』、『泣き虫しょったんの奇跡』、ドラマ『会社は学校じゃねぇんだよ』、『忘却のサチコ』、『コールドケース2~真実の扉~』、Amazon Audible 『ロング・グッドバイ』など。また「早乙女太一×柏原晋平 作品展」を開催するなど、演技以外の表現でも魅了している。公開待機作に、映画『居眠り磐音』(5/17公開)などがある。
★早乙女太一OFFICIAL SITE
〈伊礼彼方プロフィル〉
沖縄県出身の父とチリ出身の母の間に生まれる。中学生の頃より音楽活動を始め、ライブ活動をしていたときにミュージカルと出会う。最近の主な出演作は、ミュージカル『JERSEY BOYS』『ロマーレ』『TENTH』『メンフィス』『ビューティフル』など。2018年8月には、椿鬼奴のアルバム『IVKI』にデュエット参加するなど、活躍の幅を広げている。1月21日(月)~25日(金)NHKオーディオドラマ 青春アドベンチャー『夢みるゴシック それは怪奇なセレナーデ』、4月からミュージカル『レ・ミゼラブル』(ジャベール役)での出演が決まっている。
★伊礼彼方official web site