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榛名由梨&朝海ひかる 取材会レポート

『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』に出演

真名子陽子 ライター、エディター


拡大榛名由梨(右)と朝海ひかる=岸隆子撮影

 宝塚歌劇団の代表作『ベルサイユのばら』が1974年の初演から45年。それを記念して、『ベルサイユのばら45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』が東京と大阪で上演される。

 『ベルサイユのばら』の45年の歴史を彩ってきたレジェンドたちによる歌やトーク、そして、オスカル&アンドレ、フェルゼン&アントワネットの名場面を、組み合わせを変え、役の扮装そのままにダイジェストで見せる、ベルばらファンにはたまらない内容になっている。

 初代オスカルを演じ、空前のベルばらブームを起こした榛名由梨と、『ベルサイユのばら』で初舞台を踏み、2006年にトップスターとしてオスカル役を演じた朝海ひかるの取材会が行われ、世代を超えたWオスカルが"ベルばら愛"を語った。

プロローグはガタガタと足が震えていた

記者:榛名さんが初代を演じられた時、ここまでのブームになるという予感はありましたか?

榛名:いえ、まったくありませんでした。当時は、宝塚にコスチュームプレイの作品があまりなかったですし、想像できなかったです。平成になり、21世紀になり……ここまで長く続くとは想像していませんでした。『ベルサイユのばら』という作品に、すごく期待してくださっているんだということを感じますね。

記者:名曲をたくさん歌われますが、改めて思うことはありますか?

榛名:宝塚の名曲を皆さんに知ってもらえるというのは珍しい現象だと思います。「愛あればこそ」なんて、たくさんの方が歌われ、覚えてもらっています。作曲家の寺田瀧雄先生は宝塚でいろんな名曲を残されておりますが、ここまで長く歌い継がれるのは素晴らしいことだと思います。

拡大榛名由梨(右)と朝海ひかる=岸隆子撮影

記者:初演で苦労されたことなどはありますか?

榛名:漫画の人気がすごかったですし、初めての舞台化でしたから、どうやったら皆さまに認めていただけるのか、幕が開いた途端に引っ込めと言われたらどうしようとか、いろんなことがプレッシャーでした。初日は不安と期待が入り交じって、プロローグで池田理代子先生の劇画の扉が開くまで、ガタガタと足が震えていました。

朝海:時が経てば経つほど、オスカルに対する皆さんの期待度が高くなっているような気がします。オスカルをやると言っただけで、上級生の方はもちろん、スタッフの方々がオスカルに対するそれぞれのこだわりやアドバイスをくださり、プレッシャーはこの上ありませんでした。私も星組公演で池田先生の劇画から出てくるパターンのプロローグをさせていただきましたが、劇画から出たときに、みんなズッコケたらどうしようと思ったり(笑)。榛名さんが初演をなさった時のプレッシャーとは比べ物にはならないと思いますが、それでもプレッシャーはありました。

記者:思い出深いシーンがあれば教えて下さい。

榛名:オスカルとアンドレはバスティーユの場面で亡くなった後、フィナーレまで出てこないんですね。そのフィナーレにオスカルが軍服を着て出てきた時の拍手喝采がすごかった! 3階からどーっと滝のような拍手がおこるんです。これは何?って、最初はすごく驚きましたね。そのときに、オスカル人気はここまですごいんだと改めて感じました。

記者:役作りで苦労されたことなどはありますか?

榛名:男として育てられ、軍服を着て王妃マリー・アントワネットを守りながらも、その狭間でアンドレに対する女性の恋心を表現しないといけない。男役としてある程度出来上がった頃でしたから、反対に女性に戻るという作業が複雑でしたね。ただ私自身、父がスパルタで男の子みたいに育てられたんですね。そこがオスカルと重なって役作りすることができました。でも、女心で「アンドレ……」と言う時の自然な出し方は、どういう風にしたら女心を表現できるのか、一生懸命考えましたね。男性の前で女性は自然に声質が変わるでしょ? 皆さんも経験ありますでしょ?(笑)。リアリティをどう表現するのかをすごく考えました。

朝海:出来上がっている型を学び、それを自分の体に落として演じることの難しさがありました。「今宵一夜」という名場面があるのですが、そこの振りは全部決まっていて、榛名さんから教えていただきました。とても苦しい体勢でウエストがよじれて痛いのですが、一番甘い空気を出さなくてはいけない。そういった決まり事が場面ごとにたくさんあり、それを習得していくことが大変でした。ずっと拝見していたベルばらがこんなに苦しいものだとは思いませんでした(笑)。

失敗も温かく見守ってくれるのが宝塚のお客さま

拡大榛名由梨=岸隆子撮影

記者:今だから話せる失敗談があれば教えてください。

朝海:いっぱいありそう(笑)。

榛名:あるある! あるよ~。バスティーユの場面でスモークの中、舞台の斜め奥からバーっと出てきたと思ったらツルー!とスケートみたいに滑ってしまって。でもそのスモークでモクモクしていて客席からは見えていなかったから、スッと何気なく立ったの(笑)。何もなかったような顔をしたけど、あれはすごく怖かったですね。サーベルが床に突き刺さったこともありました。敵が近づいてくるんだけど抜けないから刺さったままで、そのシーンが締まらないからみんな大爆笑!

(一同笑)

榛名:でも、そんなことも温かく見守ってくださるのが宝塚のお客さま。それに甘えてはいけないけどね。

記者:朝海さんはペガサスに乗っていらっしゃいましたね。

朝海:乗ってましたね! 遊園地が大好きで高いところも平気なので、楽しんで乗っていました。歌いながらお客さまの表情を一人一人見ていました。楽しそうにしていらっしゃる方や唖然としている方など、いろいろな表情をされていて、見てるのが楽しかったです。

退団して12年、体を鍛え直して期待に応えたい

拡大朝海ひかる=岸隆子撮影

記者:今回の公演で楽しみにされていることはありますか?

榛名:昭和の私たちの時代を受け継いで、平成のスターさんがたくさん生まれています。宝塚の歴史の中にある『ベルサイユのばら』という作品で、スターさんが大きく開花していく。それぞれの時代を背負っている人たちがこれだけ揃って、みんなで力を合わせてやるという作品は滅多にないですし、宝塚に105年の歴史があるからこそできることだと思います。そこに呼んでいただけるのはとても光栄ですし、みんなと顔を合わせられるうれしさがあります。一つの舞台の上に一緒に立つことで気持ちがつながって、和気藹々と家族みたいな感じになれる雰囲気がすごく好きなんです。

朝海:榛名さんはじめ初演の方々の素晴らしい歌や楽しいトークが聞けるのは楽しみなのですが、私自身は扮装して踊らなくてはならないので、現役のときとは違うプレッシャーがあります。退団して12年経ちますが、体を鍛え直して皆さまの期待に応えられるような舞台、そして名場面をそのままお見せできるようにがんばりたいと思います。

榛名:すごく楽しみなんです。私たちは踊らないから。

朝海:踊っていただきたいんですけど(笑)。

榛名:もう45年も経ってるから、とてもじゃないけど無理! 踊ったらがっかりさせてしまうわ。コムちゃん(朝海)はダンスが上手。やっぱり踊れるのはすごい強みよね。それを見られる私たちも楽しみだし幸せです。

朝海:がんばります!

榛名:がんばれ!

すべてが詰まっている愛すべきバイブル

拡大榛名由梨(右)と朝海ひかる=岸隆子撮影

記者:お二人にとってのベルばら"とは?

榛名:宝塚に相応しいコスチュームですし、時代が変わってもスターを生んでいく作品。みんなのバイブルで宝物、お手本でありすごく大切している教科書のようですね。それを開いたらいろんなノウハウが全部詰まっている。宝塚の舞台人として、コスチュームプレイの所作や舞台で必要な動き方、ラブシーンの夢々しい場面や厳しい戦いの場面、そして儚さ。すべてが詰まっている愛すべきバイブルだと思います。

朝海:今のお話を聞いて、本当にそうだなと思います。一場面一場面、宝塚の生徒として男役娘役ともに大切なことを教わる……まさに教科書だなと思います。椅子の座り方や立ち方、マントの翻し方など、やはりベルばらならではですし、ベルばらに出演したからこそ学べたことがたくさんありました。『ベルサイユのばら』という作品は、池田理代子先生が確立なさった素晴らしい世界があり、その上で宝塚ならではの様式美で魅せる。これ以上ない宝塚の代表作なんだと改めて感じています。

記者:最後にお客様へのメッセージをお願いします。

榛名:45年というのはすごく重いですね。初演の年に生まれた人が45歳ということを考えると、長い年月だなとつくづく感じます。それでも世代交代や時代の流れがある中で、常に雄々しく演じられる世界ですし、年齢を問わず楽しんでいただける素晴らしい作品です。皆さまに喜んでいただけるように、私たちはトークと歌をがんばりますし、平成のスターさんは踊ったりお芝居したりしますので、もうこれを見逃す手はないでしょう!(笑)。是非是非、足をお運びください。

朝海:こんなに豪華なOG公演は今まで経験したことがありません。もちろん初演からのファンの方には観ていただきたいと思いますが、私たちの出演していた作品を見たことはないけれど、今、宝塚に興味を持たれている方にも、こういう宝塚の歴史があるんだなと感じて、楽しんでいただければと思います。皆さま是非、足をお運びください!

◆公演情報◆
『ベルサイユのばら 45 ~45年の軌跡、そして未来へ~』
2019年1月27日(日)~2月9日(土) 東京・東京国際フォーラム ホールC
2019年2月16日(土)~2月24日(日) 大阪・梅田芸術劇場メインホール
公式ホームページ
[スタッフ]
監修:植田紳爾
構成・演出:谷 正純
音楽監督:吉田優子
[出演]
★公演替わり出演★
初風諄、榛名由梨、汀夏子、安奈淳、麻実れい、日向薫、紫苑ゆう、杜けあき、涼風真世(東京公演のみ)、麻路さき、稔幸、和央ようか、湖月わたる、星奈優里、彩輝なお、朝海ひかる、貴城けい、水夏希、壮一帆、白羽ゆり、凰稀かなめ(東京公演のみ)
★特別出演・宝塚歌劇団★
汝鳥伶、華形ひかる
★全公演出演★
毬乃ゆい、舞城のどか、真波そら、緒月遠麻、鶴美舞夕、羽咲まな、麻尋えりか、扇けい、愛純もえり、美翔かずき、蓮城まこと、稀鳥まりや、咲希あかね、妃白ゆあ、花陽みら、隼海惺、煌海ルイセ、天翔りいら、蒼矢朋季、矢吹世奈 

筆者

真名子陽子

真名子陽子(まなご・ようこ) ライター、エディター

大阪生まれ。ファッションデザインの専門学校を卒業後、デザイナーやファッションショーの制作などを経て、好奇心の赴くままに職歴を重ね、現在の仕事に落ち着く。レシピ本や観光情報誌、学校案内パンフレットなどの編集に携わる一方、再びめぐりあった舞台のおもしろさを広く伝えるべく、文化・エンタメジャンルのスターファイルで、役者インタビューなどを執筆している。

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